岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「歌入れ」です。
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普段のレコーディングでは気に入った音が録れるまで何度もテイクを重ねます。とくに歌入れでは、僕はまあまあテイクを録るほうだと思います。歌がうまくないので、ピッチが外れていたとか、タイミングが合ってないなどテクニック的なところで納得するまで歌入れをします。歌入れをするときは、一気に歌うのではなく、まずAメロ、次にBメロと区切って入れていきます。細かく区切ったほうが、さらに丁寧に間違いなく歌うことができるからです。ひとつのラインにつき、だいたい10テイクずつくらいは録ってます。時にはこれが、15とか20くらいになるときも。そうなるとだんだん何が正解かわからなくなってきます。僕の場合は、周囲のスタッフをとても信頼しているので彼らのジャッジが頼り。チームみんなでいいテイクを選んでいます。

こんないい環境で歌入れができるようになったのは、当然、メジャーデビューしてからです。インディーズ時代は実家でひとりで歌入れをしてました。実家で歌入れができるのは11時~14時の3時間だけ。パソコンで作業できるオケ作りはヘッドホンをしていれば深夜でもできますが、歌入れはできる時間が限られています。音を出すから夜中はできません。かといって日中も、余計な音がしない時間帯を選ばないといけない。11時ごろまでは洗濯物を干したり、掃除したりと家族の生活音が気になるし、それが落ち着いても14時を過ぎると小学生の下校が始まるのでその音に邪魔される。だから、だいたい11時から14時までがもっとも静かに音入れができる時間です。そこで急いでレコーディングするので、インディーズ時代はそんなに丁寧にテイクを重ねるなんてことはなかったと記憶しています。

歌入れにもっともこだわったのは、最初のアルバム『BASIN TECHNO』ですね。こだわったというか、本格的なレコーディングが初めてだったので、慣れるまですごく時間がかかった記憶があります。このアルバムではMISIAさん、加藤ミリヤさん、AIさんなどを手がける与田春生さんとレコーディングをしたんです。ディーヴァ系を得意とする名プロデューサーの方です。歌もうまくない、田舎から出てきたようわからん兄ちゃんが歌う歌に根気よく付き合ってくれた。あらためて、歌姫要素ゼロの僕に奇跡のディレクションをしてくれたな、と思います。

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※『anan』2020年9月23日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・村田真弓 文・梅原加奈

(by anan編集部)

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