自虐なのか開き直りなのか、はたまた称賛なのか。鋭い分析でアンアンの歴史をひもといた酒井順子さんの連載に、注目していた読者は多いはず。
1970年の創刊から昨年迎えた2000号までを追った本書は、アンアンの歴史を入り口に、日本の雑誌カルチャーや女性の価値観の変遷を俯瞰した貴重なエッセイだ。
「以前『オリーブの罠』という本を出したのですが、私自身はオリーブの愛読者で、アンアンはそれほど熱心に読んでいませんでした。そのぶん客観視できたというか、興味深くひもとくことができた気がします」
まず驚くのが、初期の尖りっぷり。若い独身女性向けの雑誌がなかった時代に産声を上げたアンアンは、お見合い写真としてヌードを撮る企画があったり、レズビアン体験を勧めてみたりなど、女性の自立やタブーに挑むような特集が目立つ。
「自分より年上の人はみんなマジメで、性的にも堅いと思っていたけれど必ずしもそうではなく、こんなにも奔放だったことに驚いてしまいます。ファッションでいうと、リセエンヌ(フランスの女子学生風スタイル)とニュートラ(ニュー・トラディショナル)という概念は、どちらもアンアンが発見し、そのふたつが派閥となって今の女性誌業界の構造が築かれた。それとともに女性も二分されていく歴史の源がわかったことに、個人的には興奮しましたね」
’80年代に入ると、ハウスマヌカンなどのカタカナ職業を猛プッシュ。その後も硬派に突き進むと思いきや、あっさりバブルに踊らされたり。自分らしさの追求とはいえ、雑誌として立ち位置が定まらないのは、時流に忠実だからこそ!?
「自分がしたいことをしまくるとモテなくなる。でもモテたい……というジレンマが、アンアンの歴史にはつきまといます。だからこそ結婚観も迷走してしまう。だけど迷うことこそが、アンアンの面白さですよね」
アンアンがついた“嘘”は、一体どんな功罪をもたらしたのだろう。
「過激なことを言って読者を惑わせたことは多々あるものの、女の人生がモテだけではないという視野や可能性を広げてくれた点では、ある種の役割を果たしたと思います」
雑誌の読まれ方や影響力が変わりつつある今、酒井さんが変わってほしくないと思うアンアンの魅力とは。
「時代の変化に素早く反応するアンアンならではの力はずっと持ち続けてほしいです。それとモテたいのに、ハッキリとそうは言えないところも大きな特徴だと思うので、このまま悩み続けてほしいですね(笑)」
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