中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「スポーツ」です。

筋肉を整えるなら、胃腸=脾(ひ)の養生を。

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薄着の季節になりました。体を引き締めるべく、運動を始めたいと思っている人も多いのではないでしょうか? 今回は、筋肉を整えるための養生について考えてみましょう。

以前、中医学では体の働きを「肝」や「心」などの「五臓」に分けて考えるとお伝えしました。それぞれ西洋医学の概念とは少し異なる働きがあって、体の各器官も五臓のいずれかに属すると考えられています。

中医学では筋肉を「肌肉(きにく)」という言葉で表しますが、この肌肉が属しているのは「脾」。何度か出てきましたが、脾は消化・吸収を司る場所です。つまり、筋肉の健康には、胃や腸が重要な役割を果たすというわけです。

胃腸と筋肉がつながっているとするところがユニークですが、思えば当然のことかもしれません。例えば筋肉を作るにはタンパク質が必要ですが、いくらいい食材を摂っても消化・吸収ができなければ、ただの不要物。かえって体の負担になってしまいます。筋肉をつけて体を引き締め、肌も整えたいというなら、胃腸がしっかり働ける食べ方が大切なのです。いつもお伝えしているように、脂っこいものや味の濃いもの、辛いもの、甘いものの食べすぎに気をつけて、火を通した野菜を多めに摂る。その基本を、ぜひ思い出してください。

消耗を避けることも、大切な養生のひとつ。

気や血の巡りが良くなり、汗をかくことで邪気を追い出す効果もあったりと、中医学でも、適度に運動することは日常的に取り入れたい健康法です。しかも、秋や冬が体の内側にエネルギーを溜め込むべき季節であるのに対し、春と夏は発散のシーズン。今は運動に向いている時期といえます。

一方で何ごともニュートラル、中庸であることが望ましいとするのが漢方です。激しい運動はかえって気や潤いを消耗し、健康を損ねると考えます。とくに暑さ、「暑邪(しょじゃ)」に狙われやすい夏場に運動する際は、事前の備えを忘れずに。芋や豆、牛肉など気を補う食材を摂るように心がけ、すいかやきゅうり、豆腐など陰=潤いを生む補陰(ほいん)食材を運動前に摂りましょう。

テレワークの浸透などで運動不足気味の人が増えつつある昨今です。胃腸を整え、暑さに気をつけながら、無理のない範囲で。この3つを念頭に、気持ちよく体を動かしたいですね。

さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。https://yurukampo.jp/

※『anan』2020年7月15日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子

(by anan編集部)

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