信頼できる弁護士や専門家を見つけておくことが必要な時代。
「家にいる時間が増え、DV傾向にあるパートナーからの逃げ場がないなど、コロナ禍をきっかけに新たな問題も出てくると予測されますが、信頼できる弁護士を一人知っておくと、いざという時に焦らずに問題解決に進めるでしょう。全く知らない弁護士をネット検索するよりも、知り合いなどから紹介してもらうほうが、いい弁護士に出会える確率は高いです。つてがない場合にはウェブ情報を参考にするしかないかもしれませんが、事前に専門分野を確認し、一回軽い悩みを相談しに行くのがおすすめ。アラサー女性の悩みは、お金や恋愛まわりまで赤裸々なことが多いはず。風邪をひいた時に病院に行くように身近な相談で様子を見て、性格や感覚の合う弁護士を知っておくと、後で重大なことが起きた時に頼れるでしょう。相談料は無料のところもありますが、30分5000円が相場。占いや美容院と同じ感覚で、弁護士も備えておくべきです」(弁護士・上谷さくらさん)
「相談する時に、自分が望むのは慰謝料などお金なのか、相手からの謝罪の言葉や誠意なのか、それを明確にしてから相談するところを選ぶのも手。また、いきなり弁護士さんのところに行くのはハードルが高いと感じる人は、まずは悩みのジャンルによってカウンセラーなどの専門家を訪ねてみるのもおすすめです」(ファイナンシャルプランナー、夫婦問題コンサルタント・寺門美和子さん)
デイリー六法のお仕事編をご紹介。会社での立場を考えて、つい言いなりになってしまったり、我慢したり…。多くの人が抱える“あるある”な問題はどう解決する?
Q 自分の了承なしに異動が決まった。異動を拒否する権利はある?
A 家族の介護が困難になるなどの場合を除き、原則として拒否はできない。
ある日突然、異動の打診をされた場合、それが行ったことのない土地や知り合いが一人もいない場所だと不安だらけ。「勤務先から異動の辞令がおりた場合、子供の養育や家族の介護を行うことが困難となるなどの場合を除き、原則として断るのは難しいでしょう。ただ、最近は優秀な人材確保のために社員の意向に反した転勤はさせないという企業もあり、将来的に柔軟な対応をする会社が増えるかもしれません」(上谷さん)
Q 残業禁止と言われ、やむを得ず家でいわゆるサービス残業…! 会社に残業代を請求できる?
A 時間外労働なので会社には残業代を支払う義務があり請求できます。
リモートワークも増え、切り替えがわかりにくくなってより深刻化しているという声も。「就業時間外に仕事をすれば、数分、数時間にかかわらず残業になります。残業した日時の記録を会社に提出し、残業代を支払ってもらうか、それに応じない場合は弁護士へ」(上谷さん)。「労働基準監督署(以下、労基)は会社名も伏せ、匿名で相談が可能。労基からの指摘は会社にとっていやなもの。改善が見られるかもしれません」(寺門さん)
Q チームのミスが自分の責任に。意に反する処分にはどう対処したら?
A 弁護士に相談するか、会社の体質を見直し転職を考えるのも選択肢の一つ。
「責任を押し付けられ、意に反する部署に飛ばされるなどの不当な処分を受けた場合は、弁護士に相談してください。上司と話す際はやり取りの様子を録音しておくと、弁護士も動きやすくなります」(上谷さん)。録音は相手に断らずにこっそりしてもOKなのだそう。「“不本意!”で片付けるのではなく、会社の体質や自分の将来を冷静に分析し、そんな会社とは闘わずに思い切って転職するのも賢い選択になるかもしれません」(寺門さん)
上谷さくらさん 福岡県出身、青山学院大学法学部卒。毎日新聞記者を経て2007年に弁護士(第一東京弁護士会所属)登録。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。現在、神田お茶の水法律事務所に在籍。
寺門美和子さん FP相談・夫婦問題&シニアコンサルタント「Miwa Harmonic Office」運営。女性の“お金問題”と“パートナー問題”の専門家として活動。一般社団法人 離婚準備支援協会 本部・相談役。
※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。イラスト・小泉直子 取材、文・若山あや
(by anan編集部)