結成25周年、二部作からなるコンセプトアルバムの前篇をリリースした3人のミューズが歩く1本の道。その軌跡と奇跡を振り返り思うこと。そして私たちに未来の夢を見せ続けてくれたPerfumeの3人が描く次の世界とは。

あ~ちゃん「どんな形になろうと私たちは一生一緒」

25周年を記念したエキシビションは夢のような体験でした。「こういうのやってみたい」って声をあげてくれた人がいて、その噂を聞いて一人また一人と手を取って、その輪がどんどん大きくなって…結果、あれだけの規模に! いままでのいろんな展示の集大成であり最新形であり、Perfumeの描く未来を表現できた内容でした。そして資料コーナーには私たちが14歳のときの新聞記事を寄せてくださった方も…! それはその時代時代に、私たちを大事にしてくれた人がいた証し。その思いでPerfumeはできているんですね。

そのなかで3人が守り続けてきたものといえば“Perfumeの掟”。口にしたものは意外と少ないけど、暗黙の了解はめちゃあります(笑)。日に焼けないとか、成長期は背丈まで揃えようとしたり。「できるん!?」って話ですよね。でも「揃える」ことが自分たちの長所だと思っていたから。少し窮屈に感じたときもあったけど、いまはそれも楽しいです。隣の二人が美しいので、私も素敵でいようと一生運動、一生美容の日々です(笑)。

心の面で大切にしてきたのは「客観視」。私自身Perfumeのファンなので「Perfumeがこれやったら、まじぶち上がる!」ってことは次々に思い浮かぶんです。でもまず目の前にいる人を楽しませないと、その先の人には届かない。だから、かしゆかとのっちの楽しそうな顔が大事。ステージ上でも二人には笑顔でいてほしい! 例えばフェスとかで「あ、1曲目の選曲違った~(笑)」みたいなとき、あるんですよ。「ポリリズム」もタイミングを間違えたら爆発しないし。そういう局面では二人も絶対同じことを感じているので、手を合わせる振りや目線で「大丈夫、私たちには次の曲もありますんで!」って、語りかけて二人の心をプロテクトしてます。ふふふ!

次の道を決めるときも、気づいたら同じ方向を向いている3人。安全で間違いない道と、超難しいけどいままでにない挑戦の道。どんなに時間がかかっても、挑戦する方がいいと思えたら3人は後者を選びます。誰かがその感覚をアップデートしたら他の二人もスッとついていくのがすごい。

一方で最近オフでは二人とも自分の思うとおりに自由に生きているので見てて気持ちがいいです。ananの連載でも二人の世界が広がっているのを実感して、私ももっと素直に自分と向き合ってみてもいいのかな。美容や旅、ランジェリーやジュエリー。女性にまつわる素敵なものが好きだから、もっと関わっていけたらうれしいです。

25周年は奇跡×奇跡×奇跡…の何乗でしょう。もちろん年齢も重ねてきました。世の中、歳を重ねることに恐れってあると思うんです。でもいま私たちが「歳を重ねるって、まじで楽しいよ!」ってことを体現できているとうれしいな。形を変えつつもずっと3人で過ごしていけたらいいですね。どうかこれからも3人の生き方を見ていてください。Perfumeは私たちの人生なので。

あ~ちゃん 1989年2月15日生まれ、広島県出身。広島弁をおりまぜたライブMCなどでみんなを盛り上げるムードメーカー。SNSでは韓国旅行やピラティスなど美容関連の発信も好評。

のっち「隣にいる二人が、世界で一番大切」

25周年の起点は2023年末の年越しライブでした。そこでファンのみなさんにエンジンをかけてもらって「いい一年になりそう!」と気合が入りました。そこから初夏のアジアツアーに、秋は虎ノ門ヒルズでのエキシビション。エキシビションは昔から支えてくれていた方、初めてお会いする方、周りの方々が結集して作ってくださったんですけど、そのみんなの愛を一身に浴びて「満ち足りている!」と実感する25周年になりました。

