意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「習近平政権3期目」です。

独裁体制の続く中国。白紙運動で流れは変わるのか。

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10月23日に中国で習近平政権の3期目が始まりました。中国の政治は、毛沢東後は、共産党幹部たちが複数人で協議をし、最終的に皆で合意をして決める仕組みでした。しかし、習近平政権になってからは、集団指導体制ではなく習近平指導体制に変わっていきました。国家主席の任期も憲法で2期10年までとされていましたが、2018年にその期限は撤廃されました。

習近平国家主席は、国民からの支持を集めるために、汚職の摘発に力を入れました。不動産業の大手・中国恒大集団が経営危機に陥っても、取引に不透明なところがあるとして、国は救済しませんでした。急成長したアリババに対しては、いきなりトップを呼び出し叱りつけておとなしくさせました。

習近平体制になってからは、中国の躍進は目覚ましく、経済成長を背景に強い支持と強権を集めていきました。自らの政治基盤を固め、執行部のなかでも異を唱える人たちを要職からはずし、習主席のゼロコロナ政策を支えてきた人たちが党最高指導部のナンバー2やナンバー5に起用されています。

中国が目指しているのは一帯一路構想をさらにアップデートし、中国を中心とした世界の経済基盤を広げていくことです。また、「一つの中国」を掲げているので、台湾への侵攻は5年以内にあるだろうといわれています。ただ、中国からしてみれば台湾は自分たちの領土であり、日本やアメリカも台湾を独立国と認めてはいないため、内政に口を出すのは難しく、全面戦争になる可能性は少ないと思います。

そんななか、11月24日に新疆ウイグル自治区の高層住宅で火災が起き、10人が死亡。ゼロコロナ政策のせいで救助が遅れたとし、「自由を返せ」とゼロコロナ政策、さらには共産党、習近平体制に対する抗議のデモ「白紙運動」が各地で起きています。言論統制にかからぬよう、スローガンを書かずにA4の紙を掲げて抗議の声を上げています。中国で政権批判をすれば身に危険も及びます。天安門事件以来の出来事ともいわれ、それだけ市民の不満が膨れあがっていることを表しています。東京でも新宿で抗議の集会が開かれました。今後に注目したいと思います。

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ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~)が放送中。

※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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