ツイッターなどのSNSは、反対の意見を見に行こう。
自分にとって心地のいい、意見が似た人ばかりフォローしがちなSNS。するとアルゴリズムによって、TLに並ぶニュースやそれに対する考えも偏ってしまう…。
「メディアの特性上、SNSは偏りが強まる可能性が高い。だからこそ僕は、あえて自分と違う意見を聞くのも大切だと思います。どうも今のSNSは、意見を同じくする人だけで集まってシャッターを下ろし、異なる意見を遮断した状態で盛り上がっているように見えます。そこは“自分以外、みんなバカ”といった上から目線の姿勢の方も。むしろ自分以外は、みんな利口ぐらいの態度でいいと思う。SNSには特に“間違っているかもしれない”と自分を疑う用心深さが必要。“自分以外は、みな利口”と目を配りながら使いたいものです」
過去からも情報を取ろう。
現在進行形のニュースに目が奪われがちだが、過去に遡ることで理解を深めることもできるそう。
「たとえば’15年にジャーナリストがシリアで拘束された時、SNSで『自己責任だ』と猛批判されましたよね。その時僕は“自己責任”という言葉を使い始めた政治家が気になったんです。’04年に小泉(純一郎)さんが、イラクで日本人3人が拘束された時に言った記憶があり、その年の新聞を全部調べたら、最初は小池百合子さんだった。彼女は、世の中の空気をいち早く察して発言する能力に長けていて、今のコロナ対策でもそう。過去の点と繋がるんです。今日の政治家の言葉を1週間後に見返すだけでも、発言のズレだとか、きっと新しい発見がありますよ」
ネタ元を複数持つ。
「人は公正中立ではいられない」とプチ鹿島さん。
「ゆえに、人が発信する情報にもさまざまなバイアスがかかっていると思っていたほうがいい。僕の基本姿勢は、どんな情報に対しても“半信半疑”。それでも、信じる方向に傾いたり、疑いのほうが強まったりするのが人間です。だからこそ、複数の情報源から多角的に判断しないと、フェイクニュースに騙されてしまう。昔、学校のクラスで『あの二人は付き合っている』と噂が流れると僕は、『ウソかもしれない』と疑いながら、隣のクラスまで足を運んで情報を集めてました(笑)。情報は、話を聞く人数、つまりネタ元が多いほど精度が高まり、デマを流して恥をかく可能性も減るんです」
自分なりの疑問を持って読んでいく。
「深掘りすると、面白みが増していく」というニュース。
「受け身でニュースを読むのはもったいない! Go Toキャンペーンなら『誰がなぜ言いだしたのか?』など、自分なりに感じた疑問に対して調べてみる。このひと手間を加えるだけで、推進派の政治家の思惑が見えてきて面白くなるし、本質も見えてきます。ただ、深掘りして辿り着いたことでも、それは“真実”ではありません。相撲の取組が、東と西の席とでは真逆の見え方をするように、すべての物事は見る角度によって、まるで異なります。唯一無二の“真実”に見えることも、実は“真実らしきもの”にすぎません。ニュースも少数派の視点や逆側からも見ることが非常に重要です」
プチ鹿島さん 芸人。時事ネタを得意とする。『サンデーステーション』(テレビ朝日系)などにレギュラー出演中。「文春オンライン」など連載多数。著書に『芸人式新聞の読み方』(幻冬舎)。
※『anan』2020年9月2日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)