高齢化が進み、デジタル化が必至。万博にも期待。
2025年には戦後の第1次ベビーブームに生まれた団塊の世代が全員75歳以上になり、国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者になる超・超高齢社会を迎えます。令和6年版の内閣府の高齢社会白書によると、’25年の総人口に占める65歳以上の割合は推定3652万人で29.6%。そのうち75歳以上は2154万人。団塊の世代が65歳以上になった’15年は3379(75歳以上は1627)万人なので、想定以上に早く高齢化、少子化が進んでいます。
一方、企業に目を向けると「2025年の崖」といわれています。これは’18年に経済産業省が発表したDXレポートに出てきた言葉。企業のデジタル化が進まず、取引の機会を失ったり、人手不足で倒産するなど、2025年以降で年間約12兆円の経済損失が生じる可能性がある状態を「2025年の崖」と称しました。今後は徹底してデジタル化を進めなければいけません。ただ、中小企業庁や自治体が予算を投じ、DXに補助金を出したり税制優遇をしても、「どこから手をつけたらいいのかわからない」状態では資金を活用できません。デジタル化を手取り足取りアドバイスできる人を充当しなければ、格差が広がってしまいます。
最近は、銀行法の改正により、地方銀行が銀行業務以外のこともできるようになりました。例えば中国銀行はファイナンシャルグループを作り、’23年春から岡山でコンサルティング会社を立ち上げました。そして、過疎地域のDX化や老舗企業のDXのコンサルタントを務めています。地元が抱える問題を理解している地銀がそうして地場産業を支えるというのは注目すべき動きですし、広がってほしいですね。
’25年4月には大阪・関西万博が開かれます。大阪ヘルスケアパビリオンでは、自分の生体情報を基に25年後の「ミライの自分」のアバターと出会う体験ができます。健康や医療データを活用するPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を実感できそう。未来の自分の健康状態を把握して未病のうちに防げば健康寿命を延ばせますし、健康に関する産業の活性も期待できます。2025年は超高齢化問題に本格的に対処する起点の年になりそうです。
PROFILE プロフィール
堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。メインキャスターを務める報道情報番組『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜18:00~19:00)が放送中。