大旋風到来中! 面白さでぶん殴られる大傑作『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』を語りたい !|前編

エンタメ
2025.02.17

観た人が続々と沼落ち! 九龍城砦の秩序と平和を守る龍兄貴(ルイス・クー)

1月17日に公開された香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の熱狂が止まらない。本作にすっかり夢中になってしまったアジアエンタメ好きライター&編集部スタッフが、それぞれの「好き」をたっぷりと語る座談会を開催しました(前編は、ネタバレなしでお届けします)。

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INDEX

    九龍城砦沼にハマった4人が、“好き”を語ります!

    公開されるやいなや「すでに今年ベスト確定!」と口コミで火が付き、SNSはファンアートで溢れ、応援上映も開催、上映館も拡大しつつある『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』。

    本国で香港映画史上歴代No. 1ヒット(広東語映画動員数※20249月現在)を記録した本作だが、日本での愛され度合いも相当アツい! そんな本作にハマり込んだのが、「anan城塞四少」こと、アジアエンタメ好きライター&編集部スタッフ(※城塞四少=劇中に登場する若者4人組の愛称)。胸の内から溢れ出る想い、偏愛ポイントを語ります。

    ニシモリ/ライター。香港や韓国などアジアのエンタメ作品を長年ウォッチ、俳優などへの取材も行う。香港は何度も訪れたことあり。3月12日に新刊『あらがうドラマ「わたし」とつながる物語』が発売に。

    ホテハマ/ライター。『anan』本誌を中心に、アジアの映画やドラマに関する企画やインタビューを多く手がける。香港映画では、トニー・レオン、ドニー・イェン、レスリー・チャンが大好き。

    N山/編集者。アジア映画、アクション映画、ホラー映画ファン。ジョニー・トー作品が好き。推しはニコラス・ツェー。昨年秋初めて念願の香港旅行へ。

    T岡/編集者。映画担当で、普段はミニシアター系作品などを好んで観ている。香港映画やアクション映画は初心者だが、本作をきっかけにハマりそうな予感。

    『RRR』やハイローファンも歓喜! ハマる人が続出

    N山

    香港アクションエンタメ映画の超大作『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、日本でも口コミでどんどん話題になって、『RRR』の大ヒットを思い出させるような盛り上がりっぷりですね! 周りの観た人たちからは、絶賛の声しか聞いていない気がします。

    ホテハマ

    なぜここまでヒットしているんでしょうね。もちろんアクションや美術の素晴らしさもあるけど、関係性の見せ方のエモさとか、余白の作り方の上手さが心を掴んでいるのかな。普通にストーリーが面白い香港映画だったら他にもたくさんあると思うんだけど、それだけではない味わい深さがあるんだろうね。

    ニシモリ

    登場するキャラクターが多いのも良かったよね。全員キャラが立ってて面白いし、キャストの面々もいい。香港映画って、しばらく若手が出てこないイメージがあって、それこそN山さんが好きなニコラス・ツェーがずっと若手枠みたいなところもあったけど…。

    ホテハマ

    ここに、いい若手がいましたね! 特に、信一(ソンヤッ)役のテレンス・ラウは香港でも日本でも大人気な様子。

    ニシモリ

    そうそう。テレンス・ラウは、去年の香港映画祭で朝昼晩と舞台挨拶してたくらい出演作が目白押しだった。

    ホテハマ

    こんな日本でもウケるようなイケメンがいたんだ! と思いました。

    ニシモリ

    あと、『HiGH&LOW』ファンもすごく反応してますよね。(本作でアクション監督を務めた)谷垣健治さんが、オフィシャルのインタビューで「『ALWAYS 三丁目の夕日』の世界観で『HiGH&LOW』をやっ たら面白くなるだろうなと漠然と思っていました」と答えていて、「“ハイローっぽい”って言っていいんだ!」とお墨付きをもらった気分で盛り上がることができたのかも。

    『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』あらすじ

    舞台は、かつて香港に存在した「九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)」。1980年代、香港へ密航してきた陳洛軍(チャン・ロッグワン)は、黒社会の組織に追われて九龍城砦へ逃げ込む。そこで、城砦を仕切る龍捲風 (ロンギュンフォン)と、龍を慕う信一(ソンヤッ)、十二少(サップイー)、四仔(セイジャイ)ら住民たちと絆を深め合い、そこでの暮らしに生きがいを見出していく。しかし、やがて、時代の流れと共に、九龍城砦をめぐる派遣争いが激化。陳洛軍らも、その渦の中に巻き込まれていくのだった…。

    九龍城砦、アクション、クセ強キャラ、飯…面白さ全部盛り!

