左から、明日海りおさん、七海ひろきさん

宝塚音楽学校で共に学んだ明日海りおさんと七海ひろきさん。同期とはいえ、歌劇団入団後は明日海さんが月組、七海さんが宙組に配属され、ほとんど共演する機会がなかったふたり。なんとお芝居での共演は今回のミュージカル『コレット』が初めてだとか。


明日海:かいちゃん(七海さんの愛称)とは音楽学校時代の寮の部屋が、私と望海(風斗/のぞみ・ふうと/元雪組トップスター)の隣で。最初に挨拶に来たときの爽やかな感じを覚えてる。

七海:私のほうこそだよ。部屋に挨拶に行ったら、そのふたりが荷ほどきの手を止めて同時に振り返ったんだよ。世の中にこんな美人がふたりもいるんだって思った。

明日海:私は初日にかいちゃんが爽やかに挨拶してくれたことで、すごくホッとしたのを覚えてる。田舎から出てきて不安を抱えた中で、こんな優しそうなハキハキした人がいるならこれからの生活も楽しそうかもって希望をくれた。

七海:嬉しいな。

明日海:かいちゃんとは出席番号も近くて。

七海:同じクラスだったし。

明日海:一緒にお弁当食べたり、修学旅行も一緒に回ったりしてたよね。

七海:私、音楽学校時代で印象に残っているエピソードがあって。正塚(晴彦/まさつか・はるひこ)先生の演劇の特別授業みたいなのがあったときに、一番最初に「やりたいです!」って手を挙げたのがみりたん(明日海さんの愛称)で。

明日海:覚えてる! たしか靴を履く、みたいなことだったかな。普段の私はそんなことするタイプではないけれど、そのときは歌劇団の演出家の先生が教えに来てくれるんだから、なんかやらなきゃって思ったんだよね。うちの期がやる気のない人たちだと思われたら大変って、なんか変な責任感があったの(笑)。

七海:すごい。真っ先に手を挙げたみりたんがすごくカッコよかったし、そのときのお芝居もとても素敵で、もっと演じているところを見たいって気持ちになった。

明日海:かいちゃんは当時からつねに一生懸命で、誰に対しても本当に優しかったよね。入団後は組が違って会う機会が減ったけど。

七海:でも、会うとふたりで熱い話を繰り広げて、ね(笑)。

明日海:稽古場でよく会って。

七海:お互いに、夜、教室で自主稽古してたから。

明日海:そこでお芝居の話とか、組での自分の立ち位置や役割のこととか。あと、かいちゃんは新人公演(入団7年目までの若手で本公演と同じ作品を上演する)の舞台稽古も見に来てくれてたね。

七海:みりたんは入団してすぐからセリフがある役をやっていて大変だったと思うけれど、役として一生懸命演じている姿を見て、同期としてすごく誇らしかった。

明日海:私が印象的だったのは、『逆転裁判』かな。もともとハートフルなお芝居をする人だったけど、あの作品で役の心が見えるというかセリフがストンと腑に落ちる感じがしてすごいって思った。その後、星組に組替えされてから、また新しいかいちゃんの魅力を開花させた気がしてて。

七海:ちょうど私が、星組にいないタイプの男役だったんだと思う。そこにみんなが注目してくれて自分のキャラクターを確立できた部分もあったかなって。みりたんも組替え経験者だから。

明日海:そんな話もしたよね。あと、タカラヅカスペシャル(年末に行われる組をまたいでのイベント)で共演するようになってからは、同期でひとつの楽屋に集まってごはん食べたり。

七海:あったねー。

明日海:私たち、退団時期も近いんだよね。退団後の活躍も見ていて、進化を繰り返してリニューアルし続けているかいちゃんをすごいなと思っているよ。男役時代よりさらにカッコよくなってるんじゃないかと思うくらい。

七海:みりたんにそんなふうに言ってもらえるのがすごく嬉しい。私もみりたんの活躍を見てるよ。もともと朝ドラ好きだから、連続テレビ小説『おちょやん』とか、「私、この人知ってる」って誰かに言いたかったくらい。この間のミュージカル『昭和元禄落語心中』でも、明日海りおの進化を見せてもらった感じもしてて。

明日海:進化止まってなかった?

