社会のじかん

「新型コロナ改正特措法」で50万円以下の過料も 罰則と補償を解説

ライフスタイル
2021.03.07
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新型コロナ改正特措法」です。

政府のコロナ対策、長期的視点での支援も求めたい。

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新型インフルエンザ等対策特別措置法や感染症法、検疫法の改正案が国会で可決され、2月13日に施行されました。1月に国会が開会してから、スピード審議・可決となりました。これまでは緊急事態宣言下で「営業自粛をお願いします」という「要請」だったのが、「勧告」や「命令」など、より強い措置がとれるようになります。また、感染対策の立ち入り検査や、従わなかった事業者の公表も政府ができるように。さらに「まん延防止等重点措置」が新設され、緊急事態宣言の発令前にも、感染拡大が想定される地域には、集中的に命令を出すことができるようになりました。

命令に従わない事業者にはペナルティが科せられます。緊急事態宣言下では30万円以下、発令前は20万円以下の過料。また、改正感染症法により、コロナ感染者で入院を拒否した場合は50万円以下、保健所による感染経路調査を拒否した人には30万円以下の過料が科せられることになりました。当初は刑事罰を設けて、違反者には懲役刑や罰金を科すという厳しい案が出ていたのですが、野党から強い反発が出て、刑事罰はなしになりました。

罰則を設けるからには、それに見合う補償も必要です。緊急事態宣言が出されている都道府県には、時短営業に協力した飲食店に対し、地域ごとに異なる協力金が支払われることになりました。厳しい罰則を設けているスペインのマドリードでは、補償金をもらい続けて店を開けられなくなってしまった飲食店と、緊急事態宣言下でも摘発を逃れて営業を続けている店と二極化しているのだそうです。

日本政府は基本的に事業の継続をもとに支援策を出しています。ところが、諸外国では、業態が変化した場合にかかる職業訓練や開店資金の補充というサポートも行っています。アメリカの研究チームによると、新型コロナウイルス感染症が、普通の風邪と同程度に弱毒化されるにはあと10年かかるのだとか。長引くコロナ禍では、同じ事業形態を続けること自体が困難な業種もあります。長期的に見れば、新事業を始めるための支援という大胆なサポートも必要なのではないでしょうか。

hori

堀潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『モーニングCROSS』(TOKYO MX 平日7:00~8:00)にメインキャスターとして出演中。

※『anan』2021年3月10日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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