モルヒネの6倍以上の恍惚感!? 幸福感に作用する“脳内物質”とは?

ライフスタイル
2017.02.25
幸せも集中力もアンチエイジングも。コンディションは脳内物質が決める!
脳

人間の脳の活動に大きく作用してくる7つの脳内物質。そのなかから、ここでは3つをご紹介。うまく分泌させる方法を知って、脳の環境を整えよう! 教えてくれたのは、精神科医・樺沢紫苑さんです。

幸福感やモチベーションを高めてくれる“ドーパミン”

幸福物質とも呼ばれるドーパミン。

「この脳内物質が分泌されると、私たちは幸せな気持ちで満たされます。そして、やる気に満ちて、ポジティブに物事を捉えられるように。また、ドーパミンはワーキングメモリとも深い関わりがあるため、情報処理能力、計画性などがアップ。逆に、分泌が不十分だと何事に対してもモチベーションが湧きづらくなり、結果的に学習することや行動を起こすことに腰が重くなってしまいます」

そんなドーパミンをうまく分泌させるために大切なのは、分泌される“サイクル”を構築すること。

「ドーパミンは、目標を立ててそれに向かってワクワクしている時と、目標を達成した時の2度出ます。まずは、少し難しいけれどクリアできる程度の短期目標を設定すること。そして、達成した時をイメージする。達成したら、おいしいものを食べるなど、自分にご褒美をあげましょう。その後、もう少し難易度の高い目標を立てるというサイクルを維持」

心を安定化させ、安らぎや癒しをもたらす“セロトニン”

心に安らぎを与えてくれる脳内物質。

「セロトニンがほどよく分泌されていると、多少のことではイライラせず、穏やかな気持ちでいられます。セロトニンによって、ストレス物質であるアドレナリンの過剰分泌も抑えられるのです。また、睡眠と覚醒をコントロールするという役割もあり、セロトニンが整っていれば、朝きちんと起きられて、頭がすっきり。脳全体が活性化して、快適な一日のスタートを切ることができます」

そんなセロトニンを活性化させるためには、“朝日”がキーワードに。

「セロトニンは日の光によってスイッチが入ります。カーテンを開けたまま寝て、起きたら布団の中で5分ほど目を開けて過ごしてみてください。またリズム運動も効果的。朝日を浴びながら15~30分、やや速足でウォーキングするのもおすすめです。リズム運動には咀嚼も入るので、朝食はよく噛んで食べること。その他、思い切り泣くなど感情の解放も◎」

モルヒネの6倍以上の鎮静効果と恍惚感をもたらす“エンドルフィン”

幸せな気持ちをもたらす脳内物質で、その作用は実はかなり強烈!

「ケガや病気、運動などによって負った痛みや苦しさを強力に鎮静化する効果が。さらにこれを、多幸感へと転換します。ランナーズハイがこれにあたります。半面、癒されたと感じた時にも出るという特徴が。“快”と“不快”両方の刺激に反応するんですね。エンドルフィンには覚醒作用もあり、趣味や仕事に時間を忘れるほど集中することができます」

エンドルフィンをうまく分泌させるには、まずは、運動することが一番。

「エンドルフィンは、多少息が上がるくらいの有酸素運動を30分以上続けることで分泌されます。その代表格がマラソン。苦しさが極限状態になると体が軽くなり、むしろ気持ちよさへと変わります。一方、クラシック音楽を聴いたり、ヨガなどをしてα波を出す方向でも分泌が促進。また、エンドルフィンは、人に感謝し、感謝されることでも活性化するので、人との関わり方も見直して」

樺沢紫苑さん 精神科医、作家。SNSを使って、精神医学や心理学の情報を発信。『脳を最適化すれば能力は2倍になる』など、脳を活性化させるための著書多数。無料公式メルマガも毎日配信中。http://kabasawa3.com/blog/

※『anan』2017年3月1日号より。イラスト・サヲリ・ブラウン 文・保手濱奈美

(by anan編集部)


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