スイーツライターのchicoさんがおすすめスイーツを紹介する「お菓子な宝物」。今回は『Bonne Qualité(ボンヌ カリテ)』のビスキュイ・サヴォワです。


「ビスキュイ・サヴォワ」(直径約15cm、3200円)。ユニークな形はお城をかたどったもの。「ガトー・ドゥ・サヴォワ」と呼ばれることも。サヴォワ名産の香草リキュールを効かせた生クリーム(300円)をつけると、たちまち大人の味わいに。

「修業時代に住んでいたアヌシー(サヴォワ地方の街)で、ずっと食べていたくらい大好きで。いつか自分のビスキュイ・サヴォワを作りたかったんです」と『Bonne Qualité』中野竜弘シェフ。サヴォワの伝統菓子に魅せられて約10年、伝統を守りつつ彼のフィルターを通し、さらなるおいしい個性を秘めたビスキュイ・サヴォワが完成。5月に構えた自店のショーケース上にどんと鎮座する。

卵、小麦粉、砂糖などで作るふんわり素朴なお菓子をよりしっとりさせるため編み出したのは、3つの砂糖の使い分け。平飼い卵の卵黄には、粉砕したバニラ鞘を混ぜたヴェルジョワーズ(フランスの甜菜糖)を加え、まったりとしたコクを纏わせる。合わせるメレンゲは、あえて空気を含みにくくなるきび砂糖を使うことで、しっとりしなやかに。周りのカソナード(未精製ブラウンシュガー)は熱で溶けにくいから、食感と深みがアクセントになる。さらに生地を混ぜるのも本来はさっくり混ぜてふわふわにするところ、あえて少し潰すようにして、滑らかにしつつほどよい重さも作り出す。そんな細やかな工夫がシンプルなお菓子のあちこちに。ブラウンがかった一片を口にすれば、カソナードがざくざく軽快、生地はシフォンとカステラの間みたいな儚い弾力でフワしゅわり。心地よい口溶けの中で卵とバニラ、3種の砂糖が相乗してコクと旨みが静かに炸裂。没入せずにはいられなくなる!

chico

Profile

チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。

Bonne Qualité

Information

東京都目黒区青葉台2‐16‐4 TEL:03・6820・8462 10:00~18:00 不定休 Instagram:bonnequalite_tokyo

写真・清水奈緒 スタイリスト・野崎未菜美 取材、文・chico

anan2455号(2025年7月16日発売)より
Check!

No.2455掲載

夏の推し旅 2025

2025年07月16日発売

海、美食、動物、かき氷、アートなど「大好き」なもの=“推し”を追い求める癒しの旅を案内する特集。夏といえばの沖縄は、那覇&本島西海岸のエリア別解説のほか、久米島、西表島という2つの離島もフィーチャー。他に「大人の夏休み」として、埼玉・長瀞の涼を求めて日帰り旅、栃木・那須で自然に触れる“大人の林間学校”、岡山で今が旬のフルーツとアートを楽しむ旅、北海道・トマムで雄大な自然を満喫する旅など、この夏おすすめの旅先をご紹介します。 ※ anan2455号POPver.(通常版)と、MODEver.(特装版)は表紙・掲載グラビア(Mrs. GREEN APPLE)・バックカバー・価格が異なり、その他の内容は同一です。

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