そしてananでの連載も11年…! それまでは私個人のことを発信する場所ってなかったので、毎回お題を考えることで「私って…?」と考えることが増えました。その結果わかったのは、おうち大好き人間であること。回を重ねるうち家のことをおしゃべりする楽しさに目覚めました。私はこんなにも家の居心地を良くするモノたちが好きなんだ! って思っていまに至ります(笑)。

最近周りの人たちと一緒にPerfumeをここまで作り上げてこられた、という自信がやっと芽生えてきて「私は私の範囲で好きを楽しんで生きていいんだ」と心を緩められるようになりました。昔は二人とかぶらないものを選んで、キャラを追求することに必死だった。髪を切ったり、パンツルックを選んでみたり…。いま私のトレードマークになっていることは「私がPerfumeのためにできることはなんだろう」と探した末にたどり着いたスタイルです。一方で、Perfumeにとって一番大事なこと。それは中田(ヤスタカ)さんが曲を作ってくれて、MIKIKO先生が振付と演出をしてくれて、3人がいることだと思い続けています。その周りにはファンの人たちがいてくれて…。それもたまらなく幸せです。なかでも私にとっていっちばん大切なものは何かと聞かれたら、あ~ちゃんとかしゆか。守りたいものはその二人がいるPerfumeです。だから、二人と一緒にいて恥ずかしくない生き方をしたい。話し合ったことこそないけど「何が“恥ずかしくない生き方”なのか」は3人とも似た考えを持っているはず。でもその範囲から外れたことでも万が一、二人が「たまにはよくない?」って言ったら、そうかなと思えるくらいに世界の誰よりも二人を信じています。

思えば10代のときは、20歳までPerfumeでいられるなんて思っていませんでした。でもいま36歳。…これってもう人生ですよね!? 二人の人生があっての、私の人生。25年かけて、3人で一つの生き物になったのかもしれません。それを思うと私は私一人を守って生きてるようじゃ、その存在のかけがえのなさに追いつかない。二人を守れるように強く、やさしく、健康でいたいです。

25周年は私たちにとって通過点。この先、映像技術が進化して作品のアーカイブもさらに美しく残せる時代が来ると思うと…新たな財産が生まれるようでわくわくします。だからPerfumeとしてのクライマックスは、まだずっと先の未来にあると思っています!

のっち 1988年9月20日生まれ、広島県出身。流麗なダンスに加え、今年は憧れの椎名林檎さんとのコラボ楽曲「初KO勝ち」でその歌唱力にも注目が集まった。趣味はゲームとアニメなどインドア派。

かしゆか「世界で一つの特別な関係性が私の誇り」

25年間、Perfumeとして守ってきたことをよく“Perfumeの掟”と言われますが、なかでも一番守ってきたのは「3人でいること」です。当たり前のようだけど、女の子のグループで25年間同じメンバーで続けることは珍しいですよね。それができたのは、3人でいることを、3人が守ってきたから。それはルールでも縛り合いでもなく、自分たちを一番大切にするという「心」で守ってきたこと。それがPerfumeの核で、3人の誰が欠けてもPerfumeじゃないって私たち自身がわかっていたから。

三位一体? うん、そうですね。最初はアクターズスクール広島の仲良しの3人から始まり、スクール内で認知され、外のイベントにも出られるようになって…。でもそれ以上の夢を叶えるためには「上京」というステップがありました。そこで関わる大人が変わって環境が変化していくなかで、私たち3人は変わらず、同じ方向を向き夢見て、自分たちの可能性を信じていました。まだ若かったけど「自分たちが納得しなければやらない」性分も3人共通。だから私たちのような関係性って世界のどこを探してもないと思う。そのくらい特別なものだと誇りに思っています。

変化していく環境の中でマイナーチェンジをしつつ変わらないもの。…という意味では私の髪型もそうですね(笑)。でもぱっつん前髪にしたのって2008年とかなんですよ。だから「ポリリズム」のときはまだ“ぱっつん”じゃなかった! 好きでしてみた髪型でしたが、グループのコンセプトにハマった気がして今日に至ります。変えたいと思ったこと? …ありました! でも、海外に行くとコスプレしてくれる人がいたり、この髪型がアイコンとして認知されていることには役割も感じています。とはいえ長さとか、実はそのときどきで違ったり(笑)、マイナーチェンジはあるんですよ! それにこの形に縛られる必要はないと思うのでPerfumeがもっと魅力的に見えるなら、全然変えてもいいと思ってます!(笑)

