毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”の3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「妊娠・育児でもらえるお金が変わった!」です。

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    妊娠・育児でもらえるお金が変わった!

    高山一恵(たかやま・かずえ)さん ファイナンシャルプランナー。Money&You取締役。Webメディア「FP Cafe」「Mocha」の運営ほか、多くの働く女性のマネーのお悩みを解決、サポート。頼藤太希さんとの共著に『はじめての資産運用』(宝島社)がある。

    貯蓄未知子(ちょちく・みちこ/34歳・会社員) 都内の賃貸で一人暮らし中。毎月の貯蓄は財形2万円+口座に残った分のみ。奨学金は完済。昨年からNISAをスタート。

    妊娠前から出産後まで使える制度は多数

    未知子:ここ数年、学生時代の友人たちの妊娠・出産ラッシュが続いていますが、みんなお金の心配をしているみたいなんです。

    高山:私の元にマネー相談に来られる方々も、子どもにやりたいことをさせてあげたいけれど、教育費の捻出に苦労しているご家庭が増えてきている実感があります。

    未知子:物価高や不動産価格の高騰もあれば、不安にもなります。

    高山:ただ、この現状を国も黙って見ているわけではなくて。ようやく、本格的に少子高齢化対策に取り組み始めているんですよ。

    未知子:不妊治療費の保険適用などは、確かに最近ですもんね。

    高山:はい。ただ、2022年4月から不妊治療は保険適用にはなりましたが、先進医療はまだこの対象ではありません。そのため「特定不妊治療費助成事業」という、自治体が一部の費用を助成する制度を設けるなど、子どもが欲しい人をサポートしています。

    未知子:子どもを授かる前の段階から経済的サポートがあるのは心強い。でも、妊娠・育児の期間は長いですし、どうしたってお金はかかりますよね…。

    支援制度の存在を知ればお金の不安は軽くなる

    高山:そういった不安の声を聞く機会が増えたこともあり、『育児年表でわかる子育て世帯がもらえるお金のすべて』という本に、公的な支援制度をまとめました。

    未知子:(本をめくり)年表になっているからわかりやすい! そして、こう見ると支援制度って意外と充実しているように思えます。

    高山:そうなんです。ただ、支援を受けるためには情報を自分で取りに行く、自分自身で申請をする、というのが大前提なんです。

    未知子:日々忙しくしていたら、スルーしちゃいそうですね…。

    高山:特に今年の4月から制度が変わった「妊婦のための支援給付」「育児時短就業給付金」「多子世帯の大学無償化」については、まだまだ知らない人も多いのでは。

    未知子:「妊婦のための支援給付」は2025年4月以降に妊娠した人が対象なんですね! であれば、これから子どもを望む人は知っておいた方がいい!

    高山:時短勤務を選択しやすくするために創設された「育児時短就業給付金」や、3人以上子どもがいる世帯に嬉しい「多子世帯の大学無償化」なども、今の自分にはすぐ役立つものではなくても、そういった制度があることを知っておくことは、漠然とした不安の軽減に役立つのではないでしょうか。

    未知子:はい! 頭の片隅に留め置きたいと思います。

    2025年4月から変わった子育て世代が受けられる支援制度

    妊婦のための支援給付

    相談と経済的支援のダブルでサポート。

    得するお金:10万円~
    利用できる人:妊娠が確定した人
    申請先:居住する市区町村

    妊娠期から出産、産後まで切れ目のない支援を行う制度として恒久化。対象者は2025年4月以降に妊娠が確定した人。例えば子ども1人を産んだ場合、妊娠届出時に5万円、出生届出時に5万円がもらえる。

    育児時短就業給付金

    時短勤務中賃金の10%が給付される。

    得するお金:2万円(時短勤務中の賃金が月額20万円の場合)
    利用できる人:2歳未満の子どもを養育するために時短勤務を行う人
    申請先:勤務先

    育児のための時短勤務を行い、収入が低下した場合の支援として創設。雇用保険に加入しており、時短勤務を行う労働者が対象。男女ともに対象のため、男性の時短勤務にも適用されるのがポイント。

    多子世帯の大学無償化

    授業料・入学金が無償になる制度。

    得するお金:年間最大96万円 (私立大学〈昼間制〉の入学金・授業料)
    利用できる人:3人以上の子どもがいる世帯の専門学校生、短大生、大学生など
    申請先:生徒の通学先

    「子ども3人以上が同時に扶養されている」「対象校以外への進学は利用不可」「支給額に上限あり」など諸条件はあるが、所得制限はない。国公立大学の学費は平均約243万円(4年間)だけに、メリットは大。

    ★次回は、2458号(2025年8月6日発売)掲載予定です!

    イラスト・小迎裕美子 取材、文・一寸木芳枝

    anan2456号(2025年7月23日発売)より

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    自分の気持ちに嘘をつくことなく、一意専心して物事に取り組むことがテーマの日です。途中、慣れによる気の緩みや、心身の疲労が出てくるかもしれませんが、うまく自己コントロールすることも今日の学びの一つだといえます。場合によっては一人で落ち着ける時間を設けて、しっかり心と体のリフレッシュを図ることも大事です。

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