弘前の街中に、りんごの絵が描かれたかわいいレトロな駅がある。そこから電車に乗って歴史ある温泉に向かう、プチトリップのすすめ。

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    弘南鉄道大鰐線

    弘前市の市街地と大鰐町、約14kmの距離をおよそ30分かけて走るこの電車は、「りんご畑鉄道」という愛称を持つローカル線。レトロでかわいい駅舎に加え、春はりんごの花、秋は赤い実などの景色も魅力。冬の車窓の楽しみは白い岩木山と津軽平野の雪景色。真っ白な世界に見とれてのんびりしていると、意外とすぐに大鰐駅に到着してしまいます。2月末まで「界 津軽」とのコラボで、こぎん灯籠が飾られた「津軽七雪こぎん灯篭列車」が運行中。残念ながら大鰐線は2028年3月31日で休線が決定。なので、早く乗りに行かなくちゃ! 中央弘前駅から大鰐駅まで大人¥440 https://konantetsudo.jp

    家から温泉地へ一直線…というのもいいけれど、道中を楽しみながら現地へ向かう、のんびりな旅も楽しいもの。そんな気分の人におすすめしたいのが、ローカル線の旅。今回紹介するのは、クラシックとモダンが融合した、文化の薫り漂う弘前から、800年以上の歴史を持つ大鰐温泉に向かう、冬の青森の電車旅。

    まずは飛行機や新幹線、在来線などで弘前に到着。市場で腹ごしらえをしたり、気になるカフェや和菓子屋さんを巡ったり…。最後に本屋で旅のお供にしたい本を見つけたら、いざ電車に乗って大鰐へ。雪景色の中のんびり走る電車に揺られていると、大鰐の町に着いたら何をしよう、宿ではどんなおもてなしが待っているのかな…と、あれこれ期待が高まります。

    楽しい時間を過ごした後は、大鰐での思い出を反芻しながら一路弘前へ。次はりんごの花も見てみたい、途中下車もしてみたい。ますます旅心がくすぐられる、そんな列車の旅でした!

    弘前・文化の薫りが漂うおしゃれ城下町で温泉の前にひと息

    明治から大正時代に建てられたレトロな建物や世界的建築家・前川國男氏が手掛けたモダン建築があちこちに。城下町の品の良さと文化的な雰囲気が漂う、弘前の街。インテリアもコーヒーも魅力的な喫茶店や江戸時代から続く老舗の和菓子屋さん、本棚を眺めているだけであっという間に時間が経ってしまうこだわりの本屋さんなど、足を運びたくなるお店がたくさん。さらに、長年弘前の食を支えてきたマーケットも、食事におみやげショッピングに絶対外せないスポットです。

    旅の途中の寄り道…程度では、この街の魅力は味わいきれない! 大鰐に行く前に寄って、帰り道にもまた寄って。何度も後ろ髪を引かれてしまう、そんな街。

    ① 喫茶室baton

    昭和の名建築に抱かれて、夢のようなコーヒータイムを

    美しい1階からの眺め。ステンドグラスの右手に喫茶室がある

    シックな赤が印象的な壁には、弘前市出身の現代アーティスト・奈良美智氏の作品が

    ロビーの大きなステンドグラスは、同じく弘前市出身の洋画家・佐野ぬい氏による「青の時間」という作品。ゼリーポンチはこのステンドグラスにちなんだメニュー。五色のゼリーポンチ[青の時間]¥825

    一番のご当地食材といえば、やっぱりりんご! 林檎とスフレパンケーキ¥1,650 バトンブレンドコーヒー¥550

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    コルビュジエの弟子だった建築家・前川國男氏が1964年に建てた弘前市民会館。ステンドグラスが印象的な建物の2階、吹き抜けの中に浮かぶように存在しているのが、こちらの喫茶店。別の場所で営業していたのが、2014年、市民会館のリニューアル時にこちらに移転。星空をイメージした天井や、ステンドグラスを眺めながらこだわりのコーヒーや軽食が楽しめる。建物自体も魅力的なので、そちらもぜひ。弘前市下白銀町1-6 弘前市民会館管理棟 M2F/TEL. 0172-88-8928/11:00〜17:00(16:00LO)/第1・3月曜(祝日の場合は翌日)休

    ② まわりみち文庫

    隅から隅まで本棚を眺めたい! 旅のお供の本を探したい書店

    濃い茶色の本棚が学校の図書館のようで、どこか懐かしい雰囲気が漂う店内。津軽をテーマにした本だけを並べた棚などもある

    こちらが店主の奈良さん。「参考書の注文なども承りますよ」と笑う

    思わず覗いてみたくなる、そんな雰囲気の扉。外にはお買い得な古本があり、掘り出しものも!

