午後の眠気を力に変える! “パワーナップ”でメリットを得るための5つのルール

ライフスタイル
2022.08.25
人が生来持つ時計遺伝子によって、日中眠くなる時間帯は脳の働きも鈍くなる…パワーナップは、それを防止する一番の打開策です。仕事中、会社のデスクでは眠りづらい…という人は、カフェや移動中の電車などでもOK! 少しの隙間時間に、ぜひ一度試してみて。

生理的にくる午後の眠気を“力”に変える。

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パワーナップの“ナップ”は昼寝という意味だけど、“パワー”がついているだけに、単なる昼寝ではないということ。

「パワーナップにはいくつかルールがありますが、それに沿って行えば、脳がスッキリ、仕事の効率アップや集中力の向上、ストレス軽減などさまざまなメリットが得られます。人間には体内時計が備わっていて、そもそも深夜2~4時と午後2~4時に眠気が強くなるようになっている。深夜は通常寝ているのでいいのですが、午後に眠気がくると脳の働きが落ちてしまいます。パワーナップを取り入れれば、それを解消し、午後のパフォーマンスアップにつなげることができるのです」(医師、睡眠コーチ・坪田聡さん)

日中、眠気を感じたり、疲れていたりしなくても、パワーナップはやったほうがいいのだろうか。

「午後の眠気は生理的なもの。それに日本人は睡眠不足の傾向があるので、まずは試して効果を実感してみるといいと思いますよ」

パワーナップを取り入れると…。

  • 仕事、学習の効率が向上する。
  • 脳が活性化し、クリエイティビティが上がる。
  • 頭がスッキリし、脳の疲労が回復。
  • 記憶力、注意力が上がる。
  • ストレスが軽減する。
  • 集中力低下によるミスが減る。
  • 夜の睡眠の質が上がる。
  • 判断力、決断力が増す。

パワーナップ5つのルール

実際にパワーナップを取り入れて効果を得るために大切な、5つのルールをチェック。正しく行えば、効果はすぐに実感できるはず。「眠らなきゃ!」とストイックにならず、まずは慣れるまで、目を閉じるだけでもOK。リラックスして、気軽にトライしよう。

1、寝るのは12~15時の間にする。

大切なのは、午後の眠気のピークに合わせて行うこと。

「とはいえピークの一端である16時は夕方の時間帯。このタイミングに寝ると、夜なかなか眠れないなど夜の睡眠に影響が出てしまう。パワーナップのメリットを最も効果的に得るなら、それより前の12~15時の間に行うのがベスト。ちなみに12時より前に寝ても体に悪いことはありませんが、午前に眠いということは、そもそも寝不足だと自覚しましょう。また、どうしても夕方眠い場合は、10分未満の仮眠にとどめること」

坪田さんのおすすめは、昼食後にパワーナップというサイクル。

「お腹がいっぱいになると、自然と眠気が強くなります。それを入眠に活用するのも一手かと」

2、睡眠時間は長くても20分まで。

もう一つの大きなポイントが睡眠時間。“短い昼寝”が鉄則。

「理想としては15~20分。それよりオーバーしてしまったとしても25分までにとどめましょう。30分を過ぎると深い眠りに入ってしまうので、頭が冴えるどころか、逆に頭も体もだるくなってしまいます。15分より短いぶんには問題ありませんし、例えば5分ずつ細切れに睡眠をとってトータル15~20分でもいいでしょう」

すんなり眠れず、ただ時間が過ぎていく…という場合は?

「パワーナップほどではありませんが、目をつぶって視覚情報を遮断するだけでも脳を休める効果があります。眠れないからと諦めず、何度かトライしていくうちに眠れるようになることもありますよ」

3、眠りにつく前に必ずカフェインを摂取する。

パワーナップには「準備」「仮眠」「覚醒」という3つのステップがあって、アラームのセットとカフェインの摂取が準備にあたる。

「後者は仮眠からの目覚めをよくするためのもの。カフェインの覚醒作用には時間差があり、摂ってから約20~30分後に効き始めます。そのため仮眠の前にカフェインを摂っておくと、ちょうど起きた後に効果が出始め、スッキリ目覚められるのです」

カフェイン入りなら、コーヒー、紅茶、緑茶など何でもOK。

「ただし、コーヒーの場合、ホットは約20~30分で覚醒効果が表れますが、アイスはホットより吸収が遅く、効き始めるまでに約1時間かかります。アイスなら目覚めの1時間前に摂りましょう」

4、横にならず、姿勢は座ったままにする。

「パワーナップは、あくまで“仮眠”です。横になると時間内に起きられなくなってしまう可能性があります。そのため横になるスペースがあったとしても、座ったまま仮眠をとりましょう」

大切なのは、安定した姿勢をキープすること。

「机に突っ伏してもいいですし、椅子にもたれた姿勢がラクならば、首を痛めないようにコの字型の枕を首につけておくと安心です。椅子にもたれた姿勢だと、自然光など光が目に入り、睡眠を妨げるのではと思うかもしれませんが、仮眠は深く眠らず起きることが大事なので、ある程度明るいほうが、むしろ起きやすいともいえます。明るすぎて眠れない場合は、アイマスクをつけるといいでしょう」

5、目覚めた後は、眠気を一気に断つ工夫を。

最後のステップが「覚醒」。

「目覚めた時にはスッキリしていると思いますが、完全に覚醒し、仮眠後のパフォーマンスを上げるには、いくつかやっておきたいことがあります。一つはストレッチ。筋肉が伸びると、セロトニンという覚醒系の神経伝達物質が増加するので、伸びや屈伸程度の軽いストレッチをするといいでしょう。もっと強力に目を覚ましたい場合は、冷たい水で顔を濡らすこと。交感神経が刺激され、目がシャキッと冴えるはず。メイクをしているなど顔を濡らせないなら、手を濡らしたり、冷たい水を飲んだりするのも有効です。また、屋外に出て日光を5分ほど浴びる、散歩などリズムのある運動をする、人と会話をするのもおすすめです」

坪田 聡さん 医師、睡眠コーチ。「雨晴クリニック」院長。総合情報サイト「All About」にて睡眠ガイドも務める。睡眠にまつわる問題を解決し、快眠生活を送るための指導を20年以上行っている。著書に『パワーナップ仮眠法』(フォレスト出版)などがある。

※『anan』2022年8月31日号より。イラスト・すやまゆうか 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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