七海:うん。役によって全然顔が変わるから新しい役も見てみたいって毎回思う。だから今度の『コレット』も楽しみで。

明日海:かいちゃんが演じるミッシーは、コレットのことを鋭く察して大きく受け止めてくれる感じがある役で、その心の有り様というか構え方が、かいちゃんの魅力とぴったりで、すごくしっくりくるんじゃないかって思ってる。

七海:コレットは人を惹きつける魅力があるけれど結構奔放なところがあって、捉えようによっては悪女にも見える役。そういうみりたんって、これまであまり見てなかった気がするから楽しみ。あと個人的には、稽古場で本番に至るまでにお芝居をどう作っていくのか、その過程を近くで見られるのが初めてなので、その時間も大事にしたいなと思っています。

明日海:大きい字で“お楽しみに”と書いておいてください!(笑)

Profile

明日海りお

あすみ・りお 1985年6月26日生まれ、静岡県出身。元宝塚歌劇団花組トップスター。退団後は俳優として活躍。8月に出演ミュージカル『昭和元禄落語心中』Blu-rayが発売。10月開幕のミュージカル『エリザベート』も控える。

七海ひろき

ななみ・ひろき 1月16日生まれ、茨城県出身。宝塚歌劇団を経て、俳優、歌手、声優など多方面で活躍。3rdアルバム『Crystal』が好評発売中。現在放送中のドラマ『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる 2nd Stage』(MBS)に出演している。

Information

ミュージカル『コレット』

19世紀末のパリ。田舎町で育ったコレット(明日海)は、年上の作家ウィリー(今井)と結婚、夫のゴーストライターとして小説を書きヒットを飛ばすが…。創作の喜びと葛藤に苦しみながらも、自らの道を切り拓く女性を描いた日本発オリジナル・ミュージカル。8月6日(水)~17日(日) 東京・日本青年館ホール 脚本・作詞・演出/G2 音楽/荻野清子 出演/明日海りお、今井朋彦、大東立樹(CLASS SEVEN)、七海ひろき、吉野圭吾、花乃まりあ、前田美波里ほか 全席指定S席1万4500円ほか 大阪公演あり。

明日海さん・ジャケット¥79,200 ブラウス¥42,900 スカート¥64,900(以上ウジョー/エム TEL. 03-6721-0406) イヤカフ¥12,100(1DKジュエリーワークス/ドレスアンレーヴ TEL. 03-5468-2118) パンプスはスタイリスト私物
七海さん・ジャケット¥92,400 パンツ¥41,800(共にリトルビッグ info@littlebig-tokyo.com) スカーフ¥12,100(ガラアーベント/サーディヴィジョンピーアール TEL. 03-6427-9087) イヤカフ¥7,700(vv) 2連ネックレス¥110,000(O-KI) パールチェーンネックレス¥3,850(Boite de maco) 右手人差し指のリング¥14,300(tsugumi iwamoto) 右手小指のリング¥33,000(four seven nine) 以上ロードス TEL. 03-6416-1995 左手人差し指のリング¥25,300(イー・エム/e.m. 青山店 TEL. 03-6712-6797) その他はスタイリスト私物

写真・樽木優美子 スタイリスト・大沼こずえ(eleven./明日海さん) 藤長祥平(七海さん) ヘア&メイク・山下景子(明日海さん) ハラタタケヒコ(七海さん) 取材、文・望月リサ 撮影協力・バックグラウンズ ファクトリー EASE

anan2457号(2025年7月30日発売)より
Check!

No.2457掲載

夏のチャージ&デトックスRecipe

2025年07月30日発売

暑さのせいで食欲が落ちる夏。カラダに負荷がかかる季節だからこそ、必要な栄養は補給し、不要なものは排出して、コンディションを万全に整えておきたいもの。そのために役立つ夏のチャージ&デトックスレシピをご紹介。副菜もばっちり摂れる完全食のカラダ整えカレー、さっぱり食べられる薬味たっぷりレシピ、ライスペーパーを活用したおかず、美味しくて健康効果もあるデトックスウォーターなどをご紹介。

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