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    飲食店が立ち並ぶかくみ小路を歩いていると、突然現れる小さな書店! 中に入ると壁一面に本が並ぶ本棚が。このお店を営むのは地元出身の奈良匠さん。大人になってから読書に目覚め、40代でこの店をオープンしたそう。ユニークなのが、新刊と古本が一緒に並んでいる本棚の構成。この本読みたかった…似たテーマの古本があるぞ、あれ、こっちも気になる…と、眺めているだけで頭の中のシナプスが繋がっていく、そんな楽しさが溢れる書店です。弘前市新鍛冶町9-5 13:00〜21:00/木曜休/https://detourbooks.official.ec

    ③ 御菓子司 大阪屋

    江戸時代から続く和菓子の老舗。とっておきのおみやげにどうぞ

    弘前公園追手門から徒歩4〜5分の場所に位置。街の人たちが次から次へやってくる

    季節の和菓子の美しさも必見

    津軽家の家紋が刻まれた引き出しを開けるのは、13代目の福井さん。優しい語り口で、店の歴史についてお話ししてくれました

    店を代表するお菓子の竹流し。小麦粉と砂糖蜜、そば粉だけを使ったシンプルな焼き菓子は、ふわっと香るそばの香りがクセになる。竹流し(小)¥1,200

    ハートの意匠がなんともかわいいワップル。カステラ生地の中には、酸味と甘味のバランスが絶妙な紅玉のりんごジャムが。1個¥185

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    和菓子屋さんが多い城下町の弘前を代表するお店がこちら。13代目の店主・福井清さんによると、創業は寛永7(1630)年で先祖は豊臣家の家臣。大坂夏の陣で敗れて弘前にたどり着き、津軽藩2代目藩主の命でお菓子を作り始めたのだとか。歴史の長さを感じさせるお店の佇まいはもちろん、店内に置かれたきれいな螺鈿の引き出しにも注目。この引き出し、飾りではなく、実際に販売するお菓子を入れて今も使用中。400年近く受け継がれてきた美しい味と技を、ぜひ弘前旅行のおみやげに。弘前市本町20/TEL. 0172-32-6191/8:30〜17:30/元日休

    ④ 虹のマート

    弘前の“おいしい”が大集合! とにかく楽しい、市民の市場

    虹が描かれた愛らしい外観。商品搬入の車がひっきりなしにやってきて、活気が溢れる!

    店内は、通路の左右に店舗がズラリ

    あれもおいしそう、これも食べたいと、目移りしちゃって切りがない!

    りんごの専門店『山金』では、こんなに多くの種類の試食が可能

    明治の創業以来、独特な製法で“津軽そば”を作り続けている『アキモト製麺』。小さなカウンターが併設されていて、茹でたてがいただける。おすすめは、“津軽 幻のそば”

    売り場にあるキッチンで次々とおいしそうな惣菜を作っているのは『八百屋 GOHAN』。青森のお米を使ったおにぎりに味噌を塗り、焼き上げる様子に、食欲がそそられる…!!

    三方を海に囲まれている青森は魚介の宝庫。貝の大きさ&新鮮さに釘付け

    生産量日本一を誇るにんにく。料理好きならまとめて買いたい!

    レトロなラベルがおしゃれな『山金』のオリジナルりんごジュース。店名が入った買い物袋さえ愛しく見えてくる…

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    昭和の時代から市民の食を支えてきたこちらの市場。店内にはまぐろ、イカ、ホタテ、ヒラメ、すじこといった青森の魚介類や、とれたての野菜類、そして土地の食材を使った惣菜店など、多様な店舗が、そしてお客さんがぎっしり! 食に興味がある人ならば、何周しても飽きません。観光客におすすめなのが、市場内での朝ごはん。“いがめんち”や“弘前もやしの子和え”など土地の味をいろいろ買い揃え、イートインコーナーでいただくのがオツです。弘前市駅前町12-1/TEL. 0172-32-6411/8:00〜18:00/日曜休/https://www.nijinomart.com

