昨年撮影の映画で共演。そして、この秋上演の野田秀樹さんの舞台『Q』:A Night At The Kabukiに共に出演する松たか子さんと広瀬すずさん。
松:昨年、映画の撮影現場でお会いしたことがありましたが、すずちゃんってどの現場でも、軽やかな感じで順応されている印象があります。
広瀬:よく、現場にスッといるよねとは言われます(笑)。松さんも、カメラの前でも自然にすとーんとしていらっしゃいますよね。力が入っていないようなんだけれど、立っているだけですごく意味を感じさせるので、自然と役のことを知りたくなるというか。
松:今度の舞台に向けて、去年から何度か野田さんのワークショップがおこなわれていたんですが、すずちゃんがセンターに立った時、広い空間の中でそこにピントが合う感じがあって、それだけで私は「好き」って思っちゃった(笑)。そういう空気を纏えるってすごいことだし、誰にでもできることじゃないから。
広瀬:あの時は、初めてのことばかりで戸惑いしかなかったです。歩き方や声の出し方から教えていただいて、映像とは違うんだって…。
松:私もまだ戸惑うことも多いですよ。ただ、本稽古の前に失敗を恐れずにいろいろ試せるし、野田さんに役と自分との相性を見極めてもらうためにも、ワークショップの時間を有意義に感じています。
広瀬:確かに、その場で渡されたテキストに書かれた役で、共演の皆さんと即興でお芝居をしたんですけれど、声を聞いたり、触れ合ったりするだけで、相手の方との距離感とか温度差が掴めるんですよね。私は人見知りなので、お芝居を通して共演者の皆さんとコミュニケーションをとれたことで安心感がありました。
松:私も冷めているのかもしれないけれど、現場を無理に盛り上げなくてもいいのかなと。結局のところ、作品を面白くしたいという思いで集まっている人たちですし、やるべきことに真摯に向かっていれば、作品は自然と面白くなるし、それが現場にいい空気を運んでくれると思うんです。今日はなんかいい感じかもっていう空気を、現場にいる全員が落とさずに上手くパスし合えたなって瞬間がたまにあって。それはすごく嬉しい。
広瀬:その感じ、わかります。でもこれが姉(広瀬アリスさん)のように近い距離感の人が相手だと、自分の情が入って役として共有しにくかったりするんですけれど。
松:(笑)。ひとりひとりの考え方や、アプローチの仕方が違っても、作品の前では全員がフェア。そこがとてもいいなって思っているんです。
まつ・たかこ 1977年6月10日生まれ。東京都出身。ドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)に出演中。11月に吹き替えを担当した映画『アナと雪の女王2 』が公開。来年には主演映画『Last Letter』が公開に。
トップス¥68,000 スカート¥55,000 ネックレス¥39,000 靴¥83,000(以上MM6 Maison Margiela/MM6 Maison Margiela Omotesando TEL:03・3408・8681)
ひろせ・すず 1998年6月19日生まれ。静岡県出身。放送中の連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)で主演。初舞台となるNODA・MAP『Q』:A Night At The Kabukiは10月から東京、大阪、北九州で上演。
ドレス¥48,000(バウム ウント フェルガーデン/ジャーナル スタンダード レサージュ 青山店 TEL:03・5778・4003) リング、人さし指・中指¥105,000 薬指¥75,000(共にSHIHARA/SHIHARA Lab TEL:03・3486・1922) シューズはスタイリスト私物
※『anan』2019年9月4日号より。写真・野呂知功(TRIVAL) スタイリスト・梅山弘子(KiKi inc/松さん) 佐藤里沙(bNm/広瀬さん) ヘア&メイク・赤松絵利(ESPER/松さん) 河北裕介(広瀬さん) 取材、文・望月リサ
(by anan編集部)
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