
(P)&(C) BELIFT LAB Inc.
ENHYPENが初のスタジアムツアー「ENHYPEN WORLD TOUR ‘WALK THE LINE’ IN JAPAN -SUMMER EDITION-」を開催。7⽉5、6⽇は東京・味の素スタジアムで、8⽉2・3⽇は⼤阪・ヤンマースタジアム⻑居で2都市4公演のツアーを⾏う。今回はその初⽇、5⽇の公演をレポートします。

(P)&(C) BELIFT LAB Inc.
味の素スタジアムの⼤きなステージ上に据えられた円筒状のドアが開くと、そこにはすでに⿊い⾐装のメンバーの姿が。ステージの後ろに据えられたスクリーンに浮かぶ満⽉が真っ⾚に染まると、ストリングスの旋律が激しさを増していく。その⾳がピタリと⽌まり、7⼈がゆっくりとステージの前へと歩を進める。そうして始まった「Brought The Heat Back」は、ENHYPENのコンセプトであるヴァンパイアをもっとも体現した曲。⼤勢のダンサーたちと群舞を繰り広げる中、スタジアムには早くも花⽕が打ち上がり、かと思えば⾦⾊のテープが客席に舞い落ちる。初のスタジアム公演は、パフォーマンスだけでなく豪華な演出も相まって華々しくスタートを切った。さらに⼀発⼀発が重いバスドラの連打で始まった「FEVER」では今まで以上に湿度⾼めなステージを⾒せ、コンサート序盤から気合の⼊ったパフォーマンスでスタジアムを興奮へと導いていった。
早くも盛り上がりを⾒せる中、いったんコンサートが中断されると、夏の⾳楽特番『THE MUSIC DAY 2025』の⽣中継へ。NI-KIが「わたしの歌」としてマイケル・ジャクソンの「Thriller」を挙げ、「3歳の時、⽗がミュージックビデオを⾒せてくれて、ダンスに興味を持ちました」とその後10年にわたってダンスを続けられた、そして今もENHYPENとして活動している原動⼒となっていることを明かした。番組のための「Bite Me」のパフォーマンスが終わると、「⽣中継も忘れられない思い出になると思います」とJUNGWON。NI-KIも「(会場のみんなの)歓声もきちんと届いたと思います」と笑顔を⾒せた。

(P)&(C) BELIFT LAB Inc.
今回のツアーは昨年から今年1⽉まで開催されていた「ENHYPEN WORLD TOUR ‘WALK THE LINE’ IN JAPAN」のアンコール公演という位置づけ。デビューから約4年7か⽉でのスタジアム公演は海外アーティスト最速の記録で、これまで⽇本でも様々なドームのステージに⽴ってきたENHYPENにとっても史上最⼤規模の会場となるが、そんなことを感じさせないほどコンサートは序盤から⼤盛り上がり。さらに、今回はタイトルに「SUMMER EDITION」と付けられているように、真夏の公演のための趣向が凝らされていた。JAKEが「今⽇は本当に本当に暑いですが、僕たちは暑さに負けません。僕たちがすぐに涼しくしてあげます」と意味深なコメントを漏らすと、SUNGHOONも「前回の公演とは違う特別なイベントがたくさん詰まっています」とキッパリ。JUNGWONも、「『SUMMER EDITION』ですからね。夏といえばやっぱり⽔遊びは外せないでしょう」という⾔葉どおり、トークに続いて始まった「ParadoXXX Invasion」からは曲の合間にウォーターキャノンから⼤量の⽔が発射され、スタジアム後⽅まで⾶んでいき⼤粒の⾬を降らせていた。ウォーターキャノンはアリーナを囲むように据えられ、左右だけでなく前⽅、後⽅からも⽔が⾶び出し、まさにウォーターパークのよう。HEESEUNGの「叫べ!」という合図でさらに⽔が発射されると、メンバーも⾶び上がって⼤はしゃぎ。バンドの⽣演奏もあいまって、夏の野外コンサートらしい楽しさにあふれたステージになった。