    N山

    では改めて、みなさんが観に行ったきっかけと、観終わった時の感想から聞いていけたら。私は、谷垣健治さんのXをフォローしていて、少し前からなんだか凄そうな作品に関わっていらっしゃるなと思っていて。元々アクション映画が好きなこともあり、日本公開を心待ちにしていた感じです。それで観に行ったら、好きなものしか入ってなくて最高最高最高で! 今年これ以上面白い作品に出会えるのか、心配です…。

    ホテハマ

    私も谷垣さんのポストをきっかけに、これは観たいなと思って。それで、谷垣さんの舞台挨拶付きの上映を観に行ったら、もう面白くて!!

    T岡

    僕は、ananの映画連載でも紹介していたので作品の存在は知っていたんですが、会社の先輩に、本作に登場した叉焼飯が美味しかったよ、というのを聞いて、観に行かなきゃと足を運びました。

    ホテハマ

    銀座の香港料理店『喜記』で、映画に登場する九龍城砦名物・叉焼飯を再現したコラボメニューが食べられるんだよね。私とN山さんもちょうどさっき食べに行ってきたところ。美味しかった!

    ニシモリ

    えっ! 私も今日行ってきたんだけど!

    ホテハマ

    店内に、劇中で使われたのと同じ(?)丼の器も飾られていたんだけど、小さくてちょっとビックリ(と、写真を見せる)。この量じゃ足りなそう(笑)。

    ニシモリ

    ちなみに、阿佐ヶ谷の「ビルカーべ」っていう雑貨屋さんで、こういう器売ってますよ。

    ホテハマ

    それを買って家で叉焼を作れば、あの叉焼飯が味わえる!

    T岡

    僕も食べに行かないと!
    その美味しそうな叉焼飯の話をきっかけにあらためて予告編を観てみたら、九龍城砦が舞台の作品だということに惹かれて、これはスクリーンで観たいと思って行ったんです。そうしたら、もちろん九龍城砦の美術もすごかったけど、アクションもとんでもなくて!

    N山

    なぜこんなにも九龍城砦にロマンを感じてしまうんだろうね。
    迷路のように雑多に入り組んだ建物群や、恐ろしいほど細部まで作り込まれた美術、ノスタルジーを感じる人々の生活…現実にはもうなくなってしまった九龍城砦だけど、映画を通して、ひとときの間訪れたような気分を味わうことができた。
    そうそう、T岡くんは、それまで香港映画を観たことはあった?

    T岡

    チャウ・シンチーの『カンフーハッスル』や『少林サッカー』は観ていたんですけど、ほんとそれくらいで、久しぶりの香港映画でした。

    N山

    今作はアクション満載だけど、そういえば、T岡くん、バイオレンス描写が苦手みたいなことを前に言っていたよね。それは大丈夫だったの?

    T岡

    大丈夫でした! 程よく面白さが織り込まれて、いい意味での大味さがあったのがよかったのかも。キャラクターたちもクセが強いから、これはこういう世界の作品なんだと思って観られました。

    ニシモリ

    香港映画やアクション映画を見慣れている人でなくても存分に楽しめる作品だよね。
    私はさっきとチラリと言ったように、去年の香港映画祭の上映のときに観に行って。始まってすぐに、もう密度がすごいから「これはもう一回観ないといけないやつだ!」と思ったのを覚えています。そのときは、テレンス・ラウも来日していて、会場の外でサインを求めるファンで溢れてたのよ。

    N山

    信一! いいな、 会いたかった!

    兄貴も若者もみんないい! 魅力的なキャラクターが大渋滞

    N山

    観終わった人が次々に沼落ちしてしまうような魅力的なキャラクターだらけですが、みなさんの好きな登場人物は誰ですか? たくさんいると思うけど。

    ニシモリ

    やっぱりルイス・クー演じる、龍兄貴こと龍捲風 (ロンギュンフォン)かな。みんなからの信頼が厚い、九龍城砦を仕切っているボスという役柄。

    ホテハマ

    私も!!