    大鰐温泉・800年の歴史を紡ぐ“湯っこ”。レトロとローカルを楽しもう

    開湯800年の歴史を持ち、江戸時代には“全国温泉番付”で横綱以上の別格を表す“行司”に格付けされていた大鰐温泉。駅舎を出ると出迎えてくれるのは、にっこり笑った大きな鰐。ちなみに町名は、その昔大きな山椒魚、つまり大鰐が住んでいた伝説があったことに由来しているのだそう。

    元々温泉の数が多い青森県。大鰐町もご多分に漏れず、気軽に入れる共同浴場が多数あり、はしご湯も可能。さらにレトロなムードの食堂や喫茶店もあり、町の人と語りながらひと休みできる、そんな旅の醍醐味も味わえます。駅前には、特産品の温泉もやしが並ぶこともある産直ショップや、津軽のクラフト作品を扱うセンスのいいコーヒーショップも。電車を待つ間、ぜひ町を散策してみて!

    ① 山崎食堂

    シャキシャキの温泉もやし入りのラーメンはこちらが元祖

    こちらが噂のラーメン! これを求めて県外からやってくるお客さんも多数。元祖おおわに温泉もやしラーメン しょうゆ味¥1,000

    オープンは昭和6年!! 店内は、小上がりとテーブル席が。おばあちゃんの家に遊びに来た、そんな雰囲気がたまりません

    昭和感インテリアがいい味。ついついまったりしたくなる…

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    駅のすぐ隣に店を構えるこちらは、名物「大鰐温泉もやし」を使ったメニューが人気。イチオシは、津軽定番の煮干し風味のスープをベースにした醤油ラーメンで、炒めた温泉もやしをのせた「元祖おおわに温泉もやしラーメン」。一般的なもやしより細いのに、驚くほどのシャキシャキさ! 町内では他にももやしラーメンを出すお店があるそうですが、現在食堂を営む姉妹によると、「最初に作ったのは4代目の母なのよ」とのこと。一度食べたら忘れられない味。南津軽郡大鰐町大字大鰐字前田34-21/TEL. 0172-48-2134/曜日によって異なる/不定休

    ② 喫茶 ベル

    平川に来る白鳥を眺めながら、のんびりできるレトロ喫茶

    窓から見える平川には、冬場は白鳥が飛来するそう。店のママさん曰く、「若いお客さんがシャンデリアなどを一生懸命撮影しているのを見ると、不思議な気持ちになります(笑)」

    入り口はこちら。勇気を持って階段を上れた人だけが、天国にたどり着けます!

    ナポリタン¥600 飲み物付きで¥800

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    元郵便局という趣深い建物の2階にあるこの喫茶店。かなり年月を重ねた雰囲気ゆえ、本当に店があるのか不安になりながら階段を上ると…。なんとそこにはシャンデリア、テーブル型ゲーム機、ベルベットの椅子など、昭和ムード満載のレトロな喫茶店が! 30年近い歴史があり、近所の奥様方のおしゃべりスポットとして愛されているこのお店。でもここ最近はテレビ取材が来たり観光客が増えたり、これまでとは違う角度で人気が上昇中。居心地の良さ、半端ないです。南津軽郡大鰐町大字大鰐字前田82-2F/TEL. 0172-47-7007/10:30〜17:30/日曜休

    ③ Craft & Cafe RAITO

    温かみのあるクラフト作品と、おいしいコーヒーでひと息

    形がなんとも愛らしい、りんごのパウンドケーキ¥380 カフェオレ¥650 ケーキ類は人気ゆえ、売り切れのことも

    駅前の景色を眺めながらのんびりできるカウンター席

    高温でじっくり焼き締める手法で出す独特の風合いが魅力の、津軽の焼き物、金山焼

    かわいらしいこぎん刺しの小物も揃う

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    駅前に店を構えるこちらは、カフェと、青森のクラフト作品や雑貨などを扱う店の複合ショップ。経営するのは青森市から移住した2人組。居心地の良いカフェコーナーでは、青森市の珈琲屋『one up coffee』の豆で淹れたコーヒーや大鰐産りんごを使った「あら、りんご」のケーキなどが楽しめ、また、こぎん刺しや地元の焼き物・金山焼の器などの買い物も楽しめる。電車の到着をここでのんびり待つのもよさそう。おしゃれな大鰐みやげはおまかせです。南津軽郡大鰐町大字大鰐字前田68-10/TEL. 0172-55-0448/9:00〜18:00/木曜休

    ④ 鰐come「メルカート」

    食べ物のおみやげはぜひこちらに。運が良ければ幻のもやしがある?!

