今よみがえる『PLUTO』。鉄腕アトムの揺るぎないメッセージ。
手塚治虫作品の金字塔とも呼ばれる『鉄腕アトム』。1952年に漫画連載をスタートし、’63年には日本初の30分テレビアニメシリーズにもなった日本のカルチャーを代表する名作だ。“世界で初めて心を持つロボット”として描かれたアトムは、その可愛らしい見た目に反し差別や戦争といった深いテーマを扱ったことも話題に。
そんな物語のなかでひと際異彩を放っていたのが「地上最大のロボット」というエピソード。最強のロボットとして作られた“プルートウ”が、アトムをはじめとする世界で最も強い7体のロボットに戦いを挑んでいくストーリーが描かれる。人間のために作られたロボット同士がなぜ争う必要があるのか、なぜ人間はこれほど残酷なのか。そうした問いかけが多くの読者の胸を貫いた。
そして、当時5歳だった浦沢直樹も幼いなりにこの物語の“得体の知れないメッセージ”に強く心を動かされたひとり。『YAWARA!』や『20世紀少年』などの名作を次々に世に放ってきた浦沢直樹の原点は、幼少期に読みふけった手塚作品にある。そんな彼が、『鉄腕アトム』の物語世界でアトムが誕生した2003年に、「地上最大のロボット」を『PLUTO』としてリメイク。刑事ロボット・ゲジヒトを主役に、SFサスペンスとして生まれ変わった。
そして、遂にアニメ化されたNetflixの『PLUTO』は、10月26日に配信開始。アトムの活躍にも注目!
【手塚治虫】数々の名作を残し今も読み継がれる「漫画の神様」。
『鉄腕アトム』をはじめ、『ジャングル大帝』『火の鳥』『ブラック・ジャック』など今も世界中で多くの人に読み継がれている傑作を生み出し、「漫画の神様」とも呼ばれる存在。映画のような大胆なコマ割りや時間・空間の新しい表現を開拓し、漫画を芸術の域にまで押し上げた立役者でもある。“生命の尊厳”をテーマに掲げた作風を含め、後進にも多大な影響を及ぼしている。
【浦沢直樹】漫画界の第一線で幅広いジャンルを描き続ける天才。
1983年にデビューして以降、女子柔道を描いた『YAWARA!』や天才脳外科医を主人公に据えた『MONSTER』などの漫画を次々と発表。前者ではコメディタッチでスポーツと青春を描いた一方、後者では重厚な社会問題をテーマにサスペンスドラマを編み、こうした相反する作風を巧みに使い分けて多くの人を魅了してきた。長い時間軸で物語を展開するのも特徴のひとつ。
『PLUTO』に登場する主要キャラクターを紹介!
ゲジヒトCV.藤 真秀
ユーロポールが誇る高性能な刑事ロボット。
アトムCV.日笠陽子
日本を代表する世界最高水準のロボット。
モンブランCV.安元洋貴
スイスの山林保護担当官を務めるロボット。
ノース2号CV.山寺宏一
スコットランドの音楽家の執事ロボット。
ブランドCV.木内秀信
トルコが誇る、ロボット格闘技のチャンピオン。
ヘラクレスCV.小山力也
ギリシアの国民的英雄である格闘技ロボット。
エプシロンCV.宮野真守
光子エネルギーを操る、孤児を育てるロボット。
プルートゥCV.関 俊彦
竜巻を起こしながら飛来する謎のロボット。
ウランCV.鈴木みのり
アトムの妹のロボット。他者の感情を察知できる。
お茶の水博士CV.古川登志夫
日本の科学省長官で、アトムの育ての親。
天馬博士CV.津田英三
アトムを生み出した、天才科学者。
『PLUTO』 世界最高水準のロボットが次々に破壊される事件が発生し、刑事ロボットのゲジヒトやアトムも標的に。10月26日よりNetflixにて世界配信。©浦沢直樹/長崎尚志/手塚プロダクション ©浦沢直樹/長崎尚志/手塚プロダクション/「PLUTO」製作委員会
※『anan』2023年10月4日号より。取材、文・原 航平
(by anan編集部)