
障害者支援施設、東京リハビリテーションセンター世田谷で働く石垣夢乃さん。
知的障害のある利用者の生活支援・地域移行支援を行う石垣夢乃さんにインタビュー。支援のやりがいや悩み、仕事への向き合い方について、世田谷区の障害者福祉施設での日常をもとにお話を伺いました。
Index
様々な福祉施設で活躍中! 現場で輝く自分らしい働き方
series
東京・世田谷区内の介護、保育、障害者福祉施設で働く人々にインタビュー。福祉のしごとを選んだきっかけや、やりがいを感じる瞬間とは?
福祉の現場③[障害]のお仕事に携わる人
Profile

石垣夢乃さん(障害者支援施設 東京リハビリテーションセンター世田谷)
いしがき・ゆめの 1997年生まれ。大学在学中に、社会福祉士の資格を取得。大学卒業後、社会福祉法人南東北福祉事業団に入職。「東京リハビリテーションセンター世田谷」の障害者支援施設で生活支援員として働き始めて6年目。
信頼関係をしっかり築き、障害を乗り越える

サービス管理責任者、相談員らとのミーティング。ここで利用者さんにどんな支援を行っていくのかを決めていく。
梅ヶ丘駅から徒歩5分の好立地に建つ「東京リハビリテーションセンター世田谷」。その中にある「障害者支援施設 梅ヶ丘」の知的障害者ユニットに所属し、生活支援や地域移行支援を行う石垣夢乃さんが、障害者の支援をしたいと思ったのは、小学生の時のこと。
「沖縄で育ったのですが、当時通っていた小学校で行われていた地域交流イベントに近所の障害者施設が参加していたんです。その時初めて障害者と触れ合い、みなさん面白い方ばかりで興味を持ったのがきっかけでした。それから本を読んで障害に関する知識を深めていき、障害者と関わるしごとに就きたいと思い、社会福祉士が取れる大学への進学を決めました」
きっかけは、憧れから

利用者さんが店員となり、接客や厨房の作業を実際に行うカフェを月1回でオープン。
そんな強い志を持った石垣さんだが、今の施設で働くことを決めた理由を聞いたら、驚きの一言が。
「都会だから(笑)。ずっと沖縄にいたので、都会に強い憧れがありまして…。進学先も埼玉の大学を選んだのですが、通ってみたら沖縄より田舎でビックリ。だから就職先こそはと探していたらこの施設を発見。世田谷区は都会だし、私が入職する1年前にできた新しい施設だったので、ここしかないと思ったんです」
「実際に勤務していて働きやすいし、シフト制なのでうまく調整すれば5日以上の連続休暇も可能で、ワークライフバランスも充実しています。それに施設はキレイだし充実した設備が整っているので、利用者さんが生活しやすい環境が整っています」
試行錯誤する中で伝わる想い
利用者さんによって障害の程度が異なり、性格も違うため、石垣さんはその人に合った支援を行いながら日々寄り添っている。
「利用者さんと話をするのが好きなんですが、なかなかうまくコミュニケーションがとれなかったり、体調やちょっとしたストレスで不穏になってしまうこともあるので、できるだけそうならないようにサポートしつつ、自立できるような支援を行っています」
「ただ正直、うまくいくことばかりではありません。昨年、私が担当した利用者さんに思うような支援ができないまま、残念ながら退所になってしまったことがあり、その時は落ち込みましたが、仲間やほかの利用者さんの優しさに助けられて、なんとか乗り越えられました」

日中活動の一環として、毎週土曜に利用者さんとおやつを一緒に買いに行くためスーパーにおでかけ。
「障害は病気ではないので治すものではありませんが、でも絶対にその人に合った支援の仕方はあると私は思っていて。失敗しても『次に挑戦!』と利用者さんと切磋琢磨しながら試行錯誤する中でこちらの想いが伝わることがあるんです」
「利用者さんのできることが増えると、一緒に喜んでハイタッチしたり。それが楽しいから、大変だけどこのしごとを続けていられます。またこれだけ地域移行支援に積極的に取り組んでいる施設も珍しいので、その一員として携われていることを誇りに思います」
今、一番の願い

生活支援だけでなく、ゲームを一緒にするのも重要なコミュニケーション。
地域移行支援とは、入所している障害者に対して、地域生活へ移行できるように日常生活や意思決定に対して支援を行うこと。本人や家族の希望を考慮しつつ、グループホームや自宅などその人に合った生活環境を探し、移行計画を立てることが大きなカギとなる。当施設では5年を目途に地域移行を目指すことを目標にしている。
「今度、私の担当している利用者さんが初めて地域移行のためのステップとしてグループホームにお試しで行くのですが、それがうまくいくことが今の私の一番の願いですね。これからも利用者さんに寄り添って、適切な支援ができるよう邁進していきたいです」
information

障害者支援施設 東京リハビリテーションセンター世田谷
2019年に開設した、国内最先端のリハビリ設備が整う大型複合施設。地上8階建ての建物に、障害者施設のほか、介護老人保健施設や回復期リハビリテーション病院を併設。世田谷区松原6-37-1 TEL. 03-6379-0427