腸の動きを活発にする
1:ストレッチ&腹式呼吸で腸の緊張を緩める。
「大腸はストレスに弱い器官。長く緊張を強いられると交感神経優位の状態が続いて、腸の働きが低下します。ストレスを感じた時や、お腹の調子が悪いと思ったら、一日の終わりにゆっくりストレッチをしてみましょう。こわばったカラダをほぐすことで、腸もリラックスできます」。胸の上部だけを使った浅い呼吸の人が多いともいわれているので、ストレッチに腹式呼吸を組み合わせるのもおすすめ。ゆったりとした腹式呼吸をすると、腹圧がかかり内臓がマッサージされていくような心地よさが感じられる。3分も続けると自律神経のバランスが整い、腸もリラックス状態を取り戻すはず。

ストレッチ
- 床に仰向けになる。
- 腰を床につけたまま、両膝を手で胸の方に引き寄せる。
- あごを引き、ゆっくり深呼吸を5回。
- 手足を伸ばしてリラックスする。
腹式呼吸
- 鼻から深く息を吸う。横隔膜が下がり、お腹が膨らむようにする。
- 息を吐く時は横隔膜を背骨に引き寄せるようにお腹を凹ませる。1と2を繰り返す。
2:ウォーキングがお腹の血流を良くする。
「世界がん研究基金と米国がん研究協会の共同研究で、大腸がんのリスクを下げる最も確実な要因として発表されたのは、“身体活動”、つまり運動でした」。カラダを温め、腸を動かす運動で簡単に始められるのがウォーキング。ウォーキングで下半身の筋肉が刺激されると、新陳代謝が高まって血液循環も良くなり、腸も活発に働くようになる。運動不足で背中やお腹の筋力が低下するのも、便秘の大きな原因の一つだが、ウォーキングはこれらの筋力の維持にも役立つ。1回30分ほどを週3回できれば理想的。通勤や会社内でもなるべく歩いたり、階段を使って、腸を動かそう。
3:“腸ストレッチ”で直接刺激する。
「腸の働きが活発になると、お腹の張りも解消しますが、ウォーキングやストレッチをしても張りが解消されない人も。特に女性の場合は、横行結腸が垂れ下がっているケースが多く、その部分にガスが溜まり抜けにくくなっているんですね」。そんな状態に有効なのが、「腸ストレッチ」。お腹を優しく撫でることで、腸のぜん動運動をコントロールする副交感神経が活発に働いてくれる。もう一つおすすめなのが、うつ伏せの姿勢での深呼吸。しっかりと息を吸い込むと腸を刺激することができる。毎日続けているうちに徐々に効果が表れ、便秘も解消されるはずなので、お試しを。
うつ伏せ深呼吸
- うつ伏せになり、クッションや枕をお腹の下に入れる。
- 腸に刺激を届けるつもりで、お腹を膨らませてゆっくりと深呼吸を2~3分間繰り返す。「腸ストレッチ」とセットで行うとより効果的。
「腸ストレッチ」
- 左半身を上にして横になり、右肘を立てて頭を支えリラックス。
- 左の手の平で、左わき腹の上部から斜め下(下腹部)に向けて、お腹をプッシュする。2~3分間繰り返す。
松生恒夫先生 松生クリニック院長。これまでに、5万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた大腸疾患治療の第一人者。『専門医が教える 腸ストレッチでお腹スッキリ!』(マイナビ出版)、『図解ハンディ版 腸を温める食べ物・食べ方』(青春出版社)ほか著書多数。
※『anan』2021年2月3日号より。イラスト・朝野ペコ
(by anan編集部)