コンテンツ化するニュース。会見の本来の目的とは?

中居正広氏の女性トラブルをめぐる問題で、フジテレビは1月に10時間を超える記者会見を開きました。1回目に開かれた制限の多かった会見から一転、オープンなものになりましたが、「会見とは何をする場なのか」ということが問われる結果にもなりました。昨今、記者会見がセレモニー化することがより顕著になっています。
本来、フジテレビに対して、なぜ被害女性を守れなかったのか、番組継続などの判断が下された経緯や、今後同様のことが起きた場合にどう対処するのか具体的な対策などを聞く場だったのではないかと思います。被害者や加害者に対してどう思うかを問うても、通り一遍の答えしか引き出せません。
テレビ業界で働く一人として、自戒も込めて言わせていただくと、そもそもプロの記者であれば、自ら取材をし、それに対して当事者に確認を行うのが本筋です。週刊誌で報じられた内容の真偽を企業にストレートに問うというのは、あまりに安易だと思います。あの会見の場で、問題の根本解決のための前進をどのくらいの人たちが望んでいたのでしょうか。
日本では、企業の不祥事の会見は大抵同様のことが起きています。企業は説明責任を果たすことと、会社の利益を守るという相反したことを進めようとします。記者クラブに所属する記者たちを呼び、企業経営者が頭を下げる様子を取材してもらい、「投資家の要求通り謝罪会見を開いた」という実績づくりで終わってしまいます。
ニュース番組も、話題の事象に触れ、強いオピニオンを持つ人たちがそれを解説し、また次の話題に移るというような「コンテンツ化」が進んでいます。ネットでは実際に取材には行かないコタツ記事が多く見られます。視聴者や読者の注目を集められればいいというニュースが増えているのが現状です。さまざまなものがあってもちろんいいですが、ニュースは時に人の生死に関わります。食べ物と同じで、なるべく安心安全なものを手にしていただきたいです。一次情報に触れ、直接取材したものを求める声が増えれば、会見も記者のあり方も変わっていくのではないかなと思います。
PROFILE プロフィール
堀潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜18:00~19:00)が放送中。新刊『災害とデマ』(集英社)が発売中。
anan 2439号(2025年3月19日発売)より