    こちらが噂のもやし。取材の日は10時過ぎに入荷し、待ちわびていた住民の皆さんであっという間に売り切れに。凄まじい人気です。大鰐温泉もやし1把¥300(1人2把まで)

    朝採れ野菜、菓子や加工品も豊富に揃う

    鉄道旅のお供にぴったりなおにぎりたち。サイズも大きく、食べごたえ満点

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    日帰り湯とお食事処などがある大鰐町地域交流センター・鰐come。その売店「メルカート」は、地元の特産品や工芸品、産直の野菜や果物、お惣菜などが並ぶ。注目は、温泉の熱で栽培される大鰐温泉もやし。歯ざわり、味わい、サイズ感、すべてが普通のもやしとは別次元。手間暇かかる上に作る農家の数も少ないため常に店頭にあるわけではなく、町の方々も「あったらラッキー」という幻の野菜。見かけたら、おみやげにぜひ! 南津軽郡大鰐町大字大鰐字川辺11-11/TEL. 0172-49-1126/8:00〜17:00(冬期間限定短縮営業中〜16:00)/第3木曜休

    界 津軽・雪景色とりんごに癒される、津軽の奥座敷へ

    左/アーチ型の屋根に覆われた「かまくら露天風呂」は、かまくらの中で湯に浸かっている気分に、右/大きな青森ヒバの湯船に、たくさんのりんごが浮かぶ「りんご風呂」

     

    駅前から車で約5分、雪化粧をした森に佇む温泉旅館「界 津軽」。水庭に囲まれたこの宿は四季ごとに見せる顔が異なるそうで、冬場は、雪景色の中に灯籠が浮かぶ幻想的な景色が自慢。ロビーから見るのも美しいですが、この時期のおすすめは、雪景色の水庭を望みながらの「かまくら露天風呂」。また甘い香りに包まれながら入る、本物のりんごが浮かんだ内風呂も魅力的。素敵な景色と癒しの香り、2つのお湯で、日頃の疲れがあっという間に吹き飛びます。

    夕食は、津軽の風をふんだんに感じる会席に感激。ロビーで演奏される津軽三味線を楽しんだり、部屋でこぎん刺しに挑戦したり…。降り積もる雪の静けさの中、津軽の夜をたっぷり楽しめます。
    雪の中でのホテルステイ、冬ならではのときめきがたっぷりです。

    朝食の目玉は郷土料理の「貝焼き味噌」

    長さと歯ごたえが自慢の大鰐温泉もやしと大間のまぐろの小鍋仕立で、冬の津軽の旬を堪能。「大間のまぐろづくし会席」は他にもまぐろメニューがずらり

    光が美しい客室棟5階の廊下は、世界のホテルの美しい廊下10選に選ばれた

    夜のロビーでは津軽三味線の演奏が

    「こぎん刺し 刺し放題」のキットを借り、部屋で手仕事を楽しむのもいい。¥1,500(3セット限定)

    ふんわり雲のような寝心地が気持ちいいと評判のベッド

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    お湯に身を委ね、のんびり時間を過ごす。静かな津軽の冬を満喫

    information

    界 津軽

    • 南津軽郡大鰐町大字大鰐字上牡丹森36-1 TEL. 050-3134-8092(界予約センター)
    • 客室数/40室
    • チェックイン15:00 チェックアウト12:00
    • 料金/1泊¥28,000〜(2名1室利用時1名あたり、サービス料・税込み、夕朝食付き。以下同)、「大間のまぐろづくし会席」¥35,000〜
    • アクセス/新青森駅から車で約50分、弘前駅から車で約30分、JR奥羽本線大鰐温泉駅、弘南鉄道大鰐線大鰐駅よりタクシーで約5分(駅から無料送迎バスあり、要予約)

    写真・松村隆史 構成、取材、文・河野友紀
    Check!

    No.2480掲載

    冬の癒し旅へ 2026

    2026年01月21日発売

    全国津々浦々のいま行きたい温泉地、温泉宿をピックアップ。山口・長門湯本温泉、岐阜・下呂温泉、大分・別府温泉をはじめ、長野県松本や三重県湯の山温泉のご褒美宿、レトロなローカル線で訪れる青森・弘前から大鰐温泉の旅、人気の特急「サフィール踊り子」で行く伊豆・下田巡り、千葉県木更津の「竜宮城スパホテル三日月」&和歌山「ホテル浦島」の東西レトロインパクト温泉まで。

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