そこから始まる映画製作の様子を記録した『山田孝之のカンヌ映画祭』が現在、放送中。番組を手がける山下監督と松江哲明監督の2人にお話を伺いました。
山下:山田くんが映画のプロデュースをしたいという話は前から聞いていたけど、カンヌを目指すというのは意外でしたね。でも、多分、それ以外の映画祭を知らなかっただけなんじゃないかな…。ナントやロッテルダムの映画祭を勧めても、「あんまり半端なやつじゃなくて…」とか平気で言ってたくらいだから(笑)。
松江:映画のことを知らないおばちゃんが気軽に「カンヌ映画祭に出品しなよ」と言うのと近い感覚だよね(笑)。でも、そういう何も考えていなさそうなところが山田孝之っぽい。しかも、彼にはそんな無茶な話を実現する不思議な力があるんですよね。見えないビームで洗脳しているんじゃないかと思うくらい、人を巻き込む力がすごいから。
山下:本当に人たらしだよね。親分肌というわけではないんだけど、ついていきたくなる社長感がある。
松江:それに、テーマに“親殺し”を選んだり、カンヌを目指すうえでの山田くんの着眼点は決して間違っていないんですよ。嗅覚がいい。
山下:そうして初めて映画をプロデュースする山田くんの姿を見ると、映画製作において当たり前だと思い込んでいたことを考え直しましたね。
松江:僕としては“おいおい!”って思うこともある一方で、ぶち壊してくれという気持ちもあって。真っ白な彼の疑問を通すことで、たとえば性描写の甘さとか、日本映画における問題点が見えてくるんですよ。でも、だからこそ、映画の世界に身をおいている僕たちにとっては精神的にキツい部分はあったよね。この作品で浮き彫りになった問題が、自らに突きつけられるわけだから。
山下:僕と松江くんは、見えないストレスと自問自答を抱えながら作りましたよ。山田くんは、たしかに無茶苦茶で間違っているんだけど、モノを作るうえでの筋は通っているから、その姿を見ると心に残る何かがあるんじゃないかな。勝新太郎みたいな人だよね。でも、山田くんは勝新さんの破天荒な要素に加えて、自分を俯瞰で見られる人だから、ある意味、もっと怖い(笑)。
松江:作中では、今村昌平さんの話が出てきたり、過去のパルムドール作品を扱ったりもするので、この番組をきっかけに、カンヌ映画祭のことや作品について知ってもらえると嬉しいですね。映画好きなアンアン読者の方にぜひ見てほしいです。
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