千鳥さんが荒野を開拓して道の歩き方を示してくれた。
――関西の芸人さんが関西ローカルから東京に進出して、全国区でもう一回売れる、というのはもはや芸人出世コースの定型になっていると思います。お二人は、今まさにそのルートを着実に上っていらっしゃっていて。そのことについては、今、どのように感じていますか?
山内:ステージが10まであるとしたら、やっと6まで来たな、という感覚。でもやることは東京に出てきたころから変わらなくて、ひな壇で呼んでいただいても、冠番組でも、どちらもフルスイングでいくだけかな、と思ってます。
濱家:山内が大きく振ってホームランを狙いにいってくれるから、僕は僕で全力でミートできる。全部外さずに、慎重にミートするだけ。二人のそういう関係性はずっと変わらないですね。
山内:東京に進出した時に、千鳥のノブさんに言われたんです。「全番組でちゃんとフルスイングしたほうがいいよ」って。それをめちゃくちゃ大事にしています。
――お二人にとって、やはり千鳥さんの存在は大きいんですね。
山内:そうですね。それこそ、千鳥さんが関西から先に乗り込んでくれて、荒野を開拓して、道の歩き方を示してくれている。だから、後輩の僕たちは自由にどこへでも歩いていける。そこは天才2人が先頭を行ってくれたことが本当に大きくて。僕たちが、そのすぐあとについていけたことは、本当にラッキーだと思っています。
濱家:僕たちって、ほんまに強運なんですよ。トップになるってめちゃめちゃしんどいことだけど、なんとなくそれをスルーしてここまできている。キングオブコントの時も、にゃんこスターがでっかくブレイクしてくれて、優勝したけどおいしい立ち位置をもらえたし、M-1も準優勝だけど面白かったと言ってもらえた。東京進出では「千鳥の次は、かまいたち」と言っていただける。こんなにラッキーなことってないと思います。
山内:今は、千鳥さんにずっとスリップストリームしてもらっているようなものです。
――そうなると、“風除け”になってくれている千鳥さんの脇から、かまいたちさんがどう先頭に躍り出るのかも気になるところです。
山内:それは本当にこれからですね。僕らのピークとなる2021年で全てお見せしていきたいです。
濱家:山内曰く、今年、僕たちピークらしくて。不安しかないです。
山内:やっぱ、ずっと売れ続けるというのはないと思うので。ある程度スピードに乗れれば、あとはその余力で走っていけると思うんです。だから、今年やりきって燃え尽きて。で、終わります。
濱家:今の俺らがピークで、そのあとは余力でいくとしたら、今後2年くらいしかもたへんで。
山内:いや、今年のピークの余力で、その後70歳までもたせたい。
濱家:……やっぱり不安しかないです。
――(笑)。濱家さんは、どういう考え方なのでしょうか?
濱家:僕は逆で、このままじゃ終わってしまうと焦るから、今こそあれこれなんでも試したい。欲張って仕事したいってなってます。本当に考え方が逆なんですよ。でも、山内がこうどっしりしたこと言っていてくれるほうがいいです。僕が心配しすぎるタイプなんで。
――山内さんが流れとかにあまり動じず、濱家さんのほうが心配性。性格が真逆だと、かまいたちとして、方向性で対立することなどはありませんか?
濱家:それはないです。僕たち、“人生の第一目標”はビタッと合っている。だからぶれないんです。
――それは、どんな目標で?
山内:スーパー金持ちになる、ですね。このゴールが一緒だから、どうすればいいか意見が食い違っても、金持ちになれるほうを選べばいいのでケンカになりません。
濱家:これマジで僕ら大金持ちになりたいんです。年収7億欲しい。
――……それ、大御所芸人さんのリアルな数字なんですか?
山内:いや、そんな人見たことないです(笑)。
濱家:でも、言っておかないと絶対にできないと思うからバンバン大声で言っていきたいと思います。かまいたちは、絶対に二人でスーパー金持ちになります!
『かまいガチ』(テレビ朝日)、『千鳥vsかまいたち』(日本テレビ系)、『かまいたちの知らんけど』(MBS)などレギュラー番組多数。YouTube「かまいたちチャンネル」もチャンネル登録者数100万人に迫る人気を獲得。また、お笑いのこと、家族のことなどを赤裸々に綴った山内さん初のエッセイ集『寝苦しい夜の猫』(扶桑社)も好評発売中。
写真左・山内健司 1981年1月17日生まれ、島根県出身。ボケ担当。右・濱家隆一 1983年11月6日生まれ、大阪府出身。ツッコミ担当。共にNSC大阪校26期生。卒業後の2004年5月にコンビ結成。‘17年、キングオブコント優勝。‘17年から3年連続でM-1グランプリ決勝に進出。ラストイヤーの‘19年、ミルクボーイに敗れ惜しくも準優勝に。
※『anan』2021年3月24日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・梅原加奈
(by anan編集部)