MY STANDARD GOURMET

平野紗季子の“MY STANDARD GOURMET”『天堂』のタイチャイニーズ料理

フード
2025.04.23

フードエッセイスト・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『天堂』のタイチャイニーズ料理です。

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セットアップディナー(予約制)は、お店のおすすめ料理が網羅されたプラン。一般的なコースのように提供の順番は決まっておらず、複数の皿がテーブルに並ぶことも。左から時計回りに、生レモングラ酎サワー(770円)、タイもち米焼売4個(1280円)、春巻き1本(630円)、酢豚(1400円)。

台湾料理の新風を巻き起こしてきた『フジ コミュニケーション』や『also』のオーナー・近藤喬哉(たかや)さんがまたもや面白い試みを始めた。3月に神楽坂の弁天町交差点近くにプレオープンしたのは、『タイチャイニーズ 天堂』。タイ料理と中華料理の境界線を軽やかに超えてゆく新感覚のレストランだ。

メニューは春巻き、酢豚、麻婆豆腐など、一見オーソドックスな中華。しかし料理が現れれば、わ~! と驚きの声をあげずにはいられない。酢豚は、大皿にざっと盛るのではなく、エゴマの葉などのハーブにのせて、金柑やレモングラスと共に一口で頬張るスタイルに。タイ料理のスナック「ミヤンカム」の要素を持ち込むクリエイティブっぷりだ。もち米のシュウマイは、ココナッツローストを纏い、パンダンリーフと共に蒸し上げるため、蒸篭を開けた瞬間に、うっとりするようなアジアの香りに包まれる。コースよりカジュアルだけど、アラカルトよりお任せできて楽ちんな“セットアップディナー”というプランも発明だ。

タイ料理は、歴史的にも中国料理から大きく影響を受けており、共通点も多い。だからこそ、驚きがありつつも納得感のある着地になるのがタイチャイニーズの妙。流行を生み出してきた近藤さんの手腕を感じずにはいられない。〈天堂〉とは中国語で“天国”。弁天町から新しい楽園が始まる。

PROFILE プロフィール

平野紗季子

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)、『ショートケーキは背中から』(新潮社)など。

INFORMATION インフォメーション

天堂

東京都新宿区弁天町177‐22 17:30~20:00(最終来店)、土・日・祝日12:00~14:00(LO)、16:00~20:00(最終来店)※20時まではセットアップディナー、20~23時はアラカルトのみ 不定休 Instagram:__ten_do__

写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

anan 2443号(2025年4月16日発売)より

MAGAZINE マガジン

No.2443掲載2025年04月16日発売

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