岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「譜割」です。
okazakitaiiku

譜割とは音符に対して、歌詞の一音一音をどういう配分で置いていくかを考えていく作業です。基本は、メロディラインの音符ひとつに対して1文字。ですが、それに限らず音便(発音上、語中・語尾の音が他の音に変化すること)によっては2音、ときには3音流し込んだほうが気持ちいい場合もある。例えば僕の「なにをやってもあかんわ」を聴いていただくとわかりやすいと思います。冒頭の歌詞「もうなにをやってもあかんわ」は、単純に文字数で言えば13文字です。しかし、このメロディの音符の数は8音。「もぅ・な・に・を・やっ・ても・あかん・わ」と割っています。「っ」や「ん」などのほか、「かきくけこ/さしすせそ/たちつてと」などは子音である「k」「s」「t」の音だけでの表現も可能です。「く」=「ku」とはっきり発音すれば1音カウントになりますが、「クッ」と「k」の音だけで母音を崩し圧縮することが可能です。と、専門的になってしまいますが、僕はけっこうこの譜割にこだわるタイプです。

でも、J‐POPでは譜割を意識せず無理やり言葉を入れたり、2音あるのに1文字しか入れていなくて気持ち悪い…と思う曲もたまにあります。でも気持ちよく譜割が入っていることが正解ではなく、逆にバランス悪くいびつに入っていることで記憶に残る場合もあるので、どれが正解ということはありません。僕は歌詞に意味を持たせず音運びの良さだけで歌詞を作ることがあり(「スペツナズ」「XXL」など)、そういう楽曲で「譜割が気持ちいいね」と言っていただけると、わかってもらえたとすごくうれしい気持ちになります。

今、僕が耳にしてもっとも日本語の譜割が巧みやなと思うのは、R-指定さん。ダントツで流し込みがうまいです。ラップの部分もそうですし、サビでメロディをつけつつ言葉のフックを作るのとか、めちゃくちゃ気持ちいい音選びをされていて、これはテクニックというよりも元々持っている勘の良さ、センスではないかなと。あとは、SUSHIBOYSのファームハウスくんもいいなと思います。ラッパーの方々は日本語を既存の概念で捉えすぎないから、面白い表現がいろいろできるのではないでしょうか。洋楽にある音の取り方、韻の踏み方などを日本語の中にもうまく活かせている方々に魅力を感じます。言葉の選び方に興味を持って聴くと、また音楽の聴き方の幅が広がると思うのでおすすめです。

おかざきたいいく 『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。『おはスタ』(テレビ東京系 月~金曜7:05~7:30)の火曜レギュラーとして出演中!

※『anan』2020年11月18日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・村田真弓 文・梅原加奈

(by anan編集部)

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