お互いに高め合いながらも学びのある刺激的な現場です。
「どのカンパニーの中にいても一番個性が強いねとか、パワフルだねと言われる方ばかりが集まっているので、稽古場はすごく刺激的です。ただすべてのペースがとても速くて、ついていくだけで必死。それでもお互いに高め合えて、学びのある現場にはなかなか出合えないんだろうなと思うと、ありがたいです」
そう話す田村芽実さんもまた、的確な役へのアプローチと歌の実力で高く評価される存在。その田村さんが演じるのは、王妃の侍女ながら彼女を追い落とし妻となるも数年で処刑されたアン・ブーリン。
「イギリスでは魔性の女として知られている人なのですが、史実とは一番かけ離れているのが彼女かもしれないです。作品の中でも突拍子もないことを言ったり、コメディ担当と言われるくらい明るくて元気。500年も前の人ですし、じつはもしかしたらこんなフレンドリーな女性だったかもしれないよねって描き方をされているので、精一杯演じて、今も続く彼女に対する固定観念を変えるようなお手伝いができたらと思っています」
ヒロインに意地悪する役も高慢なお嬢様も、田村さんの手にかかれば、ステレオタイプではないユニークで魅力的な人物に立ち上がる。
「結構自分が演じる意味みたいなのを考えてしまって、できるだけ誰も選ばないチョイスをしようと量産型ではない表現を探していたりします。ただ、それがいつも正解なわけではないですよね。稽古場で手あたり次第いろいろ試してみて、自分なりの正解を見つけていくので、結構遠回りすることも多いです」
思い切りよく大胆な印象があるが、「じつは萎縮しちゃうほうなので、つねに己との戦いです」と苦笑い。
「世界各国で上演されている作品ですが、唯一無二のアン・ブーリンだねと言っていただけるよう、食らいついていきたいと思っています」
PROFILE プロフィール
田村芽実
たむら・めいみ 1998年10月30日生まれ、群馬県出身。近作にNHK連続テレビ小説『おむすび』、ミュージカル『赤と黒』など。5月開幕のミュージカル『キンキーブーツ』にも出演。
INFORMATION インフォメーション
ミュージカル『SIX』日本キャスト版
「英国史上もっともスキャンダラス」といわれる16世紀テューダー朝で38年間王位に君臨したヘンリー8世。彼の元妻たち6人が、自らの物語を歌い上げてゆく。2/28(金)~3/2(日)愛知・御園座 原作/トビー・マーロウ&ルーシー・モス 演出/ルーシー・モス&ジェイミー・アーミテージ 翻訳・訳詞/土器屋利行 出演(全役Wキャスト・各役五十音順)/鈴木瑛美子・ソニン(東京のみ)、田村芽実(東京・愛知のみ)・皆本麻帆、原田真絢・遥海、エリアンナ・菅谷真理恵、鈴木愛理・豊原江理佳、和希そら・斎藤瑠希 1万4000円 御園座 TEL:052・222・8222(平日10:00~18:00) 東京、大阪公演あり。