意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国立科学博物館クラウドファンディング」です。

クラファンは一時的な対処法。研究にもっと力を。

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国立科学博物館は、運営資金の不足を解消するために8月にクラウドファンディングを立ち上げ、目標額の1億円を1日で達成し、2週間余りで7億円超の資金を集めました。“国立”と名前がついていますが、独立行政法人で、独自に運営を任されています。標本や資料は500万点に及び、展示されているのは約2万5000点。多くはつくば市にある収蔵庫に置かれています。化石や動物の骨、剥製、植物など、古く貴重な標本を保存・管理するには莫大なお金がかかり、コロナ禍や光熱費の高騰などにより資金に窮していました。大きな役割は、標本資料の収集と保管、展示・学習支援、調査研究などです。資金不足により、新しい事象が発見されても現場に行けないというような状況にも陥っていました。

現在、日本の研究の現場は大変弱っており、文部科学省科学技術・学術政策研究所が調べた「科学技術指標2023」によると、他の論文に引用される回数をカウントする注目論文の数が、日本はイランに抜かれて13位になりました。かつては4位でしたが、20年の間に次第に順位を下げていったのです。イランは国際的に制裁を課せられているので、自前のインフラ、サービスを作る必要があり、科学分野に積極的に財政を投じてきました。それにより、研究者のレベルが底上げされ、日本を追い越していきました。

クラウドファンディングは、資金集めの持続可能な方法ではありません。国がきちんと科学分野に投資できないのは問題だと思います。また、科学博物館側も所蔵品をツアー形式で見せたり、企業研修に使うなど、稼ぐ方法は見つけられると思います。研究者が経営につくのではなく、マーケティングやPRのプロを経営陣に呼ぶなど、改革の必要があるのではないでしょうか。

すぐに成果に結びつく研究が求められがちですが、草の根的な基礎研究が国の将来を支えます。クラウドファンディングによって、科学博物館に関心を寄せる人が増えたことはすごく良かったと思います。国立科学博物館のクラファンは11月5日まで行っています。研究がその国の国力につながるという意識が広がることを願います。

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ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。

※『anan』2023年10月25日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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