呼吸、話す、食べる。生きることを支える舌。
「口は体の入り口といえます。呼吸、会話、食事、そのすべてに舌を使います」
と言うのは内科医の今井一彰先生。舌は免疫、そして健康と強い繋がりがあると語ります。
「舌は7つの筋肉で構成されており、鍛えなければ重力に負けて下がってしまい、いわゆる“落ちべろ”になってしまいます。舌が落ちることで、会話や咀嚼、飲み込む機能が低下し、口が閉じづらくなるので口で呼吸をすることに。この口呼吸というのが免疫を下げる大きな原因。体の水分と熱を奪うので冷え症になり、免疫物質が含まれている唾液の分泌は減ります。さらに扁桃が慢性的に炎症を起こし、それがきっかけで二次疾患を招くことも。また舌が落ちると顔が下向きになり、それによって気持ちが鬱っぽくなることも…」
なんとも不安になる話ばかりですが、ご安心を! 舌は筋肉、もちろん筋トレできるのです。
「“舌トレ”に加え、パンを食べるなら硬めのパンにしたり、食材を大きく切ったり、“よく噛む”食事を心がけることも舌に良い影響がありますよ」
落ちべろになっていないか、まずはセルフチェック!
あなたの舌はどのくらい落ちている…? まずは口の中で自分の舌がどこにあるか。“べろポジ”をチェックします。口を閉じ、口の中をリラックス。さてそのときあなたの舌先は、どこを触っているでしょうか…。
筋肉の衰えた「落ちべろ」
舌先が上や下の歯の裏にある、あるいはどこにも触れずに宙ぶらりんの人は、舌の筋力が低下している危険が!!
若々しい「健康べろ」
舌全体が上顎に沿うようにぴったりくっついている場合、あなたの舌は正しい“べろポジ”にあります。
「舌トレ」で鍛えられる筋肉をチェック
舌は顔や喉にある7つの筋肉と繋がっており、舌を鍛えることでそれらの筋肉にも刺激が。また、顔の肉がたるむことの防止にも繋がるので、美容効果も期待できるかも!
※7つの筋肉…眼輪筋(がんりんきん)、大頬骨筋(だいきょうこつきん)、笑筋(しょうきん)、口角挙筋(こうかくきょきん)、口輪筋(こうりんきん)、舌骨筋群(ぜっこつきんぐん)、広頸筋(こうけいきん)
あいうべ体操
あ~:口を大きく開き、目だけで天井を見ながら、「あ~」と1秒。実際に声を出さなくてもOKです。
い~:口を大きく横に開き、「い~」と1秒。首の筋肉にも刺激が。口角が伸びて気持ちがいい~。
う~:口を思い切り前にとんがらせ、「う~」と1秒。眉間にしわを寄せるのを意識して!
べ~:思い切り舌を下に伸ばし、目を寄り目にしながら「べ~」と1秒。この体操を3回繰り返す。
べろ回し
1、舌先を上の歯の表につけ、左右にゆっくり動かして、10回ゴシゴシとこすります。
2、次に舌先を下の歯の表に置き、同じように左右に10回こする。車のワイパーのようなイメージ。
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オフィスで舌トレ
1、人知れずできる舌トレを伝授。口を閉じたまま、舌を上顎のくぼんでいるところにくっつける。
2、くぼみの部分を前後にこするようにする。3分ほどが目安。電車の中や歩きながらでも可能。
いまい・かずあき 内科医、東洋医学会漢方専門医。著書に『免疫力を上げ自律神経を整える舌トレ』(かんき出版)が。
※『anan』2020年4月22日号より。イラスト・別府麻衣
(by anan編集部)