一粒で二度おいしく嬉しい、名所と甘いものの名コンビ。
伝統的な風情が街のあちこちに漂いつつ、旬のスポットが入り交じる京都は、日本はもちろん世界中の人々を魅了してやまない。とりわけ色づく木々に彩られる秋は華やかさもひときわ。賑わうにはちゃんと理由があったと思わせてくれる。
なかでも足を運んでほしいのは、門前のおやつにも期待が膨らむ名所。苔の緑とのコントラストが際立つ庭園が、賑わう祇園の喧騒を忘れさせてくれる建仁寺。広々とした敷地に紅葉や銀杏が点在し、枯れ葉の上をしゃくしゃく音を立てながら歩くのも心地よい京都御苑。参道の銀杏並木も見ごたえのある今宮神社。新選組ゆかりの壬生寺。そして枯山水の石庭や池泉回遊式庭園が紅葉に染まる龍安寺。秋ならではの景色をたっぷり楽しんで。
名所を巡ったあとは、こちらも目的にしたい甘いものを目指して。千年の昔から受け継がれるあぶり餅に、進化系和菓子。日々のおやつから手土産にしたいものまでが揃う焼き菓子。抹茶やきなこのスイーツと、バリエーションも豊富な甘いもの。一軒といわずハシゴしたくなる魅力ある店々を巡りたい。
ここでは、建仁寺とその門前のおやつをご紹介します。
建仁寺(けんにんじ)
写真提供:建仁寺
建仁2(1202)年創建の京都でもっとも古い禅寺。国宝「風神雷神図屏風」(展示は複製)でも有名。潮音庭(ちょうおんてい)のほか石庭の大雄苑や○△□乃庭も。●東山区大和大路通四条下る小松町 TEL:075・561・6363 参拝時間10時~17時(16時30分受付終了)
ぎおんおはぎ小多福(おたふく)
色とりどりで可愛らしい、味を受け継ぐ名物おはぎ。
初代のおばあちゃんの作る、小ぶりなおはぎの味と屋号を受け継いだ専門店。北海道産大納言を使った優しい甘さの粒あんやきなこなど定番の味に加え、ピスタチオや和栗など個性ある季節のおはぎ(¥230~300)も人気。濃厚な豆乳を使ったアイス抹茶ラテ(¥600)も一緒に味わいたい。●東山区下弁天町51‐4 TEL:090・7908・5111 営業時間11:00~17:00 月・火・木曜休(祝日の場合は営業) https://www.otafuku-ohagi.jp/
祇園きなな本店
パフェに仕立てて味わう、優しい口溶けのきなこアイス。
丹波黒大豆きなこで作る、まろやかなアイス専門店が店を構えるのは、風情もひときわの西花見小路通。きなこ、黒ゴマ、よもぎの3種のアイスと、丹波大納言小豆や白玉、八ツ橋を合わせたきななハポン(¥1,600)は、和洋折衷の加減が絶妙。滑らかな口溶けの作りたてアイス「できたてきなな」も人気。●東山区祇園町南側570‐119 TEL:075・525・8300 営業時間11:00~18:00(17:30LO) 不定休 http://kyo-kinana.com/
祇園 北川半兵衞
宇治の抹茶問屋ならではの抹茶づくしを堪能する。
宇治に160年続く抹茶問屋が営む日本茶カフェは、上質な京宇治抹茶をふんだんに使ったスイーツが贅沢。抹茶のレアチーズケーキ、特選抹茶のアイスクリームなど5種の抹茶スイーツを盛り合わせた抹茶のデグリネゾン(¥2,900)はほうじ茶など選べる飲み物付き。●東山区祇園町南側570‐188 TEL:075・205・0880 営業時間11:00~18:00(土・日曜~20:00) 不定休 予約がベター https://gion-kitagawahanbee.kyoto/
Harmonika
フルーツの魅力を引き出す、華やかで繊細な料理人の技。
フレンチの料理人でもある店主の松本泰さんが作るのは、旬の果物にハーブなどで味を重ねたアシェットデセール。柿/杏仁(¥1,900)は食感の異なる2種類の柿、杏仁を感じるアイスとブランマンジェの秋の一皿。テイクアウトにはカヌレ(1個¥400)も。●東山区大和大路通松原下る弓矢町38 HaleLuana1F東側 TEL:050・3551・8625 営業時間12:00~21:00(20:30LO) 火曜休 Instagramは@harmonika_kyoto
するがや祇園下里
復活した京菓子の老舗で、ひやしあめをテイクアウト。
創業は江戸時代の文政元(1818)年。2021年にいったん暖簾を下ろすものの、2年後に復活を果たした和菓子店。煎った大豆が中に入った祇園豆平糖や、黒糖と生姜の飴を煎餅で包んだ大つゝなどの飴菓子が名物。生姜がきいた、ひやしあめクリームソーダ(¥800)など、新たなテイクアウトのドリンクにも注目を。●東山区八坂新地末吉町80 TEL:075・561・1960 営業時間11:00~18:00 水曜休 https://gionshimosato.com/
※『anan』2024年10月30日号より。写真・吉村規子 取材、文・大和まこ
(by anan編集部)