(P)&(C) BELIFT LAB Inc.
ユニットステージは今回も健在。JAY、JAKE、SUNGHOONによるユニット曲「Lucifer」では切ない歌詞の曲を、想いを吐き出すように歌う3⼈のボーカルが印象的。歌うことに特化したステージかと思いきや、中盤からはステージの前⽅でまるで絵画のようなダンスで会場を魅了した。⼀⽅、JUNGWON、HEESEUNG、SUNOO、NI-KIによる「Teeth」はNI-KIが好きだと語ったマイケル・ジャクソンのフレーバーが感じられるダンスが特徴。どこかレトロさを感じるテクノサウンドのステージを踊りきった。
ステージのど真ん中で、⽕花を浴びながらギターを掻き鳴らすJAYのシーンからはじまった「Blessed-Cursed」はスタジアムに吹く⾵を受けてさらに疾⾛感を増し、「Your Eyes Only」ではトロッコに乗り込んだメンバーたちがウォーターガンを⼿に持ち、客席に向かって楽しそうに撃ちまくるという⼀幕も。ウォーターキャノンによる⾬が降るアリーナだけでなく、スタンドにもメンバーが持つウォーターガンで⽔が放たれ、広いスタジアムのどんな席にいるENGENE(ENHYPENのファンネーム)も1⼈残らず楽しませようという彼らの気持ちを感じた。
トロッコでスタジアムの最後⽅に作られたバックステージに到着したメンバーたち。JUNGWONが「ENGENEに囲まれた今夜、星よりも輝くENGENEにこの歌を届けられて幸せです」と⾔って始まったのは、7⽉29⽇にリリースされる⽇本4thシングル『宵 -YOI-』のタイトル曲「Shine On Me」。スタジアムという⼤きな会場を埋め尽くしたENGENEに囲まれながら、語りかけるような歌声がスタジアムに響き渡った。スタジアムツアーで初披露となったこの曲は、ENHYPENにとって初めての⽇本オリジナルタイトル曲。「初めてのスタジアム公演でたくさんのENGENEと⼀緒に、初めてのライブの瞬間を迎えることができて、とても感慨深いです。真夏の夜にぴったり合う曲だと思っているので、ENGENEの⼼にぜひ響いてほしいです」とSUNGHOONが語ると、JAKEも「歌詞が本当に美しいですよね」としみじみ。JUNGWONもSUNOOも⾃分のパートが好きだと⾔いながらアカペラで歌ってみせると、会場からは歓声が湧き上がった。そしてJAYは⽇本オリジナル曲の中では「BLOSSOM」が好きだと明かし、次のコンサートではENGENEの声だけでこの曲を聴いてみたいと語っていたのだが、その願いはこの⽇のアンコールで早くも叶えられた。

