カラオケは再評価されるべき最高のエンターテインメント。
能町みね子(以下、能):カラオケって最高なのに、詩的でも文学的でもないから、語られないですよね。
ゆっきゅん(以下、ゆ):“カラオケ全然語られない問題”ってありますね。カラオケが好きな歌手がマジでいないんですよ。公言しているのは大森靖子さんくらいなんじゃないかな。だから、なんかそれに救われてます。カラオケって、歌手の出自じゃないの? って思うんですけど……。
能:ちゃんとすべての歌手のスタートであってほしいですよね。
ゆ:歌手仲間と行くこともあるけど、久しぶりに会った女友達と流れで行くカラオケが一番楽しいです。友達の歌を聴くのも好き。知らない曲をフルコーラスで聴く時間だから。カラオケって。
能:別に、無理に場が盛り上がらなくていいから、私も相手が知らない曲を入れたい。友人が歌った曲で、原曲を一回も聴いたことがない曲っていっぱいありますよね。
ゆ:もうその人の声のバージョンだけで覚えちゃってる(笑)。
能:あと、みんな機能をもっと使いこなしてほしい。私は、機種はJOYSOUNDで、後奏カット、ガイドメロディオフ、原曲キーにはこだわらない。
ゆ:ガイドメロディってうるさくて自由が奪われますよね。
能:あとはだいたいミュージック強め、マイクちょい抑えめ、エコー抑えめ。たまにマイクなしでも歌います(笑)。
ゆ:地声で歌うのって気持ちよさそう。私は、みんなが座ってても靴を脱いでソファに立ちます。
能:それはもう基本姿勢だよね。
ゆ:私、高校生の時からカラオケで踊ってたんですよ。高校生って連帯感が大事だから、みんなが知ってる曲じゃないと入れられないムードあるじゃないですか。でも、踊りもあればみんな耐えられるんじゃないかと思って。
能:それわかる。だから私もMC付きで歌う曲あるわ。もうエンターテインメントにしちゃうの。
ゆ:サービス精神ですよね。
能:カラオケって本当に見せ方がいろいろあるものだから、ただの宴会芸みたいに思われちゃうのは不満。もっと再評価されるべき。セトリ作ってカラオケでMC付きのパフォーマンスとかやったら、絶対楽しいと思います。
ゆ:能町さんと話していたらなんだかカラオケ行きたくなっちゃった。これから行っちゃいません?
能:流れで行くのいいですね。行きましょう(笑)。
ゆ:近くにカラオケありますよ!
能:機種はJOYSOUNDで!
のうまち・みねこ 北海道生まれ。文筆業。著書に、『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ』(共著、朝日出版社)、『私みたいな者に飼われて猫は幸せなんだろうか?』(東京ニュース通信社)、『皆様、関係者の皆様』(文春文庫)、『結婚の奴』(平凡社)など。
ゆっきゅん 1995年、岡山県生まれ。青山学院大学文学研究科比較芸術学専攻修了。「電影と少年CQ」のメンバー。2021年からセルフプロデュースで「DIVA Project」をスタート。X、インスタは@guilty_kyun
※『anan』2024年3月13日号より。写真・幸喜ひかり 文・綿貫大介
(by anan編集部)