就寝1~2時間前、40°Cに15分がベスト! ぐっすり眠るための“入浴”のコツ

2021.9.5
入浴方法をすこし見直すだけで、睡眠の質が変わる!? 快眠につながる入浴法を、押さえておきたいポイントとともに専門家が指南してくれました。できることから実践して、今晩から睡眠を変えよう。
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睡眠の質を左右する入浴方法を見直そう。

まだ残暑が厳しいこの時期。なかなか寝つけない、寝たのに疲れが取れないなど、眠りにまつわる不調を感じるのは辛いもの。

「気候的な寝苦しさもありますが、ここ一年はコロナ禍のストレスで、自律神経のバランスが崩れ、睡眠に問題がある人が増えている印象です」(脳腸セラピスト・桜華純子さん)

入眠をスムーズにして睡眠の質を上げるカギは入浴方法にある。

「眠りは体内の深部体温と深い関係があり、深部体温が下がると眠くなっていくメカニズムがあります。深部体温に高低差をつけるためには、入浴で体温を一時的に上げることが効果的。また、考えごとが多いと交感神経が優位になりますが、入浴でリラックスすれば、副交感神経もオンに」(眠りとお風呂の専門家・小林麻利子さん)

メリハリをつけることも大切。

「入浴前に仕事や翌日の準備を終わらせ、左脳を休ませて。良質な睡眠につながります」(桜華さん)

入浴効果

深部体温を上げて、入眠をスムーズに。
深部体温とは、体の内側にある内臓などの温度のこと。入浴で深部体温を上げると、その反動で急降下する。このときに眠気が起こるので、寝る1~2時間前の入浴がベスト。

副交感神経をオンにして深い眠りを誘う。
40°Cの湯船に入ることで副交感神経が優位になり、日中の活動モードからリラックスモードにスイッチ。さらに入浴による深部体温の変動で、自然な眠気が訪れ、深い眠りに。

浮力作用と水圧効果でリラックスできる。
首まで湯船にしっかり浸かると、浮力で筋肉のこわばりが和らぐほか、水圧により末端で滞っていた老廃物が流れむくみが改善。体が軽くなってリラックスするので熟睡しやすい。

湯船の温度が快眠とすっきりした目覚めを約束。

せっかく湯船に浸かるなら、快眠につながる湯温管理が大切。

「39°C以下だと深部体温が上がらず、42°C以上は交感神経を刺激してしまうので、副交感神経が優位になって深部体温も上がる、40°Cがベストです」(小林さん)

水分補給もお忘れなく。

「汗をかくので、入浴前には必ず常温の水を1杯飲んで」(桜華さん)

◎朝の湯船は安眠に効果あり?
朝風呂は安眠効果より、活動スイッチをオンにするもの。「熱いお湯で、勢いのあるシャワーを浴びるのが正解。起床後すぐではなく、太陽光を浴び水を飲んでしばらくしてから入るのが◎」(小林さん)

よく眠るための、湯船での過ごし方

POINT1:湯船に入る前の洗髪で温まり度がアップ!

「先に頭を洗って頭皮の血流を上げておくと、湯船に入ったときの全身の温まり度が高くなります」(小林さん)。「シャンプー時にはスカルプブラシでマッサージがおすすめ。血流も上がって脳もすっきりします」(桜華さん)

POINT2:炭酸ガス系の入浴剤で汗をしっかり出す。

汗が出ないのは深部体温が上がっていない証拠。「その場合は、血管拡張作用のある炭酸ガス系の入浴剤で効率よく体を温めて。炭酸濃度の高い入浴剤が効果的」(小林さん)。「添加物が入っていないものを選んで」(桜華さん)

POINT3:湯船の中で足首回しや耳マッサージを。

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寝つきが悪い人は、末端が冷えていることも。「足の指に手の指をかませてしっかり開き、足首がやわらかくなるまで左右に回すと血流が改善。全身のツボがある耳を中心から放射状に下、横、上に引っ張るのも◎」(桜華さん)

POINT4:40°Cのお湯の湯船に15分、首まで浸かる。

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「40°Cの湯に15分浸かると深部体温が0.5°C上昇。首まで浸かると全身が温まりやすく、脳の視索前野の温度が上がり、深い眠りにつながるデルタ波という脳波が増える研究報告が」(小林さん)。「苦しければ肩まででも」(桜華さん)

桜華純子さん 脳腸セラピスト、マインドフルネスカウンセラー、女性のためのトータルサロン『サロン・ド・エンジェル・エンジェル』主宰。1万人以上の心と体のケアを行う。著書に『幸せになりたかったら、腸を整えなさい』(フォレスト出版)。

小林麻利子さん 眠りとお風呂の専門家、SleepLIVE株式会社代表取締役、公認心理師、温泉入浴指導員。科学的根拠のある研究やデータから睡眠に悩みを抱える人へ実践的な指導をしている。『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)など著書多数。

※『anan』2021年9月8日号より。イラスト・ユリコフ・カワヒロ 取材、文・岡井美絹子

(by anan編集部)