スイーツライターのchicoさんがおすすめスイーツを紹介する「お菓子な宝物」。今回は『LoDYc chocolate(ロディック チョコレート)』のレモンタルト、ボンボンショコラなどです。

左から、「レモンタルト」648円、エクアドル・サモラチンチペ産の穏やかな風味のハスクを使った「カカオブリュレ」(648円)は、ハスクが洋酒のように芳醇。「ボンボンショコラ 4個入り」2916円。ライム、レモンと3種のフレッシュハーブのほか、マダガスカル産カカオを使ったラズベリー、インド産カカオで仕立てたパッションフルーツ、ガーナ産カカオにバナナとスパイスを合わせた一粒が収まる。
ライムとレモン、ハーブのボンボンショコラを舌に溶かすと、ふわりとそよ風が通り抜けた気がした。最高に心地いい一粒を作る『LoDYc chocolate』山内大輔さんは、パリ『パトリック・ロジェ』でスーシェフを務め、帰国後は長年ビーン・トゥ・バーを追求。彼のショコラはオートクチュールさながらで、カカオの個性を引き出す焙煎やコンチング(撹拌)を、アイテムごとに細かく変えるという。ボンボンショコラなら浅めに焙煎、ローラーリファイナーで素早くすり潰した後、コンチングしないとは驚くけれど、おかげで香りが段違い! 「撹拌で消えがちなカカオの爽やかな酸とアロマを残し、果実の風味と響き合うジューシーなフルーツガナッシュにしています」。しかもベネズエラ・チュアオのカカオにライム風味を感じたからライムとレモンのショコラに、という具合にカカオの個性を果物で露わにしてくれる。
一見チョコっぽくないタルトやブリュレにはカカオハスク(カカオ豆の薄皮)が大活躍。ハスクまで産地別で使い分けるなんて初めて聞いた。レモンタルトなら柑橘香がありスパイシーなインド産ハスクを生地に忍ばせて。生レモンから搾った果汁と皮のピュレを混ぜたクリームの爽香の後から、ハスクの香りがじわじわ奥行きを広げていく。やっていることはマニアック、でも詳しくなくても素直においしいし、知るほどにどこまでも味わい深くなる!
Profile
chico
チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
Information
LoDYc chocolate
東京都文京区本駒込6-2-8 TEL. 03-6902-2856 12:00~19:00 月~水曜休(祝日は営業、曜日・時間変動あり) 現在プレオープン中、10月11日グランドオープン予定。Instagram:lodycchocollate
anan 2463号(2025年9月17日発売)より