「教育勅語」は明治23年に明治天皇が発布したもの。戦前の子供たちは、教育勅語のもとに教育を受け、当時の日本の道徳観念の基礎となっていました。いま、教育勅語を再び見直そうという保守派と、時代錯誤だと反対する革新派で真っ向から意見が分かれています。
教育勅語のなかでも、父母を敬い、きょうだい・夫婦で仲良くし、友達と信頼を結び、博愛精神を持って勉強をしましょう、という部分は当たり前のことですよね。問題はその成り立ちです。
教育勅語では、主権は天皇にあり、人民は、君主に従い、奉仕する「臣民」と謳われています。天皇の祖先が代々治めてきたこの国をこの先も継いでいけるよう、臣民は一生懸命勉強をし、万一、危急な問題が起きた場合には、皇国(天皇の国)のために、一身を捧げて力を尽くしなさいと書かれています。しかし、これは国民に主権があるはずの民主主義に反しているのではないでしょうか。個人よりも社会の利益が優先。「お国のため」と命を捧げ、多くの犠牲者を生んだ悲しい戦争の時代に逆戻りするのでは、と反対派は警戒を強めているのです。
なぜいま、教育勅語なのでしょう? 注意してみると、安倍首相の政策には一貫した流れがあることがわかります。まず、憲法改正。自民党が推し進めようとしている改憲草案は、「天皇は元首とする」と明記されています。戦争に負ける前の日本を取り戻そうという、保守回帰が自民党の考え。ただ、教育勅語に関しては、保守派のなかでも意見が分かれており、この理念は、古くから続く日本の姿ではないと疑問視している保守派もいるんですね。
安倍政権は、来年4月から小学校で、道徳の教科化を導入することにしました。文部科学省は、「愛国心を評価するものではない」と明言していますが、多様でよいはずの個人の意見が、社会の秩序を守るために一つの方向に向けられやすくなる危険性もぬぐえません。
新しい道徳の教科書は文科省のHPで見られますし、教育勅語の現代語訳も高橋源一郎さんのSNSでの意訳など、さまざまなものが出ています。日本がどの方向に向かおうとするのか知るためにもぜひチェックしてみてください。
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