知人が亡くなったと連絡が…。お悔やみ編
Q、お通夜と告別式、どちらに参列すべき?
A、通夜と告別式のどちらかへ。親しい間柄なら両方参列も。
本来、通夜は遺族や親しい関係の人が故人を悼む儀式。しかし、仕事の都合などで日中に行われる告別式に参列できない人が多いことから、今ではどちらに参列してもよい。また、親族や親しい人の場合は、訃報を受けてすぐ自宅などに駆けつけることも。ただし、事前に了解を得るなど、遺族への配慮をくれぐれも忘れずに。
【お通夜】
親戚や親しい友人・知人は通夜から参列を。最近は、告別式に行けない職場の人が通夜へ行くケースも。また、遺族や故人と親しい場合は、必要に応じて連絡係を引き受けたり、職場代表として手伝いを申し出るなどする。
【告別式】
ご近所や会社関係、取引先の人などあらたまった付き合いの場合は、葬儀・告別式に参列するのが一般的。行けない場合は通夜へ。訃報を受けたらお悔やみの言葉を伝え、喪主、日程と場所、葬儀の形式を確認しよう。
Q、どんな服装で参列すればいいんだろう。喪服以外でも大丈夫…?
A、告別式では必ず喪服を着用。1着用意しておくと安心。
通夜の場合、服装の対応が間に合わない事情を酌んで、ダークカラーのワンピースやスーツでもあり。ただ、告別式は喪服が必須。一般的な黒よりも深い色なので、“黒い服ならいいか”などと思わないように。また、明るい髪の人は黒のスプレーで暗くする、ジェルネイルは黒いレースの手袋で隠すなど弔意を表す装いを。
Q、香典はいくら包めばいい?
A、数千~1万円が一般的。関係性によって金額は変わる。
故人を弔い遺族を慰める気持ちを表す香典(呼び方は宗教や宗派で異なる)。金額は故人や遺族との関係により変わる。四(死)、六(無・亡)、九(苦)の数は避け、ふさわしい金額を不祝儀袋に包むが、新札を包むのは不幸を予期して準備していたようで失礼にあたる。使用感のある比較的きれいなお札を選んで。
- ご近所の人:¥5,000~10,000
- 友人、知人、職場の人:¥10,000
- 親族:¥30,000~
【不祝儀袋の正しい書き方】
香典は故人の宗教によって用意する袋や表書きが変わる。「御霊前」は宗教を問わない、「御香典」は仏式、「御花料」はキリスト教式、「玉串料」は神式となる。水引はあわじ結びの結び切りが一般的。氏名は、薄墨の筆や筆ペンを使い、表書きよりも小さな文字で書くこと。また、中包みの裏面に自分の住所と氏名、表に金額を書く。
【弔事の袱紗の包み方】
袱紗の真ん中より少し右に置き1)右、2)下、3)上、4)左の順番で包み、5)最後に余った部分を折り返す。慶事の場合とは逆の包み方なので気をつけて。
Q、お通夜や告別式に参列する時の持ち物を教えて。
A.持ち物は最小限にし仏式の場合は数珠の携行を。
今、日本で行われる葬儀の約8割が仏式。その場合、合掌の際に使う数珠は必ず持参するようにしよう。香典は袱紗に包み、ハンカチは黒や白などのシンプルなものにする。ハンドバッグの色は黒で、光沢のない布製で、装飾のないものがベスト。小ぶりなサイズを選び、必要最低限のものだけを入れる。
【数珠はいつ持つの?】
数珠は、会場に入るタイミングで手に持っておく。房の付け根が真下になるよう左手で持ち、合掌時は合わせた両手の親指と人差し指の間にかけ、親指で軽く押さえる。長い数珠であれば、輪を二重にして持ち、合掌をする時は、両手の中指にかけて行うこともある。
Q、ご遺族にどのようにお声がけすればいいんだろう…。
A、お悔やみは心の中で。気持ちは一礼で伝えよう。
通夜や告別式の場では、遺族に近寄ってお悔やみを述べるのは控え、黙礼や目礼にとどめる。言葉をかける時は、「この度は御愁傷様です」「心からお悔やみ申し上げます」くらいに。また、関係性が近く、訃報を受けて自宅に駆けつけた場合は、静かな口調でお悔やみの言葉や故人への哀悼の気持ちを伝えるようにする。
Q、焼香の作法がわからない…。
A、会場で多いのは立式。喪主の回数に合わせて焼香を。
仏式の通夜や葬儀で行う焼香は、霊前を清め、故人の冥福を祈るしきたり。気持ちを込めて、ゆっくりとした所作で行うようにする。さまざまな形式があるが、よく見られるのが立礼焼香。遺族が焼香をした後、司会者に促されたら順番に従って行う。回数は、一般に3回といわれているが、宗派や地域、参列者の数などによって異なる。
【お焼香の流れ】
1、僧侶、遺族に一礼
自分の番がきたら、次の人に軽く会釈をしてから霊前へ。霊前の手前で、僧侶、遺族の順にそれぞれ一礼をする。
2、遺影に一礼
数珠を左手に持ち焼香台の前に進み遺影に向かって丁寧に一礼する。
3、焼香を1~3回
人差し指、中指、親指で抹香をつまみ、目の高さまで持ってくる。つまんだ抹香を香炉の中に静かに落とす。焼香は喪主と同じ回数だけ繰り返す。
4、合掌し、一礼
数珠を両手にかけて静かに合掌して故人の冥福を祈った後、一歩下がり遺影に一礼。そのまま一歩下がって、僧侶と遺族に再び一礼して席に戻る。
Q、お別れの会に参列する時のマナーは?
A、近年増えた、お別れの会。献花の仕方に気をつけよう。
ここ数年、新型コロナの影響で通夜や葬儀を親族だけで行う家族葬が増えている。後日、お別れの会が開かれたら、服装は主催者側からの指定がなければ黒やダークカラーの略喪服で参列するのが一般的。案内状をしっかりとチェックして。
【花が手前を向くように置く】
宗教にとらわれないお別れの会では、参列者が花を手向ける献花台が設けられていることが多い。花を置く時は、花が手前を向くように気をつけて。
Q、お通夜や告別式に参列できない時はどうすればよい?
A、弔電を送ることでお悔やみの気持ちを伝える。
通夜や告別式に参列できない時は、お悔やみの気持ちを伝える電報=弔電を送る。式の日時と斎場の住所、喪主の氏名を確認してから、NTTなどで申し込む。不祝儀袋を郵送する際は、現金書留封筒に入れて、遺族の自宅に送る。また、祭壇に飾る供物や供花を送りたい場合は、事前に遺族の了承を得てから会場に手配する。
葬儀が終わってから亡くなったことを知ったら?
できるだけ早く、手紙でお悔やみの気持ちを伝えて。
年末に届く喪中ハガキなど葬儀後に訃報を知った時は、お悔やみ状で気持ちを伝えるケースが多い。さらに香典を送る場合は現金書留用の封筒に不祝儀袋とお悔やみ状を入れ、郵便局の窓口で手続きを。また、香典返しなどで気を遣わせたくない場合は、香典ではなく遺影に供える線香や花(フラワーアレンジメント)などに手紙やカードを添えて送り、お悔やみの気持ちを伝えるのもよい。
明石伸子さん NPO法人日本マナー・プロトコール協会理事長。文部科学省後援「マナー・プロトコール検定」を実施、マナーの啓発に力を注ぐ。『この1冊でOK! 一生使えるマナーと作法』(ナツメ社)など監修本・著書多数。
※『anan』2023年1月18日号より。イラスト・なか憲人(漫画) green K(Q&A) 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)