岡宮来夢さん

かつて神童と呼ばれながらも、母の死をきっかけにピアノを弾くことをやめてしまった有馬公生(こうせい)が、同級生のヴァイオリニスト宮園かをりとの出会いにより成長してゆく。青春のきらめきとともに、恋や友情、音楽の奥深さを描いたミュージカル『四月は君の嘘』。世界的音楽家フランク・ワイルドホーンの美しくキャッチーな楽曲とともに、2022年に初演された舞台が再演される。


今までで一番泣いたミュージカル。とても愛おしい作品です

今回、公生を演じる岡宮来夢さんは、初演を観て、自ら懇願してオーディションに参加したという。

「冗談抜きで、今までで一番泣いたミュージカルでした。なにより全部の楽曲が好きだし、最初のモノトーンの世界から徐々に舞台が色づいていく上田一豪(いっこう)さんの演出も素敵で。公生役の(小関)裕太くんが切なくて、かをり役の生田(絵梨花)さんがキラキラしていて、1幕から苦しくて苦しくて…。2幕が始まってからはずっと泣いていました。観終わったときには、僕も背中を押してもらえたような気持ちになれた、とても愛おしい作品でした」

とくに好きなシーンを伺うと、舞台のディテールを丁寧に説明しながらいくつも挙げてゆき、そんな自分に気づいて「結局、全部が好きってことですね」と笑う。

「ずっと一歩を踏み出せずにいた公生が、『流れ星をつかまえよう』という曲の最後に心を決めて橋からジャンプするシーンがあるんですが、そこに至るまでの過程は、とくに大事に演じたいと思っています」

物語の軸にあるのは音楽。その面白さと同時に、芸術を追求する者の過酷さも描いている。

「好きなことを仕事にできていいよね、と言われるかもしれないけれど、だからといってずっと楽しいわけじゃないんですよね。僕は昔から歌うことが好きで、それは今も変わらないけれど、この世界に入って、楽しいだけではなく、そこには責任が付きまとうもの。自分がうまくなったと思っても、その何段階も先を行っている人がいるんです。どこまで追求しても終わりが見えなくて、苦しくなるときもあります。それでも辞めずに続けているのはなぜなのかと考えると、喜んでくださる人がいて、結局それが好きなんだなと思うんです。誰も観てくれなかったら、絶対辞めてます(笑)。今、数十秒あれば手元で面白いものが見られる時代にチケットを買って劇場に足を運んでくださる人がいる。その期待を上回るくらいの圧倒的な実力をつけていかなければと思っています」

Profile

岡宮来夢

おかみや・くるむ 1998年4月23日生まれ、長野県出身。ミュージカル『刀剣乱舞』鶴丸国永役で注目される。今年、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』で主人公のロナンを演じ大きな話題に。

Information

ミュージカル『四月は君の嘘』

かつて母親から指導を受け数々のコンクールで優勝していた公生(岡宮・東島/Wキャスト)だったが、母の死をきっかけにピアノの音が聞こえなくなり、音楽から遠ざかってしまい…。8/23(土)~9/5(金) 昭和女子大学人見記念講堂 原作/新川直司 脚本/坂口理子 作詞・作曲/フランク・ワイルドホーン 演出/上田一豪 出演/岡宮来夢・東島京、加藤梨里香・宮本佳林、希水しお・山本咲希、吉原雅斗・島太星ほか 全席指定S席1万4000円ほか 東宝テレザーブ TEL. 0570-00-7777(ナビダイヤル) 愛知、大阪、富山、神奈川公演あり。

ジャケット¥16,880(ホーリーインコード/スペース spesjp.press@gmail.com) イヤーカフ¥6,600 リング¥6,600(共にグラミー gramii.mii@gmail.com) その他はスタイリスト私物

写真・小笠原真紀 スタイリスト・深澤勇太 ヘア&メイク・Ayane(Lomalia) インタビュー、文・望月リサ

anan2459号(2025年8月20日発売)より
Check!

No.2459掲載

シェアする暮らし 2025

2025年08月20日発売

ビューティ、ファッションなど様々なジャンルごとに「これいいよ!」なコト・モノをリサーチ。美容は吉田朱里さん、ファッションは俳優の花瀬琴音さんとスタイリストの伊藤信子さん、フードではぼる塾の田辺智加さんに、みんなと情報をシェアしあい、自分自身をアップデートしていくことの醍醐味も伺いました。

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実際的な行動に踏み込めない代わりに、想像力をたくましくすることで補ったり、誰かを励ましたりすることがテーマの日です。その際に、詩やキャッチコピー、印象的なデザインやイラスト、軽快な音楽が使われる傾向がありますが、どんな方法であれ日々頑張っている人を後押ししようという気持ちはとても素敵なものです。

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