お尻も他の肌と同じ。トラブルは起こるものです。
皮膚科医の小林智子さんによると、いわゆる皮膚トラブルは、座るときにクッションとなる部分に起こりやすいとのこと。原因は体質などもあるようですが、「座り方も大きく関わっている」と言います。ほとんどのトラブルは塗り薬などで改善するので、あれ? と思ったらまずは皮膚科へ!
ニキビ
「ニキビは毛穴に詰まった皮脂をエサにアクネ菌が増殖してできる炎症なので、基本的には臀部の毛が多い人によく発生する印象があります。またニキビと似た症状で、毛包にできる感染症の“毛包炎”、いわゆる“おでき”もよくあるトラブルの一つ。原因としては、汗をかきやすい体質や摩擦が考えられます。治療としては塗り薬での対処になるのですが、毛が多い方は脱毛することでニキビができにくくなるというパターンも」
黒ずみ
「原因は摩擦。椅子に座るときに前のほうに軽く腰掛けると、深く座るよりも体重がお尻にかかってしまい、それによって肌に摩擦が発生。炎症を起こした結果、黒ずみに。治療としてはハイドロキノンなどの美白剤を処方しますが、それはあくまでも対症療法。椅子の座り方など、生活習慣の改善も同時に行ってください」
ザラつき
「ザラつきの原因も摩擦で、摩擦が起こると肌を守ろうとして角質が厚くなり、それがザラつきに繋がる。治療としては、角質融解作用がある尿素配合クリームや、サリチル酸配合のワセリンを処方することが多いですね。だいたいはそれで改善していくんですが、痕が気になる場合は、肌の再生を促す治療“ダーマペン”によって肌の凸凹を改善させることも」
肛門周辺の違和感
「いわゆる“できもの”ができたり、湿疹が出たりした場合は、皮膚科で診ることができますが、肛門の内側の痒みや痛みといった違和感の場合は、肛門科に行くほうが診断は早いと思います。ちなみに肛門部分は、唇などと同じ粘膜なので、とてもデリケートな部位。トイレットペーパーを使う際には優しく丁寧にすると、トラブルの予防になります」
小林智子さん 皮膚科専門医、医学博士、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター研究員。著書に『すっぴん肌が好きになる 肌トラブル大全』(WAVE出版)など。
※『anan』2022年6月29日号より。イラスト・伊藤ハムスター
(by anan編集部)