    ルイス・クー演じる、九龍城砦の秩序と平和を守る、住人たちの心の拠り所・龍兄貴こと龍捲風 (ロンギュンフォン)

    龍兄貴と主人公・陳洛軍(チャン・ロッグワン)の出会いのシーン

    01/01

    N山

    みんなやっぱり龍兄貴に夢中になっちゃいますよね。
    ルイス・クーって、今まで黒髪でビシッと決めた、ひとクセあるハンサムというイメージが強かったけど、今回の枯れた色気漂うヘアメイクとスタイリングがほんと天才的だった。サングラスを通した目線とか、ジャケット肩掛けしてる感じとか、タバコの咥え方とか、素敵すぎる…。撮り方とかも含めて、仕上がりがすげえ…って。

    ニシモリ

    うんうん。めっちゃ似合ってて良かったよね。

    ホテハマ

    最初は杖をついていたから、ちょっと弱々しい感じの人なのかな? と思いきや、主人公の陳洛軍(チャン・ロッグワン)の足を軽くはらって倒してからの、宙に浮かせてドーンと突いちゃってね。そして、あの、たばこキャッチ!!(拍手)

    T岡

    ルイス・クーはアクション映画で有名な人なんですか?

    ニシモリ

    アクションというよりノワールのイメージが大きいですね。ジョニー・トーの映画にもよく出ていて。はじめはTVBっていうテレビ局のドラマから出てきた人で、私もルイスの出ていた消防士のドラマに激ハマりしてたんだけど、どんどん香港映画界の中心人物的存在になっていって。今や自分で映画製作会社(天下一電影)も作って、この映画の製作もしていて感慨深いです。

    T岡

    へー! あの最初にいっぱい出てきたロゴの中に、彼の会社もあったんですね。

    ホテハマ

    そして、なんといっても、香港映画のレジェンド的存在でもあるサモ・ハンに大興奮! とあるシーンで、飛んでくるハサミを素早くキャッチした瞬間、思わず心の中で「ヒュー!」っと口笛吹いちゃった。「かっこいいー!」って。

    果欄(フルーツマーケット)を牛耳る黒社会の首領・大ボスを演じるのは、香港アクションのレジェンド、サモ・ハン!

    ニシモリ

    去年の東京国際映画祭マスタークラスのサモ・ハン来日イベントに行ったんだけど、そこで上映された『おじいちゃんはデブゴン』では、子供に優しいおじいちゃんを演じていたと思ったら、『トワイライト・ウォリアーズ』ではガラッと変わって悪〜い役(笑)

    ホテハマ

    アクションの時の「ハイッハイッハイッ」という掛け声もサモ・ハンらしさが出ていて「これこれー!」って嬉しくなっちゃった。
    谷垣さんがインタビューで、サモ・ハンや兄貴たちなど上の世代の登場人物はカンフーっぽく、若者世代はストリートファイトのようなアクションにしていると話していて。私はやっぱり兄貴たちのカンフーが好きだったな。

    ニシモリ

    兄貴チームでいうと、龍兄貴の義兄弟である秋兄貴を演じたリッチー・レンは、台湾出身で元は素朴な感じのお兄ちゃんって感じで歌手活動をしていて、すごく人気があったの。俳優活動もしてたけど、こんな渋い役を演じるようになるなんて…。

    N山

    秋兄貴、日々トレーニングしてサプリとか飲んで体を鍛えているという設定で。実際ご本人も撮影前にかなり訓練をされたみたいですね。

    リッチー・レンが演じる秋兄貴は、九龍城砦の地主で、かつては黒社会の首領。龍捲風と虎兄貴とは義兄弟の関係にある。

    ホテハマ

    あとは、虎兄貴もかっこよかった。喋り始めたら、声がガッサガサで!(笑)。 役作りなのか、元々の声なのか、どっちなんだろう。

    N山

    昔の戦いで右目を失ったという設定だけど、その時に目だけじゃなくて喉もやられたんじゃないかと考察している人もいましたね。

    T岡

    ああいう感じの怖い人、実際にいそう…。

    廟街(テンプルストリート)の黒社会の首領で、龍捲風と秋兄貴の義兄弟である虎兄貴。演じるのは、ケニー・ウォン。

    T岡

    僕は、気功を操る敵・王九(ウォンガウ)が悪役としてとても魅力的で好きでした。最初のほうで、彼と陳洛軍が二階建てバスで戦うシーンのとんでもなさに「あ、こっち系の映画なんだ! こういうのありなやつなんだ!」と分かって。座席を手で突いて破壊しちゃったり(笑)。“こういう映画なんだよ”というのが一発で伝わってきたいいシーンでした。映画全体にシリアスすぎない明るい印象を感じたのは、彼のユニークさが大きいんじゃないかと。銃とか撃っちゃう非道で何でもありなところも、伝統的なカンフーとの対比になっていて面白かったです。

