生活習慣を見直せば、むくみはかなり緩和できる。
むくみは、皮膚の下にある皮下組織に余分な水分がたまった状態。水分や塩分の過剰摂取、脚の筋力の低下、体の冷えなどが原因になると、産婦人科医の駒形依子さんは言う。「脚の筋肉、特にふくらはぎは血液を心臓に戻す働きをしていますが、筋肉量が低下したり、冷えて筋肉が硬くなると血液がスムーズに戻らなくなり、血液中の水分が停滞してむくみが起こります。細胞がむくんだ状態は冷えにつながり、より水分がたまるという悪循環になることも」
一般的に男性より女性がむくみやすいのは、筋肉より脂肪が多いから。もともと脂肪は水分をためる性質があるうえ、食事制限のみのダイエットや運動不足で筋肉が落ちると、さらにむくみやすい体に。
「下半身の筋トレは、むくみの解消に役立ちます。また女性は足先の冷えから血液や臓器を冷やしやすいので、内くるぶしの少し上にある、冷えやむくみに効くツボの三陰交からつま先をしっかり温めましょう」
一方、生理に起因するむくみは体の「防衛反応」によるもの。
「出血で失われる栄養素や酸素を最小限に抑えるために、血管内の水分を増やすのです。出血量の多い人ほどむくみやすく、出産前のむくみも同じ原理。むくまないようにと極度に水分を控えた状態で出血が始まると、体が急に脱水状態になるため、体のだるさが強くなる場合も。いつも通りに水分を摂り、ある程度のむくみは体の自然な反応と割り切ることも大切ですよ」
生理前にできる対策としては、リンパマッサージや腸活なども効果的。
「生理中に限りませんが、水分の摂り方は注意が必要です。アルコールやカフェインなどの利尿作用のある飲み物をたくさん飲むことで脱水状態になり、体が水分をため込もうとしてむくみになるケースも多い。水分補給は、水を少しずつこまめに!」
生理中のむくみは生理の2~3日前から出血量の多い2日目くらいがピーク。生理後もむくみが取れなかったり、いつもよりむくみがひどい時は、病院へ行くことも選択肢に。
「鉄欠乏性貧血や甲状腺の疾患でむくみが起こっている可能性もあります。朝起きた時は顔がむくんでいる人も多いと思いますが、それが午後になっても改善されない場合は、一度病院を受診すると安心です」
駒形さん直伝! 生理前・中のむくみをラクにするTIPS。
1. 鎖骨マッサージでリンパをほぐす。
鎖骨まわりをマッサージしてリンパをほぐすことで体の余分な水分が排出されやすくなる。「鎖骨の上下を体の中心から外側に少し強めにさするだけでもOK。腋の下もほぐすと効果的です。入浴中やテレビを見ながらでも」
2. 生理前はワンサイズ大きいブラを。
リンパの流れを滞らせないためにも、生理前はゆるめのブラやブラトップを選ぼう。「アンダーバストを締め付けると、水分や老廃物が排出されずむくみが助長されます。生理の時は見た目より心地よさを重視しましょう」
3. コーヒーやお茶を水に置き換える。
利尿を促すカフェイン入りのドリンクを飲みすぎると脱水を引き起こすことも。コーヒーやお茶は控え、水で水分補給を。「倦怠感をやわらげるミネラルウォーターがおすすめ。体を冷やさないように常温か白湯がベター」
4. 根菜鍋でおいしく便秘改善。
便秘は内臓を冷やす原因にも。体を温め、食物繊維が豊富な根菜類を使った鍋料理は、むくみ改善に有効。「胃腸の調子を整え内臓が温かい状態になれば、それぞれの臓器が適切に働いて水分バランスが調整されます」
5. 漢方を生活に取り入れてみる。
体内の水分調整を促す漢方、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」に頼るのも手。「薬局などで手軽に購入できる漢方を、生理前のむくみが出た時に飲んでおくと心強いと思います」
右・ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒、左・ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒[共に第2類医薬品]20包(10日分)各¥2,640(ツムラお客様相談窓口TEL:0120・329・930)
駒形依子さん 婦人科と漢方内科を中心とした「こまがた医院」院長。患者自身の力で症状を緩和できるように生活習慣の指導を含めた診療を行っている。著書に『子宮内膜症は自分で治せる』(マキノ出版)などがある。https://www.komagatacl.com/
※『anan』2023年12月27日号より。イラスト・二階堂ちはる 取材、文・熊坂麻美
(by anan編集部)