
私たちは日々、職場や趣味の場などで多くの人と関わり、その人間関係に悩みを抱えることもあります。感情コンサルタント(R)・神谷海帆さんは、まず「この人とどうなりたいか」という自分の気持ちを見つめ直すことが、関係改善の第一歩だと語ります。本記事では、人間関係の育てるためのステップを紹介していきます。
Index
人間関係の育て方STEP0
まずは距離を縮めたい相手との現状を把握する。
下の5項目をチェックし、1、2、3が多い場合はSTEP1から。4、5が多いなら、すでにだいぶ距離が近いと考えられるので、後半のSTEPからでもOK! ※ここではSTEP3~4を紹介します。

会話の頻度
あまり話さない‐1‐2‐3‐4‐5‐よく話す
会話の長さ
あまり続かない‐1‐2‐3‐4‐5‐長く続く
話しかけやすさ
話しかけにくい‐1‐2‐3‐4‐5‐話しかけやすい
会話の内容
プライベートは話さない‐1‐2‐3‐4‐5‐プライベートを話す
会話の充実感
充実感がない‐1‐2‐3‐4‐5‐充実感がある
人間関係の育て方STEP3:【褒め】て相手との距離を縮める。
「褒め」は共感と並び、距離を縮めるアプローチとして効果的。心に響く褒め方を身につけて。
ディテールを褒めて、心にぐっと近づく!
心の距離を近づけるために、共感と同様にポイントになるのが、相手を褒めること。
「人は褒められると承認欲求が満たされ、快楽ホルモンのドーパミンが分泌されて幸せな気持ちになります。そして、褒めてくれた相手に対して自然と信頼感を覚え、距離が縮まります」
褒める初歩としておすすめなのが「へそわかす」の法則。「へー!」「それで、それで?」「わー!」などの声かけで相手を盛り上げ、感情を引き出して、相手の承認欲求を満たしていく手法を取り入れてみよう。
「会話に感嘆詞を入れていくと、それだけで相手は褒められたような感覚に。さらに『そのときどう感じました?』と相手の感情を引き出して共感したり、『すごい!』と褒めて『どうしてそんなに○○なんですか?』と深掘りしたり。褒め方がわからない人は、まずは『へそわかす』を実践してみましょう」
褒めは、親しい関係性を築く効果が高い一方、「わざとらしい」と捉えられると、心の距離が一気に離れてしまうことも。
「心に響かせるコツは、その人だけの良さを具体的に褒めること。なにげない仕草や言葉遣い、装いのディテールなど、褒めるポイントが細部であるほど、相手の気持ちをくすぐります」
相手の承認欲求を満たす「へそわかす」の法則
へ:へー! などの感嘆詞を使い、
そ:それで、それで? と、もっと詳しく聞く。
わ:さらに わー! などの感嘆詞を使い、
か:そのとき、どう感じた? と相手の感情を引き出す。
す:すごい! と褒めながら、もっと質問してみましょう。
人間関係の育て方STEP4:【本音】をグチから探る。
グチには、本人も気づいていない本音や才能が潜んでいることも。それを探りポジティブに伝えよう。
グチのポジティブ変換で、気づきを与えよう。
自分に置き換えて考えても、表面的な間柄の人にグチは言わないはず。関係を深めたいと思っている人にグチをこぼされたら、その人にとって“安心できる存在”になっているサイン&さらに心の奥に近づくチャンス。「グチやイライラには、その人が大切にしている価値観や本音、才能が隠れている」と、神谷さん。相手が何に対してイライラしているのか、なぜグチを言っているのか、背景を探ってみて。
「たとえば、『上司の言い方が、腹が立つんだよね!』というグチの場合、伝え方に配慮が欲しいという本音が読み取れますね。自分もその上司と同じような発言をしている人だったらグチにならないはずなので、この人が日頃から言葉に敏感で、言葉遣いに気をつけていることも窺えます。このようにグチから相手の本音や価値観をキャッチして、『伝えるときは配慮が必要だよね』や『あなたは言葉を大切にしているから、それは気になるよね』のように、ポジティブに変換してリアクションを」
このアプローチは、相手に寄り添いながら気持ちをクールダウンさせ、その人に自分自身の本音や長所を気づかせるのがポイント。感情をオウム返しして共感を示す方法より、一歩先の関係に進むことができる。
グチをポジティブにシフトする変換術
CASE1
A:なんでこんな言い方するんだろう?
B:言葉を大切にしているんだね!
CASE2
A:先輩の非効率なやり方に納得できない!
B:効率よく仕事を進めるのが得意だもんね!
CASE3
A:店員さんの態度が悪い!
B:気配り上手だから気になるんだね
Profile
お話を伺った方・神谷海帆さん
かみや・みほ ネガティブな感情をポジティブに変換する感情コンサルタント(R)。著書に『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)、『100%仕事で折れない 感情マネジメント』(Clover出版)がある。
anan 2447号(2025年5月21日発売)より