「『マジ卍』のような語感やネーミングが面白いものや、『サムい』『すべる』といった、もとはお笑い芸人さんが使っていた言葉がテレビや雑誌で使用され、社会に定着するケースは多いです。最近は、SNSにより拡散スピードもアップしています。また、“財布=長い”が当然の時代にはなかったのに、小さい財布が増えたことで登場した『長財布』は、アイテムの変化から生まれた言葉の代表格。今年は、新元号をアレンジした言葉も生まれそうです」(『大辞泉』副編集長・大江和弘さん)
ハラスメント・ハラスメント
意味:自分にとって嫌なこと、都合が悪いことにはハラスメントだと問題にすること。
現代の問題を反映。「『乱訴/濫訴』という言葉に似ています。もちろん、ハラスメントはいけないことですが、“髪型を褒めたらセクハラなの!?”と、ビクビクしている側の本音から生まれた言葉です」
使用例:「○○さん、これ、昨日締め切りだよね?」「締め切りハラスメント!」「ハラスメント・ハラスメント…」
シンクー
意味:深夜に食事をする人。
罪悪感のある行動を、カタカナでポップに表現。語尾を伸ばすことで、“○○をする人”という雰囲気が漂う。「何よりも音感がいい。流行語って、意味よりも音感で流行るケースがあると思います」
使用例:「シンクーだから、朝食いらない」
トランプポジティブ
意味:トランプ大統領のように何が起きても動じずポジティブな人。
現アメリカ大統領から誕生。「12年前、小泉元首相が『鈍感力』を肯定的にとらえた発言をしました。トランプ氏がそれを知っているとは思えませんが、まったく同じ。彼は忠実に実践しているようです」
使用例:「彼女、あれだけ会う約束とりつけられないのに、この恋いけるって…」「トランプポジティブ!」
ミネラリー
意味:塩味の食べ物を褒める言葉。
味を表現する言葉の新顔。インスタグラムのコメントにも便利。「ワイン業界では、テイスティングの際の表現として使われています。今後ラーメンなどにも応用されていくかどうか…は、わかりません」
使用例:「このポテトチップスはとてもミネラリーだ」
指学問(ゆびがくもん)
意味:ネットの検索で学問すること。また学問した気になること。人に聞いて知見を得る「耳学問」からの造語。
経験したことがある人も多いはず。「『耳学問』は、聞いただけで学んだ気になってしまうこと。ネットの検索だけで知った気になることを『目学問』ではなく、『指』にしたあたりにセンスを感じます」
使用例:「それ、『ホモ・デウス』ってやつでしょ?」「また指学問で…。読んでないでしょ」
狛犬ポジション
意味:電車内のドア横にある、1人がようやく立つことのできる狭いスペース。壁に背を預けることができる。
1人しか入れない空間に立つ姿を、神社の狛犬にたとえた。「東大寺南大門の左右に位置する金剛力士像から、『金剛ポジション』としても流行るかも。いや、やっぱり、かわいいから『狛犬』でしょうね」
使用例:「狛犬ポジションからはみ出してるよ」
ガジュる
意味:ガジュマルの幹や樹根が絡み合っている様子から、ものごとが複雑に絡み合うこと。
面倒くさい人間関係を表現するときに活躍。「音感がいいですよね。ガジュマルが絡み合っている様子からは、少しエロティックな印象も受けるので、恋愛の泥沼感のようなものも伝わってきます」
使用例:「部内の人間関係がガジュっていて、うかつに相談できない…」
オケまる
意味:OKと句点を合わせた言葉。了解の意を表す。
「どうやら、‘16年頃から使われている言葉。自分にとって“新し”くとも、下の世代ではすでに死語化していることも。流行語っぽいと感じても調べることが大切。注意喚起を込め、あえて入れました」
使用例:「今度の土曜日、集まろう」「オケまる!」「…」
大江和弘さん “生きている国語辞典”として知られる、『大辞泉』(小学館)の副編集長。日々、生まれる新語に高いアンテナを張っている。
※『anan』2019年2月13日号より。イラスト・チヤキ 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)
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