そしてこの先はもう数字にとらわれず、行く道を決めていいんじゃないでしょうか。私でいうと、環境に関わる仕事をしてみたい。野外ライブで感じた今年の猛暑もきっかけの一つ。私はアクティビストにはなれないし、電気やガスなしの生活ができるわけじゃないけど、25年培ってきたいまの立場をもって、私はいい媒介者になれると思う。環境、海、伝統工芸。大切なものを私という窓口を通して多くの人に伝えたい。「好き」を消費するだけでなく、自分の行動を少し変えることでその価値を守ることはできると思います。

Perfumeは3人とも「見たことない世界」をみなさんと一緒につくるのが大好き。今年の9月21日にも新技術を使った生配信に挑戦しました。技術者のみなさんが私たちと実験したいと思ってくれる…それも25年の積み重ね。これからも未来の可能性を届けられる媒介者でありたいです。

かしゆか 1988年12月23日生まれ、石川県生まれの広島県育ち。スーパーロングヘアがトレードマーク。現在は、趣味のダイビングなどを通して環境問題や、幼い頃から親しんだ伝統工芸についても発信中。

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Perfume

パフューム かしゆか、あ~ちゃん、のっちからなる3人組テクノポップユニット。ニューアルバム『ネビュラロマンス 前篇』が発売中。後篇は2025年にリリースを予定している。さらに12月28日からは、全国ライブツアー「Perfume 10th Tour ZOZ5“ネビュラロマンス”Episode 1」が全国11か所で実施される。

あ~ちゃん ロングドレス¥1,883,200(ボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン TEL:0120・60・1966) ネックレス、ブレスレット2本を繋げて着用(18KRG)¥1,782,000 ¥3,080,000 リング、人差し指(18KRG×MOP×ダイヤモンド)¥407,000 中指(18KRG×18KWG×ホワイトトパーズ×ダイヤモンド)¥693,000(以上ポメラート/ポメラート クライアントサービス TEL:0120・926・035)

のっち ジャケット¥385,000 パンツ¥137,500(共にフェラガモ/フェラガモ・ジャパン TEL:0120・202・170) ピアス(18KRG×MOP×ダイヤモンド)¥682,000 ネックレス(18KRG)¥1,012,000 リング(18KRG)¥495,000(以上ポメラート/ポメラート クライアントサービス)

かしゆか ドレス¥808,500(ボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン) ピアス(18KRG)¥1,056,000 リング、右手(18KRG×18KWG×プラシオライト×ダイヤモンド)¥737,000 左手(18KRG×18KWG×プラシオライト×マラカイト×ツァボライト)¥539,000(以上ポメラート/ポメラート クライアントサービス) その他は本人私物

写真・伊藤彰紀(aosora) スタイリスト・清原愛花 ヘア・福間友香(VANITES) メイク・大須賀昌子 取材、文・大澤千穂

anan 2420号(2024年10月30日発売)より
Check!

No.2420掲載

自分の護り方。

2024年10月30日発売

デジタル、お金、防災、防犯など、日々の生活の中で自身を守るための“自己防御の基本のキ”を身に付けるための特集です。堀潤さん、山崎怜奈さんによる最新ニュース解説やジェーン・スーさん、桜林直子さんによる対談などもあり、読めば明日から役に立つ一歩が学べる一冊です。

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    赤口

明確なテーマか使命感を持って物事に取り組むことを表す日です。それも自分一人というよりは仲間と協力してという形が多くなるでしょう。得意不得意はあるにしても、苦労や楽しさを分かち合いながら、各自できることをして成果を上げるという体験。例えば、お世話になっている人へのサプライズ・プレゼントなんていいかも。

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