    黒社会の幹部で、大ボスの右腕である王九。演じるのは、フィリップ・ン。

    ホテハマ

    何をしでかすかわからないような無鉄砲さが、不気味というか怖いというか。

    ニシモリ

    演じているフィリップ・ンも映画祭で見たけど、髪型全然違うしサングラスもかけてないさわやかな人がいると思ったら、王九だったとわかってびっくりしたという。

    ホテハマ

    あ、気づけば、あんまり主人公の陳洛軍(チャン・ロッグワン)の話してないね?

    命がけでベトナムから香港に密航してきた若者。陳洛軍(チャン・ロッグワン)。演じるレイモンド・ラムは歌手としても大人気。

     

    ニシモリ

    物語的に、行くあてのない人が主役というのはいいよね。そういうの、好きなんです。香港に流れ着いたという。
    この間、ナタリーの取材で芸人さんたちにこの映画の魅力を語ってもらう企画があったんですけど、東京ホテイソンのショーゴさんが、「“ちょい伸び坊主”で、いかつい系」だし、そういう主人公って少ないからいいですねって言われてました(笑)。

    T岡

    僕も好きでしたよ、この方。昔の日本映画の高倉健とか菅原文太を思わせるような無骨で無口なキャラクター。普通に考えたらテレンス・ラウ主演のほうが売れるのではと思ってしまうけど、そうではなく、彼みたいな人が主演というのが好感持てて。そういう人が主人公になれる香港映画っていいなと思いました。

    N山

    確かに、今の日本映画だと、なかなか主役にならないタイプかも。

    T岡

    それから、城砦に住んでいるちっちゃい女の子もよかったです。あそこで暮らすたくましさと哀しさの両方を表現していて、演技上手いな〜と。

    N山

    うんうん。暮らしている人たちみんないい顔してるんだよねー。2回観たら、叉焼飯屋のスキンヘッドの方も気になってきました。忠誠心が強くて、いいところで助けてくれるんですよね。

    九龍城砦の人々の、厳しくも温かい暮らしの様子も本作の大きな魅力の一つ。

    ニシモリ

    韓国映画の『悪いやつら』が公開された時も、脇役まで“いい顔”の個性的なおじさん俳優さんを揃えてて、東映所属の大部屋俳優たちの集団の「ピラニア軍団」みたいだって言われてたけど、今作も、まさにそういう魅力がある。

    N山

    そんないいキャラたちのたまらない関係性や、好きなシーン、アクションについても細かく語りたいのですが、ネタバレを含むので、それは後編で!

    後編はこちら!

    関係性の尊さが胸に迫る…『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』愛をもっと語りたい!!|後編(ネタバレあり)

    本作を愛するアジアエンタメ好きライター&編集部スタッフの“anan城塞四少”が想いを語る座談会企画、後編をお届けします。こちらは、ネタバレを含むので、鑑賞前の方はご注意ください!記事を読む

    INFORMATION インフォメーション

    『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』

    監督:ソイ・チェン 
    製作:ジョン・チョン、ウィルソン・イップ
    脚本:アウ・キンイー、チャン・タイリー、サム・クァンシン、ジャック・ライチュン
    編集:チョン・ガーファイ
    撮影:チェン・シウキョン
    音楽:川井憲次  
    アクション監督:谷垣健治
    衣装:カレン・イップ
    美術:マック・コッキョン
    造形:ブルース・ユー
    出演:ルイス・クー、レイモンド・ラム、テレンス・ラウ、フィリップ・ン、トニー・ウー、ジャーマン・チョン、リッチー・レン、ケニー・ウォン、サモ・ハン、アーロン・クォック
    新宿バルト9ほか全国にて絶賛公開中

    日本での大ヒットを受けて、龍捲風(ロンギュンフォン)役のルイス・クー、陳洛軍(チャン・ロッグワン)役のレイモンド・ラム、十二少(サップイー)役のトニー・ウー、四仔(セイジャイ)役のジャーマン・チョン、そしてソイ・チェン監督の来日が決定!

    2月23日(日)に、新宿バルト9にて「大ヒット御礼!来日舞台挨拶付き上映会」を開催。詳しくは、公式サイトやXへ!

    公式サイト





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    イラスト・犬見沢ぽちひこ



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