目の疲れや集中力の低下も…中医学的ベストな“就寝時間”は何時?

ライフスタイル
2020.10.23
憂鬱な時期を、体質別養生で快適に。中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「眠り」です。
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10月も半ばを過ぎ、過ごしやすい季候になりました。「秋の夜長」といわれる通り、夜更かししたくなる時期でもあります。ごくたまにならいいのですが、たびたびとなると、それがもとで睡眠リズムが狂ってしまう心配も。今回は、中医学の視点で「睡眠」について考えてみたいと思います。

私たちの体は気(き)・血(けつ)・水(すい)という3つの要素で成り立っているのですが、このうち睡眠ととくに大きく関わっているのが「血」です。血は体のすみずみを巡って、栄養や水分を届ける存在。精神を安定させる作用もあります。

この血をコントロールする役割を担っているのが、五臓のうちの「肝(かん)」です。中医学では臓器はそれぞれに活発になる時間帯があると考えるのですが、肝と、付随して働く「胆(たん)」がもっとも力を発揮するのは、23時から3時の間。つまり眠っている間なのです。

一日じゅう体を巡っていた血はこの間に肝に戻って蓄えられ、浄化されたのちに、また体を巡り始めます。ところがこの時間に起きていると、肝が働くためのエネルギーを他の臓器が消耗してしまう。その結果、きれいな血が作られず、さらには血が不足する「血虚(けっきょ)」を招いてしまいます。

23時以降は目を休め、肝を健やかに保って。

血が足りなかったり汚れたままだと、何が起きるのでしょうか。まず挙げられるのは冷えや肌の乾燥、貧血など、水分や熱、栄養が行き届かないことで起きる不調。血は目を使うときに必要なものなので、かすみ目や疲れ目といった目の症状も引き起こします。また、イライラしたり集中力が低下するなどのメンタルトラブルも、血虚が一因。血はこのように、心身の状態に深く関わっているのです。

肝の働きをスムーズにし、活き活きとした血で体を満たすには、遅くとも23時には眠りにつきたいもの。寝付けないなら、横になって目を閉じるだけでもOKです。目を休め、血をムダに消耗しないようにしましょう。同時に、血を補う作用のあるレバーやごま、黒豆、しいたけなど赤や黒の食材を意識して摂ることをおすすめします。

冬至に向かって日照時間が短くなっていくという自然のリズムに則れば、秋は本来、徐々に睡眠時間が伸びていく季節。気候も良く、深い眠りを得やすいときです。この機会にぜひ、ご自身の眠りを見直してみてくださいね。

さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。https://yurukampo.jp/

※『anan』2020年10月28日号より。イラスト・momokoharada 文・新田草子

(by anan編集部)

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