“冷え”への様々な疑問に答えてくれたのは成城松村クリニック院長の松村圭子先生と医学博士の福田千晶先生です。
冷え予防のために、盲点となるパーツは?
冷え対策には、首元や足首など、“首”のつくポイントを温めるとよい、というのはよく知られた話。でも、意外な盲点になりやすいのが“二の腕”と“膝の裏”。
「寒い時に二の腕をさすったり、膝を曲げる仕草を自然としてしまうのは、ここから熱が逃げやすいため。どちらにも太い動脈が通っているので、しっかりガードしてあげる必要があります。インナーを袖付きのものにしたり、コートやスカートの裾を10cm長くするだけでも、体感は変わってくるはずです」(福田先生)
寒い地方の生まれの人は、暑い地方の生まれの人より寒さに強いって本当?
「人間の汗腺の数は3歳頃までに決まるため、暑い地方で育った子どもは汗腺の数が多く、暑さに強いと考えられています。逆に寒い地方で育った子どもは汗腺の数が少ないため、寒さに強いというより暑さに弱い、といわれるのが一般的です。また、育った環境による体感の違いもあります。例えば、大都市圏を比べた調査では、冷え症の割合が札幌よりも東京、大阪のほうが多いというデータもあるほど。気温が低い地域で暮らす人にとっては、寒さも“慣れ”。生まれ育った環境への耐性が自然と身についた結果なのでしょう」(松村先生)
太っている人は汗をかくから、冷えとは無縁?
「一般的に、“太っている人は暑がり”というイメージがあるかもしれませんが、これは少し間違った認識です。脂肪はみずから熱を作り出すことができず、周囲の温度の影響を受けやすいという特徴を持っています。そのため暑い環境ではすぐに熱くなるものの、冷やされると一気に内臓まで冷たさが伝わります。肥満とまではいかなくても、脂肪が多いわりに筋肉量の少ない人は要注意。また女性の場合は、年齢を重ねるとお腹まわりに脂肪がつきやすくなるので、腹部の冷えや内臓冷えにも気をつけましょう」(福田先生)
食べるだけで冷えを解消する食材を教えて!
「東洋医学では、食べ物にはカラダを冷やす“陰の食材”とカラダを温めてくれる“陽の食材”があります。陽の食材の特徴といえば、濃い色の食品や、寒い時期が旬の食材などが挙げられます。具体的にはかぼちゃやたまねぎ、イモ類、牛や羊などの赤身肉、マグロなど赤身の魚、色の濃い豆類や発酵食品の納豆など。反対に、陰の食材は暑い時期が旬のものや、水気の多い食べ物、色の白い食材などです」(松村先生)
陰陽の効果は料理法によっても変わるけれど、基本的な食材のグループ分けを覚えれば、積極的に摂りたい食材と、食べすぎに注意したい食材が自然とわかるはず。この冬のレシピにぜひ取り入れてみては。