物語をぐっと魅力的に!? “女同士の関係を印象的に描いた”コミック&小説3選

2021.7.17
物語の中にはいつも、ほんの少しうらやましい、そんな友達関係が描かれている。いがみ合ったり、慰め合ったり。心に染み入る友情をご堪能あれ。

年齢も性格も関係ない。女ともだちは自由だ!

女同士の関係を印象的に描いた作品を3人の女性が薦めてくれた。自身も女性の友情を描いた作品を執筆しているマンガ家のオカヤイヅミさんが選んだのは、

「それぞれが勝手なことをしているけれど、互いを認め合う、その上で成り立っている友情を描いた作品。そういった作品を読むと、“私もそこに居ていい”と言われているような気がするからでしょうか」

マンガライターの門倉紫麻さんは、“素敵な女ともだち”の存在が、作品にとってとても重要だと語る。

「恋愛がテーマであっても、素敵な女ともだちとの場面で一番泣いたりする。物語をぐっと魅力的にする存在です」

モデル・俳優の髙橋佳子さんは主人公に感情移入して読んでしまうそうで、

「主人公が友達に優しくされているくだりを読むと、自分もそうされたような気がして、癒されます(笑)。自分の周りにもこういう人、いる! と思いながら読むのも楽しいですよ」

自分の話をしたい、それで成り立つ友情も。

「美しい絵柄で、思春期の苦しさや自分の価値の不安定さ、考えすぎるときの気持ちが描かれていて、読んでいると胃がキュッとなります。私が好きなのは、宇宙人のネルと自意識過剰なまりもが、同じ場所にいるのに別のことを考えている場面。“自分の話をしたい”ことで成り立つ友情を肯定してくれて、嬉しくなります」(オカヤさん)

『教室の片隅で青春がはじまる』 谷口菜津子

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主人公になりたいがゆえにいつも空回りしてしまう女子高生・まりもと、クラスメイトの宇宙人・ネルを中心に描かれる、窮屈だけど愛しい高校生の青春オムニバスストーリー。¥924(KADOKAWA)©谷口菜津子/KADOKAWA

なんと20年以上続く二人の友情…。

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「“全部知ってる・知られてる”からこその安心感がありつつ、相手の生活を尊重してベッタリではないのがいい。“キツいことも言う。でもいざというときは助ける”という関係性は、私を含む読者の『女ともだち観』に多大な影響を与えていると思います。ずっと見てきたのでもはや二人が自分の友人のような感覚に!」(門倉さん)

『後ハッピーマニア』 安野モヨコ

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幸せを求め続ける女・重田加代子のアグレッシブな迷走人生を描く。’95年より連載された『ハッピー・マニア』の続編で、シゲタは45歳、友人のフクちゃんは50歳に。1~2巻 ¥990~1,012(祥伝社)『後ハッピーマニア1』©安野モヨコ/Cork

投げやりを超えた先に、本当の友情がある…?

「5番目の話に出てくる、メキシコ行きの飛行機で偶然知り合った青学女子と早稲女が、旅の終盤、互いのダメ出しをする悪口合戦のシーンが大好き。知り合ったばかりゆえの投げやりさと情熱が、動物的ですばらしい。そこまで感情を高められるって、実はものすごく相手にシンパシーを感じている関係性なんだろうな、と思います」(髙橋さん)

『早稲女、女、男』 柚木麻子

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早稲田大学に通う女子、通称“早稲女”を、立教や日本女子大、学習院、青学、慶應に通う女子たちの目線で描いた短編小説集。女子小説の名手である、柚木麻子の真骨頂! ¥660(祥伝社文庫)

オカヤイヅミさん マンガ家、イラストレーター。最新作『白木蓮はきれいに散らない』(小学館)では、’63年生まれの女性3人の“しんどい現実”の物語を描き、話題に。

門倉紫麻さん かどくら・しま マンガライター。Amazonのマンガ担当エディターを経て現職。雑誌などで、マンガ家へのインタビューを行う。また、イベントへの登壇なども。

髙橋佳子さん たかはし・かこ モデル、俳優。本誌をはじめ雑誌、広告等で活躍。筒井康隆の本を愛読する読書家で、自身のインスタグラムでは読書記録も綴っている。

※『anan』2021年7月21日号より。

(by anan編集部)