『愛の、がっこう。』©フジテレビ

7月から次々とスタートしていく夏ドラマ。今回はドラマオタク二人が楽しみなポイントと、時には厳しい(?)意見も織り交ぜながら対談。メンバーは『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)も執筆するライターの小林久乃と、幼稚園時代からドラマの虜だと豪語する、anan編集部員のS。現場で取材をする二人だからこそ聞けるトークも満載です!


今回の対談するのはこの2人!

Profile

小林久乃(こばやし・ひさの)

文筆家、編集者。出版社勤務後、独立。最新刊は超絶ドラマオタクの知識を活かした『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、ラジオトーク、各メディアの構成と編集が主な仕事。

編集S

テレビ誌編集を経て、2018年にanan編集部へ。幼稚園の時に見た『ひとつ屋根の下』に感動&”あんちゃん”に初恋…! 以降ドラマ好きの母と毎クールいろんなドラマを鑑賞する生粋のドラマ好きに。

週の真ん中、水曜はラブコメを見て休憩をしたい(編集S)

小林

それぞれに気になるドラマをいくつかピックアップしてきましたので、作品について話していきましょう。まずはラインナップを見てSさんも私も、激推ししているのが…。

編集S

阿部サダヲさん主演、松たか子さんヒロインの『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)ですね。シンプルにこの二人が共演するのは面白そう。映画『ファーストキス 1ST KISS』がすごく好きで「この人すごい!」と感動して、その余韻が残っていて…。

『しあわせな結婚』©テレビ朝日

小林

この二人、実は共演も多いんですよね。今回は阿部サダヲさん演じる原田幸太郎が夫で、松たか子さん演じる鈴木ネルラが妻。夫に言えない秘密を抱えているらしいです。松さん、いいよなあ。私同年代なんですけど無理をしていないというか、自然な年齢の重ね方をしている。私もこれは一番期待しているんですけど、大石静さんが脚本を担当しているのも気になる理由の一つ。

編集S

大石さん、30代の私からすると大御所の脚本家さん! というイメージです。

小林

昨年、大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合・2024年)以来、初めて書く脚本なんですよ。あと松さんの衣装を担当するのが、杉本学子さんというスタイリストさんなんですけど、いつも素敵で。松さんだと『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ、フジテレビ系・2021年)とか。最近だと『さよならのつづき』(Netflix・2024年)の有村架純さんを手がけていますね。役柄と本人のキャラクターを上手く掴んでいるなあと思います。さてSさん、続いては…?

編集S

(鼻息荒く)『海老だって鯛が釣りたい』(中京テレビ、日本テレビ系)は絶対に見ますね! 田辺桃子さん演じるヒロインの会社員・海老子がハイスペ男性(鯛)との恋愛、結婚を夢見るラブコメです。そこに4人の男性が現れる。その男性陣も桜田通さん、中川大輔さん、草川拓弥さんに、&TEAMのEJさん。EJさんは韓国の方なんですけど、日本語もすごく上手なんですよ。

『海老だって鯛が釣りたい』©中京テレビ

小林

Sさんに押されて(笑)第一話から見ていますけど、王道のラブコメ要素が詰まっていて、ニヤニヤしちゃいました。

編集S

世代的に『花より男子』(TBS系・2005年)のファンなので、4人の男性が出てきて「誰にしようかな」なんて考えるのが楽しいです。特に恋の当て馬になるキャラクターが好きなんです。放送中に小林さんとも「誰がいい?」なんて話したいですねえ。(笑)

小林

主演の田辺さんも途切れずにドラマ出演している。ちょっとクセのある役が多いけど、毎回見事に自分のものにしているというか。だから今回の役も安心して見られます。

『海老だって鯛が釣りたい』©中京テレビ

編集S

この作品、水曜の深夜放送なんですけど、私にとってはありがたく…。1週間のうち「あとひと踏ん張り!」という水曜。帰宅して、いい意味で難しいことを考えずにゆったりしながら見られるドラマはありがたいです。

小林

では『海老だって鯛が釣りたい』とちょっと毛色が変わりますが『僕達はまだその星の校則を知らない』(関西テレビ、フジテレビ系)にも惹かれております。

編集S

私もです! 主演の磯村勇斗さん、独特の雰囲気があってかっこいいですよね。

小林

磯村さん、今回スクールロイヤー(学校内で発生する問題に対応する弁護士)の役とは珍しい。そういえば彼が今まで演じた役も一風変わった役が多いんです。最近だと『不適切にもほどがある!』(TBS系・2024年)のムッチ先輩とか、『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系・2025年)で怪しい記者とか。8月配信予定の『ソウルメイト』(Netflix)は、オク・テギョンさんとのラブストーリー。

編集S

『きのう何食べた?』(テレビ東京・2019年)のジルベールも強烈でした。

小林

今回、第一印象は学園モノ? と思うんですけど、内容はもっと深そう。脚本はお仕事系のドラマに定評のある大森美香さんです。彼女の書く脚本は現実味があるんだけど、ちゃんと繊細さもそこかしこに隠れているのが魅力的で。

編集S

確かに。女性が活躍するドラマ、多く書かれていますよね。『ランチの女王』(フジテレビ系・2002年)が大好きで、毎週見ていました。

仕事柄、先に台本を読んじゃっても面白いドラマは面白い!(小林)

小林

女性が活躍するといえば、だいぶ年齢が低くなりますけど(笑)『誘拐の日』(テレビ朝日系)の永尾柚乃ちゃん出演、斎藤工さん主演作も。

編集S

斉藤工さんと江口洋介さんのインタビューが7/23発売のananに掲載されるので、皆さまよろしければぜひそちらもチェックしていただきたいです!(笑) 

小林

どんな内容のドラマなんですか?

