大傑作の続編『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が世界中で大絶賛! リドリー・スコット監督が伝えたいメッセージとは

エンタメ
2024.11.20

ドラマ『SHOGUN 将軍』の大ヒットで、時代劇がにわかに脚光を浴びているが、そのブームは西洋時代劇にも波及しそう。ローマ帝国時代を舞台にした2000年の大傑作『グラディエーター』の続編『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が世界中で大絶賛。「他の作品を手掛けたり、続編のアイデアがなかなか着地しなくて、完成までに20年以上かかってしまった」と言うのは、監督のリドリー・スコット。御年86歳にして、今でも年1~2本の大作をヒットさせる巨匠だ。

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巨匠リドリー・スコット監督が語る大ヒット作の続編。

Ⓒ 2024 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. Aidan Monaghan

「前作の公開時から続編を待望する声はあったんだ。でも、いいアイデアがなくていったんは諦めたんだよ。あるときパッとひらめいたのは、生き残ったマキシマスの息子は命を狙われかねないから、母親が遠くへ追いやっていること。これが今作のきっかけになり、脚本を進めてもらった。それと同時に、アイルランドのドラマ『ふつうの人々』を観ていて、主演していたポール・メスカルに注目するようになってね。彼なら成長したマキシマスの息子を演じられるとふんで出演を依頼したんだ」

前作はこう。ローマ皇帝の信頼を得て、次代の治世を任された将軍マキシマスは、怒りと嫉妬に狂った皇帝の息子コモドゥスによって全てを奪われる。そして奴隷から剣闘士となったマキシマスは、民衆を味方につけてコモドゥスに挑む……。この物語から16年後という舞台設定の本作は、悲しいかな、マキシマスの偉業を民衆が忘れ去り、同じような乱世に陥っている。時代劇を通じて見えるのは、波乱の現代……という皮肉にも受け取れるが?

「残念ながら人間は歴史から学ばない生き物で、過ちを繰り返すのみだ。私は第二次大戦前に生まれ、戦後の一時期、軍の仕事をしていた父と共にドイツに住んでいたんだ。私は父を通じて戦争について少しは知ることとなったのだが、我々は全く学んでいないね。宗教、または誰とは言わないが、独裁者らが常に戦争の火付け役となるものだ。前作でも描いたことだが、本作はより今に通ずるメッセージを込めたんだよ」

なんと冒頭は、手描きタッチのアニメーションで前作を振り返る。前作を観ていない人にも親切設計だ。

「映画の最初に流れる私の制作会社のロゴアニメを手掛けた画家のジャンルイジ・トッカフォンド(ユナイテッドアローズの広告も手掛けているアーティスト)に依頼したんだ。なんせ壮大な物語を振り返るパートだから、飽きられないようエンタメ感を出したんだよ。前作を観た人には思い出すきっかけになるし、未見の人にも伝わるはずだ」

史実どおりではないにしても、カラカラとゲタの兄弟皇帝、その腹心マクリヌスなど、実在したローマ時代の人物が登場する本作。監督が考える時代劇の魅力はなんだろう。

「私は衣装や武器など歴史に関するものが全部好きだし、なにより歴史は人間が同じ過ちを繰り返すことを教えてくれるのが魅力だと思うよ」

Ⓒ 2024 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. Aidan Monaghan

PROFILE プロフィール

リドリー・スコット監督

1937年11月30日、イギリス生まれ。’79年の『エイリアン』や’82年の『ブレードランナー』などで興行的にも作家としても大成功を収めた巨匠。『グラディエーター』(’00)ではアカデミー賞およびゴールデングローブ賞で作品賞を受賞した。

INFORMATION インフォメーション

Ⓒ2024 PARAMOUNT PICTURES.

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』

監督/リドリー・スコット 出演/ポール・メスカル、デンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカル、コニー・ニールセン、ジョセフ・クイン、フレッド・ヘッキンジャーほか TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開中。

インタビュー、文・よしひろまさみち

anan 2423号(2024年11月20日発売)より

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