“腸活”という言葉がメジャーになり、健康な腸への意識が高まってはいるものの、あまりに多くの腸活法が溢れ、自分に合う腸活って? と疑問に思う人も多いのでは? まずは、腸の状態を確認できる手軽な方法として日々のウンチチェックを行おう!
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多様な腸内細菌には、多様性に富んだ腸活を
近年、飛躍的に進化している腸内細菌の研究。その最前線で研究を続けているのが、腸と免疫の第一人者で薬学博士の國澤純さん。
「これまで、せっせと腸活をしてきたのに成果が得られていないという人は、ぜひ最新の知見に合った腸活を取り入れてください」
キーワードは“多様性”。腸内細菌も腸活も、たった一つに絞るのではなく、常に多様性を心がけてアプローチすることが大切だ。
「持って生まれた腸内細菌の組成は変わらないけれど、腸活次第でそのバランスが変わり、多様性に富んでいきます。私も食生活を変えたことで、様々な腸内細菌が活性化されてバランスが変わり、とてもカラフルになりました」
腸内細菌のバランスが変わりカラフルで豊かな組成になると、細菌同士が活性化して、腸内環境も整う。國澤さんが実践しているのが、多種多様なものを食べること。
「腸内細菌はマンネリを嫌うし、それぞれが好むエサも異なります。また、合わないものを大量に摂りすぎるとお腹を壊すことも」
腸活はオーダーメイド。自分の腸の状態をウンチなどで確認しながら、日々柔軟に対応していこう。
腸活の成否を握る、毎日のウンチチェック
「腸活を成功させたいなら、ウンチを見るべき!」と腸活プロデューサーの長瀬みなみさん。自身も便秘歴=人生だった状態から、ウンチと上手につき合うことで、毎日快便な第二の人生をはじめられた経験があるゆえ、説得力がある。
「大事なのは、自分のウンチの基準値を知ること。便秘などで悩んでいる人に実際に話を聞いてみると、他人の腸活方法を無理やり自分に当てはめて失敗していたり、便秘ではないのにそうだと思い込んでいる人も多いんです」
もちろん、色やカタチ、量など、世界共通の理想のウンチ像はある。
「とはいえ、体調や食べたもので日々変わるもの。1か月ほど様子を見て基準を知り、食事や生活を見直しながら、自分に効果的な腸活を見つけていきましょう」
目指すべきウンチ

・薄い茶色~黄土色
・腐敗臭がしない
・バナナ状、ソーセージ状で大きさは手のひら1枚分の一塊
・トイレットペーパーで拭いた時にウンチがつかない
・強くいきまなくても、するっと出て、出した後スッキリする
客観的に確認できる、世界共通のカタチの基準
ウンチは約80%が水分で、残り20%が食べかすや腸内細菌の死骸、剥がれた腸壁などで構成される。「腸が適切に動いているか、調子がいいかは、ウンチの水分量つまりカタチで分かります」。そこで役立つのが世界共通のブリストル便形状スケール。便の形状と硬さを7段階に分類したものをガイドに、自分のウンチがどれに当てはまるか判断を。「3~5なら現状維持を心がけて」
ウンチチェックポイント

1、コロコロ
ウサギの糞のように硬くてコロコロ。腸が動いていない状態。胃腸の負担を減らすよう、食事はよく噛むこと。こまめに水分補給を。
2、カチカチ
ソーセージ状ながら硬い便。放っておくと1になりやすい。水溶性食物繊維を多めに摂り、水分もこまめに摂取。便意を我慢しないこと。

3、ややカタ
表面にひび割れのあるソーセージ状の便。ちょっとしたストレスの影響や、野菜不足で起こりがち。とはいえ、健康なウンチの範疇。
4、バナナ
表面がなめらかで柔らかいソーセージ状、あるいは蛇のようなとぐろを巻く便。腸の状態が快適なことを示す、理想のウンチのカタチ。
5、ややゆる
はっきりしたしわのある柔らかい半分固形の便。腸が若干過活動気味で、便の腸内の滞在時間が短かったことを示す。健康の範囲内。

6、ゆるゆる
境界がほぐれて、ふにゃふにゃの不定形の小片便。泥状。脂質やアルコールの摂りすぎかも。水分を摂り、消化のいいものを食べて。
7、水っぽい
水様で、固形物を含まない液体の便。食物アレルギー、細菌やウイルス感染の可能性が。原因を探り、この状態が続くなら病院へ。
こんな生活していませんか?
1~2の人…便秘ゾーン
・食事量、水分量が少ない
・食物繊維量が少ない
・あまり噛まない
・トイレを我慢する
・運動不足である
3~5の人…健康ウンチ
6~7の人…下痢ゾーン
・脂っこいものが好き
・消化不良になりがち
・体が冷えやすい
・ストレスを感じやすい
・お酒をよく飲む
教えてくれた方
Profile
國澤 純
薬学博士、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 副所長とヘルス・メディカル微生物研究センター センター長を兼任。近著は『9000人を調べて分かった腸のすごい世界』(日経BP)。
長瀬みなみ
腸活プロデューサー。“腸活と発酵でHappyな人生を”をモットーに、全国でセミナーを開催。イベントや商品のプロデュースも行う。近著は『ムリしない腸活 おなかとうんちとの付き合いかた』(緑書房)。
anan2456号(2025年7月23日発売)より