編集S

韓国の小説が原作なんですけど、斉藤さん演じる新庄が自分の子どもの難病治療のために、柚乃ちゃん演じる有名脳外科医の一人娘・七瀬凛を誘拐しようとするんですけど、その前にうっかり連れ去ってしまうんです。普段、斉藤さんというと格好いい役のイメージが強いんですけど、今回はちょっとボケた感じというか。で、二人のことを江口さん演じる刑事が追うんです。

小林

でも制作関係者ではないのに台本を読んで、先を知ってしまうのは我々の職業の宿命ですよね…。私も最近『ひとりでしにたい』(NHK総合)の台本を最後まで読ませていただく機会がありました。「あ〜…知らない方が良かった?」と思うけど、それでも感動するドラマはするんです。

編集S

名作は文でも映像でも、やっぱり面白いんですね。あと、小林さんと私がチェックしているドラマは…。

小林

あと3本! まずは木曜劇場『愛の、がっこう。』(フジテレビ系・TVer、FODなどで見逃し配信中)です。これは木村文乃さん演じる、高校教師が婚約中なのに、ラウールさん演じるホストと恋に落ちていく…って平成の名作ドラマ『魔女の条件』(TBS系・1994年)じゃないですか! 作品ファンとしては見ないわけにはいきません。

『愛の、がっこう。』©フジテレビ

編集S

ラウールさんもいいですよねえ。スタイルが日本モデルとは思えない。ずば抜けてる。

小林

あ〜、わかります。でも話すと可愛らしいし、しっかりしている印象で。あの高身長の俳優は、日本になかなかいないと思うんです。

『愛の、がっこう。』©フジテレビ

編集S

木村さんも結構身長があるけど、やっぱり身長差がありますもんね。これを演出にどう活かしていくのでしょうか。続けて『初恋DOGs』(TBS系)はいいなあと。とにかくこのドラマで犬を見て、癒されたいんです!

小林

Sさん、ひょっとしてお疲れですかね? これも見たんですけど「あ〜、この二人くっつくよね?」と思いながら、清原果耶さん演じる弁護士と、成田凌さん演じる獣医を眺めてました。ところで、なんでドッグ=犬なんですかね?

編集S

犬のほうが自然と恋に発展するきっかけをつくりやすいからですかね? 猫だと散歩にも行かないですし(笑)。私も見たんですけど、突然カッコいいバスケシーンがあるとか、エピローグがあるとか。“韓流!”って感じがして良かったです。ナ・イヌさんの役が韓国屈指の大企業御曹司で、兄弟間の出世には興味がなくて、仕事ができないふりをしているとか、どこに行ってもモテモテとか、日本で韓流のラブコメの王道をやろうとしているのも素敵ですよね。

小林

今回、制作に韓国のスタジオドラゴンも関わっていますしね。

編集S

あとは、野呂佳代さんが出演しているドラマって面白い&ヒットするイメージがあって。野呂さんって、看護師、教師、ヘアメイクとか専門職の役がすごく似合いますよね。ホームページの写真を見ていると本当にいそうですもん(笑)。

ドラマに出てくる衣装をいつもチェックしています(編集S)

小林

ラストになりますけど『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)はラストまで見る! と決めました。新型ドラッグと警察の特殊チームが対峙していく物語なんですけど、見ていてドキドキしました。『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』(TBS系・2010年)の、特殊能力(SPEC)を持つ犯罪者が出てくるという設定にちょっと似ているんですよね。全体的に無駄がなかったです。

編集S

ジウ役の井浦新さん、怪しくて良かったです。

小林

彼が出てくるとドラマ全体が引き締まる。ジウと特捜課の衣装を先輩の高橋毅さんというスタイリストさんが担当しているんです。OAを見たらスーツがビシッとしていて、良かったな。ドラマでリースアイテムだとサイズアウトしていることも多いけど、今回はそれがなかった。

編集S

衣装、大事ですよね。『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ、フジテレビ系・2024年)で杉咲花さんが持っていたバッグとか日記帳が可愛くて、気になって検索しましたもん。

小林

衣装が物語る役ってあると思う。例えば、最近はヒロインがヒールを履かなくなりましたが、気の強い女性など性格を分かりやすく表す衣装として登場していたり。読者の皆さんも、そういうところを見るのもの面白いかも。あと私はこの作品に関しては髙橋海人さんに注目しています。彼のビジュじゃなくて、演技のファンなんですよ。彼の出演作はぜんぶ見てるんじゃないかな。役へのスイッチの入れ方が秀逸なんですよ。今回は秘密というか闇を抱えた役で、新人刑事役ならもうお手のものなはず。毎週楽しみです。

編集S

わ〜、なんかワクワクしますね。私もTVerで追います! 夏ドラマ、仕事を頑張りながら全制覇します!

小林

今日、しゃべりきれなかったから(笑)、続きはぜひ居酒屋でお願いしますー。
文・小林久乃

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今日は土用入りの日で丑の日ですから「土用の丑の日」に当たります。さらに言えば12日後の31日もそうです。ウナギに限らず、五行思想では「冬(寒冷)・水・夜」と関連する「黒」が夏の暑さに対抗する色ですので、黒ごま、黒豆、黒酢、海藻などもよさそうです。栄養とエネルギーを補充して暑さに負けない体を作りたいですね。

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