特別養護老人ホーム 千歳敬心苑で働く清水アリサさん(写真左)。

「介護の仕事を始めて、明るくなったね」と友人に言われるように。東京都世田谷区の特別養護老人ホームで働く清水アリサさんが語る、企画づくりや日々のケアを通して見えてきた“福祉の楽しさ”と“やりがい”。

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    様々な福祉施設で活躍中! 現場で輝く自分らしい働き方

    series

    東京・世田谷区内の介護、保育、障害者福祉施設で働く人々にインタビュー。福祉のしごとを選んだきっかけや、やりがいを感じる瞬間とは?

    福祉の現場①[介護]のお仕事に携わる人

    Profile

    清水アリサさん(特別養護老人ホーム 千歳敬心苑)

    しみず・ありさ 1997年生まれ。高校生の時に介護施設を訪れたことをきっかけに、介護職員初任者研修の資格を取得。高校卒業後、訪問入浴、看護助手を経て、約3年前に現介護施設に入職。介護福祉士実務者研修の資格を持つ。

    介護施設で働き始めて、性格も明るくなった

    毎日のタイムスケジュールに組み込まれた運動タイム。利用者さんと一緒に清水さんも体を動かす。

    世田谷区北西部エリアに位置する「特別養護老人ホーム 千歳敬心苑」で働く清水アリサさん。高校では食品科を専攻していたが、授業の一環で職場見学する際に実習先に介護施設を選んだ。

    「両親が共働きで、一緒に住んでいた祖父が私の面倒を見てくれていたので、いつか恩返しができればという理由で実習先を選んだのですが、結果それが今に繋がっています。昔から人と話すのが好きだったので、福祉系のしごとに就き、もっと深く人と関わる支援がしたいと介護施設への転職を考えました」

    「そんな時に転職サイトで今の職場を見つけて、施設長のブログを見たらすごく面白い方で、ユニークな取り組みをされていたので興味を持ちました。早速見学に訪れたら、施設内の雰囲気は良い感じだし、利用者さんも職員さんもみんな笑顔&ポジティブで、私もここの一員になりたいと思いました。実際にここで働くようになって、友達から『明るくなった』と言われるようになりました」

    自分の企画でみんなが笑ってくれるのが嬉しい

    ベランダで育てている植物や野菜に水やり中。「実がなるのが楽しみだねー」と清水さん。

    たしかに施設も人もみんな明るく、廊下に利用者さんの写真がたくさん飾られていたり、行事も豊富で利用者さんの誕生日にはその方が好きなドリンクが振る舞われたりと、毎日を楽しく過ごしてもらうための工夫があちこちに。自分が企画したことでみんなが笑ってくれるのが嬉しいと清水さん。

    「昨年、力士を施設に呼ぶ行事を企画して、実際に4人の力士に来ていただき、相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する『しょっきり』を披露してもらったら、みんな大盛り上がり! そういうみんながひとつになって何かを成し遂げる時の団結力が抜群なのがこの施設の強みですね」

    「それにイベントの時に楽しそうにしている利用者さんの写真をご家族に送ると喜んでくれますし、普段あまり顔を出さない方が面会に来られたりと、幸せが連鎖していくこともあって、それも嬉しいです」

    利用者と向き合うためにしていること

    共用リビングで過ごしている105歳の利用者さんと記念写真。

    もちろん楽しいことだけではない。常に利用者さん一人ひとりと真摯に向き合い、その人に合ったケアを模索している日々だそう。

    「みなさん異なる性格、意見、人生観をお持ちですし、認知症の症状のほか体調や気分にも波があるので、日々の観察は絶対に欠かせません。利用者さんのことをよく知ることはもちろん、職員同士で情報交換しながら、その人に最適な支援の仕方や、その人に本当に合った接し方を常に考えています」

    「これだけ年中一緒にいるので利用者さんは家族のような存在ですが、もちろん悲しいお別れも避けられない。それでもその人らしい最期を迎えてもらえるようにサポートするのも私たちの役目。看取った後は寂しい気持ちになりますが、そんな時もほかの利用者さんが支えてくれて励ましてくれたりするので、またいつものように笑顔を取り戻すことができています」

    大変だけど、それ以上に楽しいことが

    ベッドに横になるために介助中。声かけをしっかりしながら行うことで、相手に安心してもらいやすくなるそう。

    今のしごとが天職だと話す清水さん。今後の目標を聞いてみると、

    「今年中に介護福祉士の資格を取る予定です。リーダーとして働ける知識・能力も身につけ、もっと頼られる存在になりたいです。介護は力仕事が多いとか、重労働のわりに給料が安いとか言われますが、最近は便利な介護機器が続々登場していて私たちの身体的負担もどんどん減っています」

    「また介護職の給与も年々増加傾向にあり、都や区が実施している家賃補助などの福利厚生も手厚いので、経済的な部分はもちろん、精神的な安定にも繋がっています。大変なこと以上に楽しいことが多いので、多くの人に介護のしごとの楽しさをもっと広めていきたいですね」

    information

    特別養護老人ホーム 千歳敬心苑

    80名の入居者が生活する特養に、ショートステイ、デイサービスなどが併設。個性的な入居者とその個性を包み込む気さくな職員が集う、明るい介護老人福祉施設。世田谷区給田5-9-5 TEL. 03-3307-1165

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    写真・小笠原真紀 取材、文・鈴木恵美

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