数をひけらかさない強さは、人間力に関わってる。
生粋のライブバンド、ハルカミライの2ndアルバム『THE BAND STAR』は、生々しくアグレッシブな魅力が進化している。まっすぐで叙情的な歌と歌詞、美しいメロディとタイトな演奏という強みがパワーアップ。作詞・作曲を担当するボーカルの橋本学さんはこう語る。
「今回、曲のアレンジも、歌詞もすごく良いものができたと思ってます。歌詞は自分が思ったことを素直に書きたいんですけど、例えば海を見て、“綺麗な海だ”って書くのか、“青白くて綺麗”って書くのか、“光ってるね”って書くのか、どれが自分にとって正しい海か、その都度選んでいくみたいな感じです。書いてる感情は一見ストレートなんですけど、自分のこだわりはかなりありますね。それを自分の中でクリアしていかないと、一曲が作り上げられない」
最後の曲はアコースティックな弾き語り調から、アップテンポに展開される瑞々しい友情ソング「友達」。
「世の中の音楽の8割9割をラブソングが占めてると思ってて。特に同年代のバンドの曲聴くと、“もうラブソングいいです”って俺は思っちゃうんですよ(笑)。それもあって、よく友達の歌を書くんです。もちろんラブソング自体を否定してるわけじゃなくて、まだ俺にはわからないことが多い。自分でもわかるラブソングが見つかるとすごく聴きます」
コロナ禍によってライブ活動がままならない状況にあるが、通常盤には昨年行われた、ハルカミライ最大の観客数8888人を動員したワンマンライブのDVDがつく。
「いわゆる数値って武器にならないと思ってるんです。“人がこれだけ集まりました”って一見すごく思えるんですけど、重要なのは中身。数をひけらかさない強さって、人間力に関わってるんじゃないかなって思います。例えば何万人ものフォロワーがいたらその数だけ見て“すごい”って言う人もいるけど、なんで何万人いるのかを見ないと、人対人の関係ではなくなってしまう気がする。もちろんバンド始めた頃はモテたいって気持ちもありました。今でも人気者になってみたい気持ちはあるんですけど、だんだん上っ面の下心みたいなものはなくなってきてますね(笑)。語弊があるんですけど、アイドルチックになりたくないというか(笑)。ムカついてる時はムカついてるような曲作るし、楽しい時は楽しい曲作るし。我慢しちゃうこともたまにあるんですけど、その気持ちを曲にしたり、ライブで話しちゃったり。かっこつけてたらかっこつかないって思い始めてます。泥にまみれてるかっこよさもある。めちゃくちゃ歌が下手で、ギターのチューニングも全然合ってなくてもかっこいい瞬間がある。それがバンドの魅力ですよね」
『THE BAND STAR』【通常盤(CD+DVD)】¥4,600 DVDには、昨年12月の幕張メッセでのライブがノーカット収録。【初回限定盤(CD)】¥3,100*共に税込み(UNIVERSAL MUSIC JAPAN)
左から、須藤俊(Ba、Cho)、関大地(Gt、Cho)、橋本学(Vo)、小松謙太(Dr、Cho)。2012年、東京・八王子市で結成。‘19年、初のフルアルバム『永遠の花』発売、12月には幕張メッセ国際展示場1ホールにてワンマンを開催した。
※『anan』2020年7月15日号より。写真・内山めぐみ 取材、文・小松香里
(by anan編集部)