赤楚衛二「黒沢のために一生懸命な安達はかっこいいです」
映画の現場に入った時、顔見知りのスタッフさんがいて役も同じメンバーで、「戻ってる!」と嬉しかったです。今回の作品は、台本を読んでいても演じていても、安達がすごく成長しているのが印象的でしたね。ドラマのラストからそんなに時間は経っていないけれど、黒沢と一緒に生きていきたいという気持ちが以前よりも強くなって、そのために一生懸命になっている姿が本当にかっこいい。人を想う気持ちの素敵さというものがテーマとして貫かれていたドラマでしたけれど、映画でもそこは変わらなくて、黒沢を想う安達の強さがシーンとして明確に描かれるので、想いで人ってここまで変われるんだよっていうところが見どころだと思います。
町田くんとは、ドラマの中で少しずつ心の距離が近づいていくところを演じてきて、今回は恋人という関係性からスタートしているので、撮影中も一緒に重ねてきた日々みたいなものを感じながらお芝居ができた気がします。いい意味での慣れというか、一緒にいて落ち着くというか。ただ、町田くんはお芝居の中でここは違うと思うところがあると、流されることなくはっきりとおっしゃる。そこが尊敬できるし憧れます。普段からスマートな方ですが…じつはカイロの貼り方がパァン(手首にスナップをきかせ指を反る仕草で)って可愛らしかったりもします(笑)。他の共演者とのお芝居もとても楽しくて、とくに浅香(航大)さんは独特の間がある方で、柘植とのシーンは全体的に楽しかったです。ただ、撮影ですごく悔しいシーンがあったんです。柘植とキャッチボールをしながらアドリブで会話を繋げていく芝居で、僕が「美味しかったんだよな」って言うと浅香さんが「なぁ?」って返すんですが、その後も僕が何を言っても、その返しが「なぁ?」なんですよ。その間がなんだか妙に面白くて…。途中で僕が堪えきれずに笑っちゃって使えなくなってしまったのが残念です。
あかそ・えいじ(写真左) 1994年3月1日生まれ、愛知県出身。放送中の『WOWOWオリジナルドラマ ヒル』Season1に主演。その他の近作に、映画『決戦は日曜日』など。
ニット¥59,400 Tシャツ¥19,800(共に08サーカス/08ブック TEL:03・5329・0801) パンツ¥23,100(CRST×Dickies/ディガウェル1 TEL:03・5722・3392) その他はスタイリスト私物
町田啓太「黒沢の変化を引き出す安達はすごい」
ドラマの“チェリまほ”は、人と人との関係性とか、相手に寄り添う時の行動や言葉を、丁寧に、繊細にディスカッションしながら作っていった作品です。今回、映画化にあたり台本を読んで感じたのは、その世界観がぶれることなく、むしろ深まっていたということ。素晴らしいなと思いましたし、そういう作品でまた演じられることが幸せでした。
僕が演じた黒沢は、いろんなことを一人で考えすぎたり、自分に枷を作って背負い込んだりするところがあって…。そこがドラマの時に解消されたのかと思いきや、映画でも同じような思考に陥ってしまう。でもそんな黒沢が、安達との新たな関係値によって、どう変化するのか。それを引き出してくれる安達は、やっぱりすごいんです。演じている赤楚くんの役者としての魅力も大きくて、とにかく純粋で自然体なところが素晴らしい。僕はわりと頭で考えがちですが、赤楚くんは感じたままを役に投影している。いざ赤楚くんを通した安達を目の前にすると、全てを忘れて僕も感じたままでいられる気がするんです。委ねられるというか。だから、「このシーンではどういうことが起こるんだろう」と、毎回楽しみでした。
今作は、ドラマの時の主要キャストがみんな揃って出演できたことも嬉しかったです。ドラマの1話の冒頭で、鈴之助さん演じる浦部さん(安達と黒沢の先輩)が、安達に「(30過ぎても童貞だと)魔法使いになっちまうんだぞ」と言うセリフがあるんですけど、それを誰が一番浦部さんぽく言えるか、空き時間にみんなでやっていました(笑)。そのぐらい和気あいあいと、久しぶりに会った感じもしなかったですね。あと赤楚くんがやっぱり面白くて、そこを突っついたりとかして現場がほっこりする、というのも以前と変わらず。今回、初めて気づいたのは、赤楚くんはカメラを向けると結構サービスしてくれるっていうことですかね(笑)。
まちだ・けいた(写真右) 1990年7月4日生まれ、群馬県出身。『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』(NHK総合)に出演。出演映画『太陽とボレロ』が6月3日に公開。
カーディガン¥19,800(トゥモローランド トリコ/トゥモローランド TEL:0120・983・522) カットソー¥13,200(トゥモローランド) パンツ¥59,400(ビューティフルピープル/ビューティフルピープル 青山店 TEL:03・6447・1869) その他はスタイリスト私物
※『anan』2022年4月13日号より。写真・伊藤彰紀(aosora) スタイリスト・壽村太一(赤楚さん) Hirohito Honda(Hirohito Hondaスタイリングオフィス/町田さん) ヘア&メイク・廣瀬瑠美(赤楚さん) Kohey(町田さん) 取材、文・望月リサ 保手濱奈美
(by anan編集部)