
鈴木亮平さん
最新の医療機器とオペ室を搭載したERカー(緊急車両)で災害や事故の現場に駆けつける、救命救急チーム“TOKYO MER”。彼らの活躍を描いた医療ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』シリーズの最新作、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』が公開中。今作では、鈴木亮平さん演じるチーフドクターの喜多見幸太が、新設された“南海MER”チームの指導者として派遣。離島巡回中に突然、大規模噴火をした島からの島民救出劇を描く。
説明のない部分にこそ、喜多見の深みを含ませていきたい
「火山灰と噴石を降らしながら、医療チームも島民も灰まみれになってお芝居をしました。傷病者を担いで砂浜を走るシーンは体力的に一番大変でしたが、これまでと違うのは島民同士が助け合う姿が色濃く描かれていること。今作では医療従事者だけではなく、誰もがヒーローになれるということを伝えたいです。また今回は喜多見が引っ張るというより、南海MERチームが独り立ちしていけるように一歩引いて見守る立場を意識しました。映画を観てくださるお客さんと一緒に、彼らの成長を“目撃”していくような感覚です」
映像のスケールアップはさることながら、南海MERのメンバーとして新たに加わった牧志秀実(江口洋介)、常盤拓(高杉真宙)、知花青空(生見愛瑠)、武美幸(宮澤エマ)の活躍にも注目したい。
「この作品は特殊で、速いテンポでセリフを言いながらストレッチャーを動かしたり、傷病者に医療行為を施すなど、画面に映っていないところでも同時に動き続けなければいけないという難しさがある。しかもその動きまでは台本に書かれていないんですよね。でも、みなさん恐ろしいスピードでMERのメンバーになってくれたと思いますし、その努力が素晴らしかったです。喜多見はもともと僕を意識して作っていただいた人物でもあるので、再び演じるにあたってセリフまわりや表情などで改めることは特になく。ただ、オペの動きの感覚は取り戻したくて自宅にあるオペセットをいじっていたんですが、思ったよりカラダや手が覚えていました(笑)」
喜多見については「両親や妹を亡くしたトラウマの中、TOKYO MERのメンバーを信じることで成長していくが、もともとは無茶もする危うい人のイメージ」だという。
「お客さんには、人の命を救うために一生懸命な男として映るかもしれませんが、一人の人間としてのエゴを持って演じていかないと、のっぺりとした、リアリティのない人物になってしまう。だから僕は普段から、ポジティブな人物であるほど、ネガティブな部分を捉えるようにしています。今作でももしかしたら一瞬、『あれ、なんで喜多見先生そんな表情してるの?』と思うシーンがあるかもしれないですが、そういう説明のない部分にこそ、喜多見の深みや多面性を含ませていきたいんです」
離島での撮影では、地元の方の協力も欠かせなかったという。
「大海原に浮かぶフェリーのシーンは、主に港で撮影させていただきました。空き時間に菜々緒さんとシュノーケリングをすることになった時、水着を持っていなかった僕は、漁師さんに海パンを借りまして。撮影含め、お世話になりました(笑)」
Profile
鈴木亮平
すずき・りょうへい 1983年3月29日生まれ、兵庫県出身。大河ドラマ『西郷どん』、ドラマ『レンアイ漫画家』『下剋上球児』、映画『エゴイスト』『シティーハンター』『花まんま』ほか主演作多数。
Information

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』
南の離島間を巡回中の南海MERは、突如発生した大規模噴火に対処すべく、島へ向かうことに。島に閉じ込められた島民79名を救い、“死者を一人も出さない”という使命は守れるのか…。全国公開中。Ⓒ2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会
写真・小笠原真紀 スタイリスト・臼井 崇(THYMON Inc.) ヘア&メイク・Kaco(ADDICT_CASE) インタビュー、文・若山あや
anan 2458号(2025年8月6日発売)より