(P)&(C) BELIFT LAB Inc.
「これからもっと涼しくなる準備できてますか?覚悟はいいですか?」というJUNGWONの⾔葉で、コンサートもいよいよ終盤へ。強めのドラムンベースがスタジアムに響く夏の定番曲「Tamed-Dashed」や、顔を左右に揺らす⼀度⾒たら忘れられない不思議な振り付けが癖になる「Sweet Venom」、会場が緑⼀⾊に染まった「Go Big or Go Home」では緑⾊の花⽕も上がり、真夏の夜の特別なスタジアム公演を彩る。すっかり⽇が暮れたスタジアムにメンバーが再び登場。JAKEが「特別なバージョン」と語った「Moonstruck」はスタンドマイクで歌われ、HEESEUNGのハイトーンがスタジアムに切なく響くとその声の美しさに魅了されたかのように会場は湧き上がった。「⻑い脚を⾃慢したり、SUNGHOONさんが空を⾶んだりはしなかったんですけど、野外ステージに広がるおだやかなサウンドがこの曲の魅⼒を⼀層引き出してくれたんじゃないかなと思います」とNI-KIが通常のパフォーマンスバージョンとの違いを語り、「コーチェラの思い出が浮かびましたね」としみじみすると、メンバーからも「そうだね」という声が上がる。今年4⽉、世界最⼤級の⾳楽フェス「コーチェラ」に2週にわたって出演したENHYPEN。世界のビッグステージに⽴ったその経験は、このスタジアム公演でもきっと活きているのだろう。
本編最後のステージを前に、メンバーそれぞれこの⽇の感想を⾔っていくことに。NI-KIは2年ぶりの⽇本のアルバムリリースについて「⽇本にいるENGENEのみなさんを⻑い間待たせて申し訳ないんですけど、これから⽇本にたくさん来るので、ENGENEのみなさんと今までよりたくさんの思い出を作っていきたいです」と、しんみり語った。
HEESEUNGは公演途中に⾬が降ってムーディーな雰囲気になったこと、天気が暑くてENGENEのみなさんが暑くないか⼼配だったと告⽩。さらに「Shine On Me」を歌い出す時、少し泣きそうになりましたと語り、「ここは誰もが来られる場所ではないですよね。ENGENEのみなさんが僕たちをそんなアーティストにしてくれました。いつも感謝していますし、これからもっとがんばります。めっちゃ好き!」と最後にはハートを作って挨拶した。
JAKEはピアノのしんみりしたBGMにつられる会場の雰囲気に、「最後のステージになりそうな雰囲気ですけど、僕たちはまだ始まったばかりですよ」と笑いながら、ピアノの奏者にジャズをリクエスト。さらにドラムも加わって、先の2⼈よりも明るい雰囲気にして会場を盛り上げると、JAYとJUNGWONは腕を組んでくるくる踊り始め…。そんな中、「今⽇は楽しかったです。明⽇もあるので楽しんでください!」と明るく締めくくった。
SUNGHOONは「じゃあ僕はしっとりしたジャズでお願いします」とリクエストすると、ピアノはすぐに落ち着いたジャズを奏で始め、「これ、中毒性がありますね」と笑みをこぼしていた。「今回は『SUMMER EDITION』なので、楽しいことがたくさん詰まっていますよね。⾬が降ってくる今の状況もそうですし、ウォーターキャノンとウォーターガンを使って⽔遊びもしましたよね。そんなふうに新しい姿をお⾒せすることができて、僕たちも新鮮で楽しかったです。今年の夏は僕たちと⼀緒に思いっきり遊んでもらえたらうれしいです」と、最後はハートポーズを⾒せた。
JUNGWONは「僕はもう少ししっとりめにお願いします」とBGMの変更をお願いすると、「本当に来ちゃいましたね」と初スタジアム公演を迎えた⼼境を語り始めた。「こんなにたくさんの⽅に愛をもらえる職業は限られていますよね。今⽇も僕たちを⾒つめるキラキラした瞳が、僕たちの仕事に対する確信と、もっとがんばらなきゃという原動⼒をくれました。明⽇が僕たちの⽇本デビュー4周年となります。もう4周年なんですね。これからもよろしくお願いしますね」と真剣な表情で語った。
SUNOOは会場のENGENEに暑かったでしょう?と気を配りながら、「僕も暑かったけど、ENGENEのみなさんの前でステージをしていたら暑くてもガマンできたし、もっとがんばろうという気持ちになりました」と微笑んだ。そして「このBGMのせいで感情が込み上げちゃいますね」と苦笑しながら、「僕も実は『Shine On Me』を歌った時、泣きそうになりました。⽬を閉じてがんばって泣くまいとしました。初披露だったので泣くことができなかったんです」と告⽩。「『Shine On Me』はすごくいい曲なので、ENGENEのみなさんもきっと好きになってくれてくれると思っていました」と最後は明るく笑顔を⾒せた。
JAYは「こういう曲を流されると適当なことをしゃべっていてもけっこう悲しく⾒えますよね。今⽇みたいな⾬が降る夏の夜、どうしても頭に浮かんでしまうよ。君っていうお好み焼き」と流暢な⽇本語で冗談を⾶ばし、NI-KIに「適当なことを⾔っている」とメンバーにバラされていた。冗談はさておき、「こんな素敵なスタジアムで公演するとはデビューした時は思ってなかったんですけど、スタジアムを埋め尽くすENGENEを観ていた⼼がいっぱいになりました」と感慨を語ると、「まだ僕たちのスタジアムツアーは続きます。みなさんもこれからのENHYEPENをたくさん期待してください」と⾼らかに宣⾔し、会場からはJAYコールが湧き起こった。
「僕たちのエンジンはいつだってENGENEということ、いつも忘れないでくださいね」というNI-KIの⾔葉に感動的な雰囲気に包まれるスタジアムだったが、NI-KIが「僕たち」を「僕たつ」と⾔い間違えたところから空気が変わり始め、そんなNI-KIのたっての希望でJAYがダンディ坂野の「ゲッツ」を振り付きで披露。アンコールをねだられて「やだやだ」と⾔いながらも最後には再び「ゲッツ」してみせるこだわりぶりに、NI-KIはステージに倒れ込んでウケていた。
そんな空気を⼀変させるように始まった「XO」は、蓋が蝶の⽻模様になっている⽩いピアノをHEESEUNGが弾いてスタート。客席の前⽅からさざなみのようにマゼンタのペンライトの光が広がっていき、スタジアムいっぱいに愛があふれた。⾚い花⽕が印象的だった「No Doubt」、そして⽴っているだけで凄みを感じさせた「Bad Desire」で本編は終了。アンコールを待つ間、スタジアムを埋めたENGENEの姿が映し出される中、「みんなで『BLOSSOM』歌おう」というメッセージをカメラが捉えると、会場が⼀体となって「BLOSSOM」を歌い上げた。

(P)&(C) BELIFT LAB Inc.
アンコールではステージ裏からメンバーがそれぞれに異なるメッセージが書かれたスローガンを掲げながら登場すると、⾬が降る中、再びトロッコに乗り込む。「Make the change」「Helium」「Paranormal」を歌いながらスタジアムを1周し、スタジアム後⽅でトロッコがすれ違う時にはメンバー同⼠で⽔をかけまくるモーメントも。その合間にもアリーナにはウォーターキャノンから⽔が降り注ぎ、最後にはENHYPENの初スタジアム公演を祝福するかのようにたくさんの花⽕が打ち上がった。最後には「今⽇は幸せな思い出とともに、とても幸せな夜を過ごせそうです。ENGENEのみなさん、暑い中⼀緒に楽しんでくれてありがとうございます」とJUNGWONが挨拶。ENHYPENの初めてのスタジアム公演は最後まで楽しさいっぱいで終わりを告げた。